第3話 幼馴染キャラは負けヒロイン定期だと思うの
「犯人はあなたですね?」
子供のころ大好きだったドラマがあった。
「何も休むことが悪ではない」
子供のころ大好きだった俳優がいた。これが少年が夢を追うありふれた理由だった。
※※※
俺は子供のころからお母さんと一緒にドラマをよく見ていた。
「犯人はあなたですね?」
「きゃー健ちゃんかっこいい~!」
「健司の将来は俳優か~?」
お母さんはとにかく明るかった。親父は働き詰めだったが家族の為に時間をつくてくれるいい親父だった。
あの日までは。
※※※
「ごめん。あれは一時の気の迷いっていうか、、、」
親父が不倫した。お相手は、職場の人らしい。まぁ最初はびっくりしたよ。「俺達に時間を割いているときも、本当は浮気相手といたかったんじゃないか」なんてことも思ってしまったり。一応、その時は浮気相手と別れるってことで収まったんだけど、、、
「子供ができた」
小学校5年生くらいかな、急にそんなことを言われて、最初は「弟か妹ができるのかな」って少しわくわくしたけど。お母さんの反応を見て子供ながらに気づいた。
「健司、これからお父さんと大事なお話をするの。だから、しばらく柚花ちゃんのところで遊んできてくれない?」
普段優しいお母さんが急に何かをこらえたような声で言う物だから、もう遅い時間だというのにすぐに着替えて外に出た。
外は雨が降っていたけど、傘も持たずに飛び出したものだから柚花の家に着くころには体中ずぶ濡れだった。たしかその時の夕食は……
※※※
「君!」
パァンと気持ちいい音が部屋に響くどうやら眠っていたらしい。
「すいません。どうやら眠っていたみたいです」
「困るよ?今から救世主の前哨戦が始まるのだから」
お姉さんは肩をすくめながら、冗談か本音かわからないトーンで言った。辺りを見渡すと、カーテン越しに、光が見える。
「あのー今って何時ですか?」
「私スマホ持ってないし、この部屋時計もないから正確な時間は分からないけど、、、だいたい12時ぐらいじゃない?」
「そんなわけ……」
そう言いながら、自分のポケットにある時計を見ると。
「12時30分!?やばい遅刻……って」
そう言えば俺もう学校行かなくていいのか……
「どうしたんだい?君は学生だろう?早く行かないと遅刻するぞ」
「いや、俺もともと死んでいたので、学校行かなくてもいい気が……」
「言ってる意味が分からないぞ?」
「だから本来だったら、この時間はもう天国にいるわけじゃないですか」
「うん。自殺した人が天国に行けないことを除けば概ね正解だな」
この人いちいち余計なことを言うなぁ……
「だったら、学校に行っている時間を、あなたのなんでしたっけ?救世主?になるための手伝いにあてた方がいいじゃない……」
「学校に行きなさい」
「えっ?」
「君は子供なんだから」
そっかこの人も……
「それに、芸能系の学校の有名人を救えば私の評判もうなぎ上りだしね!」
本当に余計なことを言うなぁ……
※※※
「おい健司w本当に大丈夫かw」
結局あの後学校に行くことになった俺は、急いで学校に行き遅刻届を書いていると長谷川に話しかけられた。
「大丈夫だよ。長谷川こそ一時間目に数学の小テストがあったって聞いたけど……」
俺はそこで言葉をやめた。なぜなら
「やめてくれぇw今度赤点取ったらヤバいのにwなんもわからなかったw」
彼は頭を抱えてうずくまったからだ。
「留年したくねぇよw」
言ってることとその行動はまさに切羽詰まっているのだが、いかせん。語尾が「w」なので緊迫感が感じられない。そんなことを思っていると。
「あの……どいてくれますか……?」
後ろから声をかけられた。確かにここは廊下、かつ職員室まえだ。長い間立ち話をすると人の邪魔にもなるだろう。
「あっごめん。って柚花!?お前同じ高校だったのか!?」
「あっ健司……」
マジか、初めて知った。何なら今高校二年生だぞ、普通一年生の時に出会うもんじゃないのか?
「一年半もこの高校にいるのに気づかないとは……」
「えっと、私は気づいてたよ。ほら、よく噂になっていたし」
「噂?」
「えっw知らないのかお前w一年生の中では一番熱心だったしw実力もあったからw結構話題に上がるんだぞw」
長谷川からそんなことを言われ少し驚く。でも俺はもう……
『キーンコーンカーンコーン』
「もう時間かwんじゃまたな柚花さんw」
「はい、ではまた」
「おい健司w行くぞwまだ予鈴って言ってもw次移動だからヤバいぞw」
そう長谷川に言われ意識を戻す。時計を見るとそろそろ5時間目が始まる時間。
「5時間目ってなんだっけ?」
「たしかw現国だった気がするw」
「阿部かよ!遅刻したら……」
どうなるかなんて考えたくない、俺たちは急いで準備に取り掛かった。
※※※
「今日はヤバかったなwやっぱ阿部先生怖いわwなぜか誤ってるのにキレてくるしw」
「それはお前が、「すいませんw」ってやってるからだろうが!!」
「……確かにな」
帰ったら荷物を置いて公園に……ってお姉さん帰らせたっけ?
「ごめん。俺また先帰るわ」
「なんだよw付き合い悪いなぁ」
※※※
「お姉さん!?」
「やぁ君、勝手にご飯作っておいたよ」
「あっ、ありがとうございます?と言うか食材は?」
「心配しなくていい、最近はネットスーパーって言う物があるんだよ?外に出ずに食材を調達するくらい、ちょちょいのちょいさ」
「はぁ」
よかった。こんなことを言うのも失礼だが、もしも鍵が開いたまま外に出られて、そのまま空き巣にあったらたまったものじゃない。
と言うか手料理か……一人暮らしを始めてから食べてないな。そういえばお金は、、、
「あぁお金のことは気にしなくていい。私が勝手にやったことだしね」
「いや払いますよ」
「それは君のお金かい?見た感じ君、仕送りをもらって生活をしているね?」
演技の練習でバイトの時間なんて取れな……やめようやめよう。
「まぁそうですけど」
「……君のお金だったら受け取れるけど、親のお金は受け取れないな」
「なぜですか?」
「……大人になったらわかるさ」
そう言うとお姉さんは、机に料理を置いていった。料理は出来立てに見える。
「さぁて、昨日の件の続きといこうか」
「っ!」
「あぁ、食べながらでいいよ。」
「はい、それで私は何をすればいいのでしょうか?」
「そんなかしこまらなくていいよ。まだ前哨戦も始まってないんだし」
「わかりました」
「よくわかっていないみたいだね……まぁいいや、昨日の話は覚えている?」
「確か、救世主になりたいとか」
「そう、私は救世主になりたい。そのためには何が必要?」
救世主になるために必要なもの。うーんやはり名声とかだろうか?でも名声を得るために命の危険がある?なにか違うな、安全な道もあるはずだし……あっ
「武力、でしょうか?」
「そう武力って違う、違う。そんな野蛮なことはしないよ」
「んじゃぁ、なんですか?」
「人を救い続けた実績だよ」
「どうゆう事ですか?」
「そのまんまの意味だよ。昨日の最後私はなんて言った?」
たしか……
「君の悩みを晴らす?」
「正解!!」
「はぁ?もしや救世主って呼ばれるまで探偵にでもなるんですか?」
「ちょっと違うかな?正確には銀……もごもご」
「それ以上は言わないでください」
問題発言をしようとしたお姉さんの口を塞ぐ。あぶない消される消される。
「それで私は万○屋のメ○ネにでもなればいいんですか?」
「君も言ってるじゃないか……んまぁ大体それであってるよ」
「それで、最初の標的が俺と……」
「言い方悪いなぁ」
「それじゃぁ、辞めた方がいいですよ。無駄足になるので。さっさと次の悩んでる人見つけた方が早いですよ。俺も手伝いますから」
俺はこの人のことをあまり知らないし、まだ悩みを話したわけじゃない。けどわかる。この人に俺の悩みを晴らせるわけがない。いや「晴らされたくない」の方が正しいか……
「だが断る。キリッ」
「どこの漫画家ですか……自分でキリッって言ってる人初めて見ましたよ」
「まずどんな悩みがあるのか、私は聞いてすらない」
「人の悩みを無理やり聞き出す救世主なんて見たことも聞いたこともないですよ」
「もちろん、人の悩みを無理やり聞き出すのは良くないって知ってる。けど君言ったじゃないか……」
お姉さんはそこで一息ついた。そして顔に悪戯が成功した子供みたいな笑みを浮かべると。
「「どうせ今日死ぬ予定でしたし」って」
「は?」
「だって君はこの言葉を使いながら、死ぬ覚悟が必要な頼みごとに二つ返事でOKしただろう?なんなら君はもともとこの時間天国に……いや死体になっているはずなんだ。だったら、君を生かしたこの、恩人の私に悩みを話すくらい、いいじゃないか」
「言ってること滅茶苦茶ですよ。そんなんで、救世主になって演説するとき大丈夫ですか?」
「その時までに練習しとくよ。けど私の協力者なんだろう?君は」
そう言いながら、俺を指さす。あぁ滅茶苦茶だ。滅茶苦茶すぎる。けど、不覚にも
「わかりました。話ましょう……もともと死ぬ予定でしたしね」
安心する。
※※※
あとがき
ここまで読んでくれてありがとうございます。(後半読みにくくてすいません)
やっと出せたー。本当に言ってること滅茶苦茶ですよ。ほんとね文才が欲しい。
毎回コメントくれる方本当にありがとうございます。書いてる最中投げ出したくなったんですけど、コメントのおかげで書ききれました。ありがとうございました。
次回、伸ばしに伸ばした本題ぜひ見てください
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます