第21話 リベンジマッチ
既に日が落ちて数時間は経った。
もし、俺の想像が間違いなければこのまま山道に沿っていけば皆を助けれる。
「アーサー、ちょっと待ってよ」
足早に進む俺に対して、イリーナは息を切らしながら訴える。
「アーサー…イリーナさんは…もう歳ですから労って下さい」
「ちょっとレメリア誰が歳だって!私はまだ19よ」
「レメリアさん…元気に…なりました。アーサー…行きましょう」
「なっ、ちょっと…勘弁してよ〜」
2人のやり取りで少し場が和む。
その瞬間、暗闇に何か蠢くのを俺の目は逃さなかった。
「みな、止まれ!円陣」
俺の合図でイリーナを取り囲むように兵士たちは陣形を組む。
「レメリア!好きに動いていいぞ」
レメリアは軽く頷くとメイド服を脱ぎ捨て、太腿に着けていたレザーのナイフホルダーから短剣を抜く。
そのまま前方に飛び込み、
レメリアはメイド服の下に黒のハイレグのような服とスパッツみたいな服を着用している。
これは暗殺時に適した格好であると同時にスピカ王子の性癖も関係してるのだろう。
俺も
暗闇に金属音が飛び交う。
次の瞬間、
この目なら分かるコイツらの弱点が!
俺は
次の瞬間、
イリーナの話では
マジックアイテムは
ダンジョンで手に入る事が多いらしいが、基本的にはチートアイテムの下位互換だ。
一番の違いはチートアイテムは壊れないが
マジックアイテムは壊れる。
その代わり転生者かつ持ち主しか使えないチートアイテムとは違ってマジックアイテムはマナさえ供給すれば誰でも使用できる。
イリーナの守りは兵士に任せて、俺は次々に襲い来る
「ぐぁ!」
兵士の一人が鎧事腕を切り裂かれる。
「月明かりの下僕たち。祝福を以て彼の者を癒せ」
“
イリーナの魔法で兵士の腕の傷は瞬時に回復する。
「関節を狙え!」
兵士たちは俺の指示で
「月の導きよ、照らせ」
“
イリーナの魔法で発光する蝶の群れがイルミネーションのように森を照らす。
次第に襲い来る
しばらくすると森の中の気配が消えた。
「ひっ!」
兵士達が一点を見つめ引き攣るような悲鳴をあげる。
そこの視線の先にはイリーナの魔法で照らされたレメリアが
「レメリアちゃん、大丈夫!」
「イリーナさん…くるしい…です」
「あっ!ごめんね怪我はない?」
「イリーナ…さん…とは違うので…大丈夫…です」
「もう、相変わらずね」
「みんな怪我は無いか?無事なら先に進むぞ!」
みんなを助けないと。俺の気持ちは焦る一方だ。
「ちょっとアーサー。少し休んでからにしない」
「いや、早く行かないと手遅れになる」
俺はイリーナの言葉を遮り先に進む。
しばらく進むと山道の脇に小さな洞窟が出来ていた。
こんな穴はこれまで見たことない。という事は…。
「これはもしかして五郎が造った穴か!」
「きゃーー」
直後、聞き覚えのある悲鳴が洞窟内から聴こえてきた。
「アリス!」
俺は誰よりも速く洞窟内に飛び込んだ。
しばらく進んだところで
アリス、りこ、メルル、五郎、ばあちゃんがいた。
しかし、その眼前には巨大な斧を持ち二足歩行で歩く、牛の頭をした化け物が立ち塞がっていた。
「あれは…ミノタウロス…です」
レメリアは俺の後にしっかり付いていたようで、魔物の名前を教えてくれる。
ラッキーな事にミノタウロスは背後にいる俺たちに気付いてない。
俺は隙をつきミノタウロスの大斧を持っている腕に刺突を見舞う。
刺突が命中した箇所がマジックアイテムの効果により衝撃波が炸裂する。
しかし、ミノタウロスに大したダメージを与えている様子はなく、振り向きざまに振るった大斧で俺は容易く吹き飛ばされた。
その隙にレメリアはミノタウロスの頭に乗り、
短剣で首元を掻っ切る。
それでもミノタウロスの首に刃は通らず、頭に乗っていた。レメリアを掴んで投げ飛ばす。
くそっ!どうすれいい。せめてアリスたちだけでも先に逃さないと。
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