第13章 暗殺者
全部聞いた。
レンが着いた頃には既にモンスターは倒され、私は意識を失っていたこと。
手の甲の証が熱くなり、光っていたこと。
そしてモンスターを倒したのが、恐らく私だということ。
そんなの。
そんなの……。
「大!!進歩じゃん!!」
「わあ、大きい声」
進歩と言わざる負えないでしょ!
経緯は不明だけれど、私にモンスター倒せる力があるかもしれないということ。
たとえそれが、呪いの影響だとしても。
「でも、発動条件とか、そもそも本当にライラさんが倒したのがすら分からないわけで……」
「いーのいーの!今は少しでも進歩したことが大事なんだから」
大切なのは進むこと。
小さな一歩でも進んだんだから、それは進歩なのだ。
「なら早く十七階層に行かなきゃですね」
「だね。また何か得られるかもだし」
こんなところで燻っているわけにはいかない。
早く上に続く道を見つけなければ。
「やっと見つけたぁ……」
冒険者が近くにいる様子はない。だけれど二十階層を抜けたのはわかる。
水流が消えた。多分、ここは十九階層だ。
正規の道だと信じて進んだ道の先に、上の階層へ続く道があった。
「正規の道に乗れたようですね。安心しました」
「当分水辺はいいかな……」
また蛸に絡まれたらたまったもんじゃない。
「じゃあ、先に進み――」
瞬間、私を抱えて後方に下がるレン。
突然の事に状況が飲み込めない私。
「ライラさん、ここら辺の階層に気配遮断を使うモンスターはいますか!?」
「えっ……確か、いや、いないはず」
「なら気をつけてください……」
「います――気配遮断で隠れている何者かが!」
モンスター、それとも――人間、冒険者。
ともかく、何者かが潜んでいる。
「……それは殺気?」
「はい、恐らく」
「ならモンスターじゃないね」
モンスターが放つのは殺気ではなく食気。餌を求めてるのがモンスターだ。
つまり相手は
「人間だ」
落ちてから冒険者に会っていない。ランドと別れた後数名に会った程度。
私達を狙って待ち伏せしていたか、通り魔か。
「辺りに死体はないか。これ、私達狙われてたのかも」
「本当ですか!?」
通り魔なら金品魔石を奪い死体は放置のはず。
モンスターに死体を処理させた、という可能性もあるけど、人の通りを考えると可能性は薄い。死体を食べてるモンスターなんか目立つしね。
「気配遮断が強い……私でも気付けなかった。……
「逃げますか!?」
「逃げた方がいいかも……」
そんなに悠長に話していたら。
「っ!?レン!回避!」
「はいっ!」
確定した。これは人間だ。
「逃がしてくれ無さそうだね。これ」
「ですね……」
「……やりますよ。ライラさんも守って敵も倒す。頑張ります」
「無理、しないでよ?」
「ライラさんに言われたくありませんけどねっ!」
第13章
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