第24話 盗賊をワンパンする
「ぎゃはははっ! そこのヤツ! 大人しく俺たちに殺されろ……っ!」
髭面のオッサンが、俺を指さす。
こいつらは……黒狼団という盗賊団だ。
そして戦闘の黒い眼帯をつけているオッサン、黒狼団の頭目のガイウス。
主人公のヴァイスとは二回戦うことになるが、一度目は必ず負ける相手だ。
ちなみに二度目の戦いでも、かなり苦戦する強めのボスキャラ……
ていうかなんでルーナ孤児院を黒狼団が襲うんだ?
ゲームでは孤児院襲撃イベントなんてなかったぞ……??
「俺たちの狙いは、オウガ・フォン・ブライラントだけだったが……」
ガイウスはフェリシアさんを見ながら舌なめずりをする。
まさか……
「おい。そこの女ども、脱げ! さもないと……」
「きゃあ!」
近くにいた孤児院の女の子を捕まえて、首にナイフを突きつける。
女の子の表情は、恐怖でガタガタ震えている。
「こいつの首を搔っ切るぞ……っ!」
女の子を人質に取って、フェリシアさん、ファルネーゼ、エステルを犯すつもりらしい……
まあいかにも盗賊らしいクズムーブをやってくる。
さて、どうするか……?
まずはステータスと、相手の心理状態を見抜くか……
俺の鑑定は人の心理をも見抜くことができる。
何度か特級鑑定を学園で試していたら、【心理状態】の画面が解放された。
ガイウスは人質を取っている。
だからガイウスを刺激しないようにしないと……
――特級鑑定、発動。
心理状態:恐怖
ガイウスの心は、強い恐怖に支配されてるようだ。
誰かに脅されているのか……
屈強な盗賊のガイウスを脅すようなヤツって、いったいどんなヤバいヤツなのか?
「貴様……少女を人質に取った上、しかもわたしたちに服を脱げというのか? 生きる価値もないゴミクズだ」
エステルが腰の剣に手をかけた。
ヤバい! 正義感の強いエステルが、キレかけている。
ここで下手を打てば、最悪の事態が起きるリスクが……
仕方ない。盗賊たちが死ぬかもしれないが――
「古代魔法――【根源干渉】」
「「「う……っ?!」」」
ガイウスと盗賊たちは、バタバタと床に倒れる。
苦しそうに、のたうち回るガイウスたち。
「こ、これはいったい……?」
エステルが驚いて、剣を手から離す。
「古代魔法の根源干渉を仕掛けた」
「根源干渉……?」
「ああ。魔力の生まれる根源に直接働きかけて、魔力回路を塞いだ」
人にはそれぞれ魔力を生み出す根源がある。
その根源から生まれた魔力は、魔力回路を通って人の身体を循環している。
このゲームでは魔力とは一種の生命エネルギーだとされていて、魔力回路を塞いでしまえば、人はまともに動けなくなる。
言ってしまえば……全身を循る血液を、一気に止めてしまうようなものだ。
「そ、そんなことが本当にできるなんて……ブライラント様、すごすぎます!」
ファルネーゼが驚いた表情で俺を見つめる。
俺も根源干渉は一度も使ったことはなかったから、実際どうなるのかわからなかった。
今は死なない程度に魔力操作をして、ギリギリのところで盗賊たちを生かしている。
「……こいつらは誰かに脅されているみたいだからな。脅したヤツが誰なのか、ちゃんと聞きださないといけない」
俺がガイウスに近づくと、窓から怪しい赤い光が入ってきて――
「ぐわああああああああああああああああ!!」
白目を剥いたガイウスが突然立ち上がり、叫び声を上げる。
涎を垂らしながら剣を振り回す。
明らかに正気ではない……
これは、どこかで見たことがある気がする。
……催眠魔法にかかった、ヒロインたちのアへ顔に似ているような?
催眠魔法を使われたのなら、さっきの赤い光も説明がつく。
たぶん脅したヤツが催眠魔法を使ったようだ。
「ぶ、ブライラントを……コロス!!」
ガイウスの筋肉が膨張し、上半身の服がビリビリに破れる。
どうやら催眠魔法の効力で、無理やり身体能力を上げられたらしい。
「ぐわあああああ!!」
ガイウスは俺に向かって突進してくるが――
「物理で殴ればいいのなら、俺の勝ちだ」
古代魔法――身体強化。
根源に働きかけて、体内の魔力回路に魔力を大量に流す。
これで身体能力を極限まで上げて――
「ブライラント様っ! 逃げて……っ!」
ガイウスの剣が俺に迫る。
ファルネーゼが悲鳴を上げるが、
「……骨は折れちまうが、仕方ないな」
「ぐは……っ!!」
俺はガイウスにアッパーを喰らわす。
ガイウスは宙に舞って、床に叩きつけられた。
「うん。まだまだ強化できそうだ――」
さっきは根源から出る魔力を、一割増やしただけ。
もっと増やせばかなりエグイ威力になる……
「オウガさん……っ!!」
「ぶ……っ!!」
エステルが俺に抱き着いてくる。
アンジェリカ以上の凶悪すぎるおっぱいに、俺の顔は挟まれてしまう。
「なんて強い方なんだっ!! わたしを奴隷にしてください!!」
「なんでいきなり奴隷……?!」
あ、そっか。
姫騎士のエステルは、クールなドSに見えて実はドMの設定。
自分より強い男に「くっころ」されたい願望があるキャラだった……
まあエロゲだからな、この世界。
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