第8話 オウガ様は何でもできるんです

「い、いったい、なにをした……? ブライラント!?」


 おいおい。クラウス殿下、決闘相手になにが起きたか聞いちゃうのかよ?

 それはさすがにいろいろマズイのでは……? 王族として。

 まあ聞かれたら答えるか。黙っていたらもっと叫びそうだし。


「魔力無効ですよ。クラウス殿下と同等の魔力をぶつけることで、魔力を相殺したんです」

「ま、魔力を……相殺しただと……そんなことができるわけ――」

「それができるんですよ。だってオウガ様ですもん! オウガ様は何でもできるのです!」


 アンジェリカ……恥ずかしいからやめてくれ。

 しかもプライドの高いクラウスを怒らせちゃうから!


「いったいどこで古代魔法を覚えた……?」


 外国と国境を接しているブライラント公爵家は、代々、防御魔法を研究してきた。

 俺は毎日、ブライラント公爵家の蔵書を漁っていたら、ついに見つけた!

 それは――古代の失われた魔法が記された魔導書だ。

 蔵書の倉庫の奥深くに隠れていた。公爵の地位にふんぞり返って怠惰に過ごしていた先代のブライラント公爵は気づかなったらしい。マジでもったいない……

 

「――という感じで、古代魔法を覚えた」

「いや、しかし……魔導書を読んだとしても、普通の人間が古代魔法を習得できるわけが――」

「それができるんですっ! オウガ様は何でもでき――むぐぐ……っ!」

 

 俺はアンジェリカの口を塞ぐ。

 これ以上、クラウスのヘイトを買って王族から睨まれたらマズイ……

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