第2話

警察官は、別々に俺と柊木の話を聞こうとしているのか、俺と柊木をお互いの声が聞こえないところまで引き離した。


「すみません。状況から男の私が、聞くのは憚れることもあるかもしれませんので、女性警察官の応援を呼びますので、しばらく待っていて下さい。」


警察官は、にこやかな笑顔だが、目は全く笑っておらず、隙のない雰囲気だった。


俺は女性警察官が来るまでの間、現在の状況とアニメの記憶を呼び覚ましていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜

これ以降、犯罪行為や暴力行為及びそれを助長するなどの嫌な描写があります。コメディの要素は皆無なのでご了承ください。

〜〜〜〜〜〜〜〜


確か、紅葉は婚約者の鈴本真也(すずもと しんや)の会社で開かれたスポーツかBBQかの行事のときに、上司である柊木に目を付けられたはずだな。


柊木からは、その時からやたらと粘着されていたから、紅葉は鈴本の傍から離れないようにしていたはずだけど、鈴本はあまり頼りにならなかったんだよなぁ。


自分の彼女(婚約者)なんだから強く断ればいいのにな。なんて当時は思っていたけど。


そうしたある日、紅葉が一人で歩いていたら、柊木と町中で出会ったんだよな。


確かこれも柊木が、鈴本から紅葉の平日の行動や趣味を聞いたりしていたから、そこから柊木が推理して偶然を装い出会ったはず。


その時もしつこく誘われたが、紅葉はきっぱりと断り立ち去ったけど、柊木にこっそりと後をつけられ、家を特定されたんだよな。


また別の日に、柊木は偶然を装い紅葉と出会う。

そこで、柊木から


「鈴本君は時折、連絡がつかなくなる時があるので、彼女さんの連絡先を知っておきたい。」


と言われ、一旦は断り、鈴本に相談したら、鈴本からは、一度だけ柊木への返信が遅れたことがあったと言われたんだよな。


でも、紅葉から、ほとんど知らない会社の上司が婚約者の連絡先を聞くのはおかしくない?

って言われた鈴本からの返事は、


「うーん上司だから言いづらいけど、言ってみるよ。」

との頼りない回答だったけど、紅葉はそれでも安心したんだよな。

でも、しばらくしたら、鈴本が寝坊かなんかで遅刻したんだよな。


あれ?こうしてみると鈴本って結構駄目な奴じゃねえの?


すると、紅葉は住んでいるマンションの前で柊木に待ち伏せされて、


「鈴本君は、この前、寝坊で遅刻した。これ以上、鈴本君と連絡がつかないことがあるとただでさえ低い彼の査定を下げざるをえない。」


と鈴本の査定の件で脅され、仕方なく紅葉は連絡先を教えたんだよな。


その後は、ことあるごとに柊木から

「会おう」「食事しよう」「話をしよう」

等のメールや家に押しかけて来ての誘いがあるが、紅葉は断る。


紅葉が柊木からのメールを見せてやめるように伝えてと言っても、鈴本は、頼りない返事しかなかったんだよな。ここで警察とかに相談しておけばねぇ。


そうしたら、柊木から

「思い出に一度だけ食事をしてくれたら、もう二度と誘わないし、家の前で待ち伏せしない。」


なんて言われたので、仕方なく食事に行くんだよな。


場所は高級ホテルのレストランで、食事の後、柊木から夜中だから、タクシー乗り場まで送ろうと言われて歩いていると無理矢理にキスをされるんだよな。


まぁ、この話はさっきの俺だけど。思い出すと今でも寒気がするな。


そして、その時の様子を柊木の悪友が写真を撮影していて、その写真を紅葉は見せられて、鈴本に見せたり、紅葉の職場にばらまくなんて脅されたんだよな。


待てよ。

まだソイツが周りにいるんじゃないか?

俺は先程の警察官を呼び、


「すみません。さっき歩いていると、私をカメラで撮影していたような人がいたんです。」


なんて言ってみた。すると警察官は

「えっ?どんな人でした?特徴とかはわかりますか?」


ここで俺は少しだけ前世(?)の記憶を利用してアニメで出てきた柊木の悪友の特徴を話した。もちろん、暗がりでほとんど見えなかったけどって前置きはしたけどね。


警察官は柊木に話を聞いている警察官に事情を話して、応援を呼びつつ、周囲の捜索に向かっていった。


俺はまた一人になったので、アニメの記憶を呼び戻す作業を行う。


紅葉は写真を鈴本に見せたり、紅葉の職場にばら撒く行為をすると、警察に訴えるって言っても、柊木は笑ってこっちは写真や住所や実名をネットにも拡散してやってもいいんだぞってさらに脅されるんだよな。


絶望する紅葉に1回だけホテルに行ってくれたら、写真も削除するし、ネットにも拡散しないと言われるんだよな。


いや、もうどうみても犯罪だよね。

まぁアニメだからご都合主義も入っているんだろうけど、もう少しリアリティを求めた方がいいんじゃないかと当時は思ったけどね。


紅葉はその場では返事をせずに翌日、鈴本に相談しようとするけど、柊木が先に鈴本に

「お前の彼女とホテルに行ったぜ。お前の彼女は節操がないな。」

なんて言葉とともに、キスをしている時の写真を送っていたんだよな。


鈴本はもうその写真を見た時点で、紅葉の連絡先をブロックしていたんだよな。こういう対応は早いな、主人公よ・・・。



紅葉は今度は鈴本の家に行って、直接会って柊木からは無理矢理にキスをされたと伝えたけど、聞いてもらえなかったんだよな。


ホテルについても、柊木からは誘われたけど、1回も行ってはいないって言ったけど通じなかったんだよな。


婚約した彼女と嫌な上司とどちらを信じているんだって話だよ。


紅葉は婚約者の鈴本から拒絶されていることにショックを受けて、投げやりになっていったんだよな。


せめて写真だけでも消して欲しくて、最後の希望を込めて、柊木とホテル以外の場所で会うけど、薬かなんかで眠らされて(ここらへんもご都合主義だよな。)、ホテルに連れ込まれて、その時の行為を録画されていたんだよな。


で、その時の映像も柊木から鈴本に見せられ、鈴本は完璧に拒絶、ていうか紅葉の連絡先はブロックしていたのに柊木の連絡先はブロックしてねぇのよ。

あれか?上司だからか!?


紅葉は柊木からは、行為の映像を理由に頻繁に呼び出され、身体の関係を強要、やがて妊娠、柊木からは認知をされず、紅葉が警察に行こうとすると暴行を受けた挙げ句、お腹の子の中絶を要求される。

もう完璧に犯罪だよな。

良い子も悪い子もダメ、ゼッタイ!


でも、この時はもう紅葉の精神はかなり病んでいて、お腹の子供のことだけが、唯一の希望となっていたんだよな。


紅葉は柊木からなんとか逃亡、実家に帰る。


実家で両親に自分は妊娠しており、相手は婚約者の鈴本ではないことを告白、紅葉の家族には散々文句を言われるが、鈴本への慰謝料(鈴本はヤンデレ後輩の勧めで、婚約破棄及び慰謝料の請求をしてきた。)の支払いや紅葉が勤務していた職場への退職手続きを家族の援助を受けて行う。

そして、お腹の子を出産し、母子2人で生活始めたんだよな。


一方、鈴本は紅葉とは連絡拒否、柊木からは紅葉との肉体関係のことを話をされて、嫌気が差し、職場を退職、バーでやけ酒を飲んでいると大学の後輩(ヤンデレ)と偶然会うんだよな。


でも、アニメでは描写はされていなかったけど、ひょっとしたら、ここで後輩に会うのは偶然ではなかったかもね。


鈴本はバーで後輩(ヤンデレ)に声をかけられ、状況を告白、憤慨した後輩(ヤンデレ)は自分の父親(大企業の代表取締役)に相談、鈴本は自社に雇用し、柊木は所属する会社に圧力をかけ、柊木を鈴本の当時の婚約者(紅葉)に対する不適切な行為で断罪したんだよな。


ヤンデレ後輩は紅葉も許せないと言って、紅葉や紅葉の実家にも圧力をかけたんだよな。


圧力をかけられた紅葉の実家の両親達は、紅葉に辛くあたるんだよ。

もう勘弁してやれよな。


紅葉は最後の希望として、鈴本に助けを求めけど、鈴本は断って、二度と顔を見せないように告げたんだ。


失意の紅葉が赤ちゃんを抱いて歩く後ろ姿を見た鈴本がヤンデレ後輩に

「もうこれ以上何もしなくていいよ。紅葉は十分に罰を受けたからね。」


とヤンデレ後輩に言ったので、ヤンデレ後輩からは、紅葉に今後、鈴本に近づかないことを確約させ、紅葉の実家と紅葉への圧力を止める。


アニメでは描写はなかったけど、ヤンデレ後輩は紅葉が柊木から犯罪行為を受けていたことはわかっていたんじゃないかな?


鈴本が何かのときに紅葉が犯罪行為を受けていたことが分かったら、紅葉を哀れに思ってよりを戻されるのが怖くて黙っていたんじゃないかって俺は思ったけどね。


この後は紅葉と柊木とはアニメには出てこず、鈴本とヤンデレ後輩の甘い関係が始まるところを匂わせて第1章が終わるんだよな。


第2章からはヤンデレに振り回される鈴本のラブコメ生活のアニメになるんだよな。

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