第3話
書いている人の法律の知識は適当なので、実際の法律と違うところがあると思いますが、そういったもんだなという感じでお読みください。
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俺は紅葉も被害者の一人だと思う。
ひょっとしたら鈴本よりも被害を受けているのではないだろうか。
俺の印象では豊見城紅葉はあのアニメでは屈指の不遇キャラクター。それが俺の印象だ。
紅葉が不遇キャラクターに舵を切ったのはどこだ?
最初に食事に行ったとき?
これはもう戻れないかな。俺が気付いたら、食事は終わって、柊木にタクシー乗り場まで送られていたときだもんな。
それとも無理矢理キスをされたとき?
これは大丈夫だな。俺の掌底が柊木のふざけた妄想を打ち砕いたはずだ。
投げやりになってホテルに行ったとき?
現状、柊木とはもうホテルに行くことはないと思うが、万が一のこともあるかもしれないから気をつけないとな。
アニメでは紅葉は警察に相談していなかったからな。今回は目の前に警察官もいることだし、女性警察官も来てくれるって言っていたから、ちゃんと相談しよう。
アニメの紅葉の行動は褒められたものじゃないからな。
反面教師としてしっかり対処して行こう。
しかし、こうしてみると鈴本の行動は婚約者としては適切だったか?
最初に柊木に目を付けられたときに何のフォローも無かったような記憶があるぞ。
アニメだと柊木から送られてきたキスのときの写真を見て、紅葉の言い分をちゃんと聞いていなかったもんな。
俺があのアニメから受けた鈴本の印象は、自分の行動だけを正当化して、自分の見たいことだけを見て紅葉の状況を判断していないか?
そんな印象を受けたな。
アニメ自体は1章のテーマが重かったのか2章からはヤンデレ後輩と鈴本による激甘ラブコメになっていたっけ。
なんて取り留めなく、思考を巡らせているけど、改めて思うけど、俺は紅葉になったんだよなぁ。
自分がアニメ屈指の不遇キャラクターの紅葉になってしまったからな。
ぜひ幸せになりたい。
だけど俺は精神的には男だからな。
女性特有のことはほとんど分からないのに、これからは女性として生きて行かないといけないから、かなり気が重いな。
さっきの柊木とのキスなんか、想像するだけで背筋が冷たくなる。
実際にキスをするなんてとても耐えられないぞ。
そもそも、俺は男のキス顔なんて可愛くないものを見たくない!
まぁ良い。
柊木のことは警察に相談すれば、もう関係を持たなくなるだろう。
これからは鈴本と付き合うってことを考えれば良いんだな。
でもなぁ。
鈴本と付き合うってことはキスだけではなく、それ以上の事もする可能性があるんだよね。
だぁ~!無理無理無理!
例え身体は紅葉で鈴本との関係は相思相愛でも、俺は嫌だぁ!
でもなぁ。
アニメでは紅葉のその後はあまり詳しくは描かれていないけど、確か、紅葉が1章の最後の方で、娘が書く似顔絵を見つつ、娘の
「お父さんが欲しいな〜」
という、言葉に寂しく微笑むシーンがあって俺はそのシーンがとても印象に残っている。
紅葉の娘は可愛かったんだよなぁ。
例え、父親が柊木だとしてもな!
でも、間違えるなよ!
俺が紅葉の娘が印象に残っているのは、ロリ的なことじゃないからな!
俺の微かな前世(?)記憶だと、俺は独身で子供はいなかったんだよ。
自分の子供があんな可愛い娘だったら、幸せだなぁってことで印象に残っているんだからな!
あの時の紅葉の微笑みは、娘の無邪気な要望に苦笑いをしたのか、それとも、自分が築く予定だった一家3人の幸せな家庭を夢見て微笑んだのか、それとも別の解釈があったのか俺には未だに分からないけどな。
色々と考えていたから、あまり気にならなかったけど、確か、柊木と食事をしたシーンは夏だったな。
今は夜だけど、かなり蒸し暑いな。
俺は女物の服のことはよく分からないけど、
今の紅葉(俺)の服装はノースリーブの服の上に薄手のシャツを羽織っていて少し長めのスカートだな。
多分、暑さに対処しつつ、柊木に隙を見せないような服装なんだろうなと思う。
警察官もいることだし、柊木がこちらに近づくことはないだろう。
俺は着ている薄手のシャツを脱いで、ノースリーブの服だけになった。
俺がそんなことをして待っていると女性警察官が到着して話しかけてきた。
「今、お話を聞いても大丈夫ですか?」
俺は女性のしゃべり方を意識しながら女性警察官に応える。
ここで柊木についてちゃんと相談しておかないといけないからな。
「はい。大丈夫です。何でも聞いて下さい。」
俺は自身の名前の申告(もちろん紅葉の名前だ。)をしたあと、柊木からの自宅に来られた件や連絡先の交換からのしつこい誘い、今日の食事をした経緯や無理矢理キスをされそうになり、強引に振り払ったことを話した。
女性警察官は公平な立場として、冷静に尋ねてくれているみたいだけど、柊木の遣り口には怒っているらしく、俺には同情してくれてはいるみたいだ。
「なるほど、では失礼ですけど、柊木さんがしつこく誘った事がわかるようなメールだったり、音声だったりはありますか?」
「音声はありませんが、メールやSNSであったらこちらのスマートフォンに残っています。」
俺はメールやメッセージアプリを起動して女性警察官に見せる。
女性警察官は、
「確認します。私が操作するわけにはいけませんから、豊見城さんが操作してもらってもいいですか?」
と言ったので俺はスマートフォンを操作して柊木からのメッセージを見せる。
「ありがとうございます。今はスマートフォンはもうしまっていただいて大丈夫です。後で確認のためデータをコピーしてもよろしいでしょうか?」
「はい。問題ありません。」
女性警察官は俺の回答に頷いた後、スマートフォンをバックに戻す俺の全身を隈なく観察する。
「あれ?豊見城さん少し腕を見せていただいてもよろしいですか?」
「えっ?別に良いですけど・・・。」
俺が何言っているのかな?って顔をしていると、女性警察官は笑顔で、
「大丈夫ですよ。少し腕を触りますね。」
なんて言いながら、俺の両方の二の腕を見始めた。そして一通り見たあと
「豊見城さん、これ柊木さんにかなりしっかりと掴まれていたみたいですね。痛くないですか?」
俺は女性警察官に言われたので、自分の二の腕を確認すると、女性警察官が指さしていたところが赤くなっていた。
柊木の奴、どんだけ強く握っていたんだ?
痛みは感じてはいないけど。
「かなり強く掴まれていたんですね。これは青痣になる可能性がありますね。後で病院に行って診断してもらって下さい。」
「えっ?」
俺がボカンとした顔をしていると、女性警察官は少し小声になり、俺の耳元で
「こういった証拠を残しておかないと、男って、向こうから誘ったんだとか言い出しますから・・・、少しの傷とかでも、ちゃんと病院で診断してもらってください。」
俺は女性警察官がかなり顔を近づけてきたので、ドキドキしてきた。
いや中身は男だからな!
女性の顔が近くにあると緊張するよ。
「柊木さんの行為はストーカー規制法、暴行、傷害の罪に問われる可能性があります。被害届けを出しますか?そうした場合、署に同行していただいて、もう少し詳しくお話を聞くことになります。もちろん、先に夜間でも開いている病院で診断してもらってからのことになるかもしれませんけど」
「はい。被害届を出します。長くなっても構いません。よろしくお願いします。」
長い夜になりそうだけど、俺は紅葉を幸せにすると決めたんだ。ちゃんとしないといけないな。
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