第22話 迷宮の入口
アリスたちは
しかし、安堵したのも束の間。アリスたちの背後の闇が蠢く。
「まずい!後ろ」
俺が叫ぶよりも速くレメリアが飛び出し
レメリアは迫りくる
そのまま
一瞬にして
「誰かは知らんが、助かった…」
最後尾にいた五郎は安堵のため息をつく。
俺は
ただ、ヘイトを集めたはいいもよの、先ほどと同様に刃は通らず俺は防戦一方となる。
ただ…倒す手立てがない。
「月夜に閃く一筋の光、我が敵を討ち滅ぼし、我が世界を守護せよ!」
“
眩い閃光が閃きミノタウロスの頭部を捉える。
「ぐおぉぉぉぉ!」
「まったく、勝手に突っ走って!アーサー、大丈夫?」
「イリーナ、助かった」
さすが
イリーナの魔法により周囲が照らされる。
ふと、洞窟内の脇に明らかに人工物である通路が顔を覗かせていた。
壁一面に奇怪な文様が刻まれた黄土色のレンガが積み重なっており、五郎が造った洞窟がたまたまその通路に繋がったのだろう。
「五郎!この穴を塞げ!」
五郎は瞬時に俺の意図を理解し、ヘーパイストスの金槌を打ち付け人工物の通路を防ぐ。
直後、
その隙にレメリアは
俺はハンドサインで兵士たちにアリスたちの避難を命じる。
「イリーナ!」
「はい!月の剣よ
“
イリーナの魔法で眩い三日月が地を走る。
三日月の軌跡が膝をつく
“剣技・
さらにイリーナの魔法に合わせて無数の刺突をミノタウロスに放つ。
刹那の沈黙。直後、幾重にも重なる衝撃波が爆ぜ
「ふぅ~、なんとか片付いた」
「ねえ!マメを助けてよ!」
一息つく間もなく、りこが俺に駆け寄り涙を流しながら懇願する。
そうか、そう言えばここで俺は死んだったな。
アリスとメルルもこちらに駆け寄って頭を下げる。
「わかったから、お前らはここで待ってろ。レメリアと兵士たちは先にこいつらを避難させてくれ」
「マメオ…」
アリスは何故か俺に向かってその名を呟く。
「…?なに言ってんだよ、俺の名はアーサーだ」
「ご、ごめんなさい。なんか雰囲気がマメオっぽかったからつい…私ってばどうかしてるわね。てか、そんな事より急いで助けて」
相変わらず自分勝手なアリスを見て少し頬が緩む。
ただ、俺が転生してる以上マメオは死んでいる。
結末を知りながらも自分の死体を確認しにいくというのは余り気持ちの良いもんじゃないな。
「イリーナ、俺に付いてこい!」
「私も行くにゃ!」
比較的元気そうなメルルが無理矢理ついてくる。
「大丈夫か、メルル?」
敵の気配は無いから大丈夫だろう。
「にゃ?私…あんたに名乗ったかにゃ?」
「あっ、いや…さっきそう呼ばれるのが聞こえたから」
何とも歯切れの悪い返答をしてしまう。
メルルは懐疑的な目でこちらを見ている。
俺は気付かなかった事にして、ひたすら五郎が作った洞窟を進んだ。
徐々に
そろそろか。
目的の俺の肉体は
右腕は本来あるはずの場所にはなく洞窟脇に転がり、
「マメオ様…」
それでもあの肉塊が俺だと確信しているメルルが震えた声でよろよろと俺だったモノに
「まだ間に合うかも…」
誰もが諦めるであろうこの状況で、イリーナがとんでもない事を口にする。
「イリーナ…間に合うって」
イリーナは俺を無視して手を組み詠唱を始める。
「真なる神。祖たる海。根源たる摂理。反撥、拒絶、棄却、堕天の紋章、乖離する自我、ここに魂と肉体を呼び戻せ!」
“
元俺の死体に、青紫の光の粒子が泡のように纏わりつく。
すると先ほどまで判別できなかった死体が俺と分かる状況まで肉体を取り戻した。
「よし!アーサーもこれで蘇ったから、たぶん大丈夫」
それはあり得ないだろう。
いくら回復魔法に疎い俺でも一度死んだ人間を蘇生するなんざ無茶だって事ぐらいわかっている。
ましてや俺は既に転生しているんだぞ。
「ホントにゃ!心臓が動いてるにゃ…でも意識は戻らないみたい…」
メルルはその場で両手を上げ飛び跳ねる。
えっ…えっーーー!
俺は理解が追いつかないでいる。
転生したのに元の俺は生きている?
どういう事だ…。
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