第6章 VSランド 下

「唸れ!魔追鞭まついべん!」


 この森林の木にはある特徴がある。


「追え、捕らえろ!」


 強力な弾性。そして魔力との調和性の高さ。

 魔力を介した変形にとても適している。


 故に。


 創造魔法との相性の良さが必然的に顕になる。


 振るった鞭は魔力を追い、捕らえる。

 強力な弾性と魔力との調和性の高さを最大限活かした逸品。

 俺の切り札の一つ。


「ガアッ!」

「捕らえた!」


 空を掴んだ。と思われたがしっかりと透明な何かを掴んでいる。

 ランドさんだ。ランドさんの足に巻き付き掴んでいる。


「クソが!切って……この!」


 双剣で切り裂く。だが。


「弾力が強すぎて……切れねェ!?グゥッ……締付けが強く……!」

「地面に!」


 鞭を勢い良く振り被り、地面に叩きつける。


「……負けたぜ」


 叩きつけられた鞭は振動し、波打つように鞭の先端まで、掴んだランドさんまで。


 瞬間、巨大な音が十階層に鳴り響いた。


 〜◯◎◉◎◯〜

「ン……あー」

「あ、起きた」

「おはようございます。ランドさん」


 勝負が付いて数十分。意識を失ったランドさんにランドさんの持ち物を漁った際に出てきたポーションで回復して寝かせていた。


「強いな、お前」

「ランドさんだって」


「いいなぁ二人共、いいなぁ」


「私も戦いたい」と羨ましがるライラさん。

 そのためにも早く呪いを解かなければならない。

 一層気合を入れる。ふんっ。


「まあーなんだ……レン・ファンド。――ライラのこと、任せたぞ」

「……はい、任せてください!」

「コイツ考えるより先に身体が動く奴だから気を付けろよォ」

「失礼だなぁ行動力があるって言ってよ」

「ありすぎなんだよお前は!」


 そんなことを話し、ランドさんと別れた。

 一緒に行きませんかとも誘ったが「パス、この後用事あんだ」と断られてしまった。

 まぁライラさんと二人っきりだし、いいのだが。


「さ、進もっか」

「はい!」


 十七階層を目指して進むのだった。


 第6章

 VSランド


用語解説

魔追鞭まついべん…レンの切り札の一つ。文字通り魔力を辿り追ってくれる優れもの。迷宮の木を創造魔法で吸収した際に形成することができる。

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