第18章 危機
「ヤバい……かも」
「ヤバい……ですね」
モンスターはいない。
ただ、ただひたすらに……。
「づがれだぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!」
レンが足折れてるし、私単純に疲れているし!
「ライラさん……一旦、休みましょう」
「ごめん……休むぅ……」
ここで私が倒れたら、どう考えてもレンは地上には戻れない。
でもモタモタしているといつモンスターが襲ってくるかわからない。
「くっそぉ……アナテマの奴めんどくさいことしてくれたなぁ!……レン、調子は大丈夫?」
「はい……足以外は特には……」
上手く作れていない笑顔でそう言うレンは、見るからに苦しそうだった。
どんな風に折られたかわからない。少し触った感じ、砕かれた、というより綺麗に斬られたような気がする。
だから後遺症は残らなそうなんだけど、如何せん折れてからの経過時間が長すぎる。
変に変形したりしたら大変だ。
「上に上がる途中に冒険者が助れば助けてもらえるんだけど……」
「今日は異常とも言えるほど冒険者がいませんね。それにモンスターも比較的大人しめです」
「冒険者は多分、
今回の
とにかくお祭りをする建前が欲しいのだ。
私達は朝早くから迷宮に潜ってしまったからわからなかったけれど、行く途中所々準備していたんだと思う。
お祭りの日に迷宮に潜る人なんて中々いない。
それも十何階層も潜るなんて特に。
「とにかく、最低でも十階層かな。それくらいまでは誰にも会えないかも」
「……後八階層ですか……」
アナテマとの戦闘が十九階層で、今さっき一階層上がったから、今は十八階層。
「頑張ろ、レン。私、頑張るから!」
「俺も……頑張ります!」
〜◯◎◉◎◯〜
「うぐぐぐぐぐ……」
「ライラさん……無理しないでください……!」
「だ、大丈夫!私はまだ……!」
現在、間違えてなければ十五階層。
射程範囲まで残り五階層。遠い。
道中、モンスターに数回程絡まれたが、完全に待ちの姿勢で何とか生き延びてきた。
「ごめ……レン……休……あう……」
「ライラさん!?」
ヘロヘロな私は足の力が抜けそのまま地面にへたりこんでしまう。
足の折れた男性一人に肩を貸すとどれくらい疲れるのか、思い知った。
ダメだこれ。
モンスターとの戦闘だって不安定が過ぎるし、何より私の足ももう限界。
「ごめんね……レン。もう少し、もう少し休ませて……頑張るから……」
「ライラさん……」
動かないと。動かないとレンも私も、死ぬ。
辛い。キツい。でも――
「うぅ……い……こう!」
「もっと休んでも……」
「モンスターが来たら怖いから……急ご……」
「う……」
「ライラさん!!」
ヤバい。動けない。もっとこまめに休めばよかった。
レンを、レンを地上に――
「レ……ン……」
「ごめん……ね」
意識を、手放した。
第18章
危機
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