第34話 王の選定
レメリアは泣き崩れそのまま床に座り込んだ。
「まったく!使えんゴミが!」
スピカ王子は
「まったく、アホが
気付けば隆二が振り下ろされた
そのままスピカ王子の手から
「スピカ…ここで選べ。死ぬか王位を諦め巡礼者になるか」
不思議なことに怯えていたスピカ王子の体の震えが止まる。
「ふっ…馬鹿にするな。王以外に私の道はない」
その目には決意と覚悟が宿っていた。
「そうか、なら死ね!」
隆二はそれでも容赦なくスピカ王子の喉笛を貫いく。
スピカ王子は一瞬にして脱力し、その生涯に終止符を打った。
「ちっ、胸糞わりぃ」
「スピカ王子なりの信念があったのかもな」
「それでもアイツが王になれば国民が苦しむのは火を見るよりも明らかだ。アイツは恐怖による支配が得意だったからな。奴の気まぐれで何人もの兵や国民が命を落したか…」
なんとも後味の悪い結果にその後は誰も口を開こうとはしなかった。
その後、すぐに脱獄し、場外にいるりこたちと合流する。
ルバーン王国から数キロ離れた地点で俺たちは野営をしていた。
俺の全身の切り傷はりこが治してくれた。
レメリアはあれから口を開かず、皆から離れて着いてきている。
警備は先遣隊に任せ、皆で焚き火を囲んで今後について話し合う。
「これからどうするんだ?」
「俺はスピカ王子を討った脱獄者で紛れもなく犯罪者だ。それにルバーン王国では既にアーサー王子が死んだと根強く
ロメオ王子とカリメル王子は何も言わず顔を伏せている。
「そこでだ、ロメオお前が王になれ」
「っえ…兄さん何を言ってるんですか?」
「だってカリメルの変態は王位なんぞに興味は無いだろうし、他にいねえだろ。それにお前の能力ならしっかりと国を治められるさ」
「いえいえ、私なんてまだ若輩者ですよ」
「大丈夫だ、カリメルが支えてくれる」
「いえ、お言葉ですがアーサー兄様、私はアリス様に同行します。私には死ぬまでにアリス様の全身の産毛を数えるという使命があるのです」
カリメル王子はドヤ顔でやばい発言をする。
隆二以外は皆、引いている。
「なら、アンタの生涯はここで終わりよ」
アリスの鉄拳がカリメルの腹部を捉える。
「ぐはっ!」
そのままカリメル王子は動かなくなった。
「それで、アーサーさんはどうするんですか?」
りこが尋ねる。
「そうだな。とりあえず
「やっぱりそうなるか」
「なんだ、嫌なのか?」
「別にいやじゃねえけど」
「そうにゃ、剣聖殿のお力添えがあれば心強いにゃ」
「それで、イリーナお前はどうする?」
「私はアーサー様の侍女です。生涯お側に置いてください」
「俺は寧ろ嬉しいんだが、あと皆も含めて1つ頼みがある。俺を隆二と呼んでくれ。アーサーは死んだ。これからは隆二として生きていく」
「いい加減呼び名が2つあるのはややこしいと思ってたから丁度いい」
「隆二って呼び始めたのはお前だけどな。まったく何が楽しくて一度捨てた名を名乗らなきゃいけなえんだ」
「隆二様、頑張って呼び慣れるようにします」
「まあ少しずつでいいぞ」
イリーナと隆二は既に2人の世界に入っている。
「それで、オルバ村に帰るんですか?」
りこが改めて質問する。
「それなんだが、魔をどうにかするにもダンジョンの中に入らなきゃいけねんだろ?さすがに今のままじゃ俺とイリーナ、レメリア以外は完全に実力不足だぜ」
「かといってどうするんだ、いきなり修行編に突入するのか?」
俺は隆二に改めて問いただす。
「そうだな。とりあえずアリスがとりこは元女神だから魔術の素養がある」
「あれ、魔法って転生者は使えにゃいんじゃ?」
「女神だった奴は例外なんだよ」
「隆二さん、女神でもないのにいろいろ、お詳しいんですね」
りこは感心して隆二を見る。
「俺も子どもの頃は王立図書館に入り浸ってたからな」
「お前、前世では本なんかよまなかったのにな」
「うるせえ」
「でも、魔術なんてどこで学ぶのよ」
「アリスは女神の癖ににゃにも知らにゃいのか?」
「なによ、あんたは分かるっていうの?」
アリスがメルルに食ってかかる。
「私が知るわけにゃいにゃ」
「むきー!」
「お二人ともそれぐらいにしてください」
アリスとメルルの喧嘩をりこが仲裁する。
「それならここから北にあるサルーバを目指してはいかがでしょう?」
「おっ、ロメオ奇遇だな。俺もそこを勧めようとしてたんだよ」
「サルーバって町か?」
「真芽夫、今世でもなかなかの箱入りだな」
「うるせえ、山育ち舐めんなよ!」
「サルーバは先々代の宮廷魔術師が隠居後に過ごした町です。そこで彼は弟子をとり半世紀程で魔術が盛んな町になりました」
ロメオが丁寧に説明してくれる。
「それにあそこは近年ダンジョンが発見されたから肩慣らしにも丁度いいかもな」
「それならそこに行くのね!」
アリスは女神生活が長かったため、新天地に行くことに積極的だ。
本当はエルミナ王国もゆっくりと観光したかったが、そうもいかない。
今後の方針が決まったところで明朝、出発する事になった。
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