第6章 VSランド 上

「ア”ァ”!?なんだその魔法!?」

「不思議でしょう?教えませんけどォ!」


「よくやるねぇ男子は」


 程々にとは言ったけど、思った以上に白熱してるジャン。羨ましい。

 にしてもランド、中級第一位だっけ。多分もう上級で通用する実力になってる。私に追い付くのも時間の問題かもしれない。

 それと渡り合ってるレンも相当な実力……あの魔力の使い方見たら嫌でもわかるか。

 とにかく、二人は観客席の私を盛り上げる程度には白熱している。


 ヒットアンドアウェイで攻めるランドと丁寧に攻撃を受け流すレン。ランドは攻めきれず、レンは機動力の高いランド相手に攻撃に転じることが出来ない。

 だが体力の消耗具合は明々白々。このまま続けばランドは負けるだろう。


「チッ……隠蔽インビジブル!」

「消えた!?――魔法ですか!」

「ご明察ゥ!」


 そんな状況を変えるべく空中で魔法を発動し霧に紛れるランド。

 高い魔力探知でもなければ見つけるの難しそう。私も見失いそうだし。


 ランドはあの強気に口調とは裏腹に戦闘スタイルは暗殺者アサシンのそれに近い。武器が双剣なのも機動力と急所の狙いやすさで決めたらしい。


 このままじゃ押し切られちゃうよ?

 見えない敵相手をどう対処する、レン?


「……創造、形成。形作るは魔を追いし鞭」

「っ、させるかァ!」


 詠唱を始めたレンを妨害するために透明なランドが襲い掛かる。


「ぐっ……木が邪魔ッ!」


 詠唱に合わせ一本の木が分解され、レンの周りに集まる。

 それがランドの連撃を受け止め、レンには届かない。


 やがて魔力が込もり、形が。


「唸れ!魔追鞭まついべん!」


 一本の鞭が出来上がった。

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