第7話 特級鑑定が発動する
「これより、ブライラント公爵令息と、クラウス王子殿下の決闘を始めます!」
審判役の学園生が、宣言する。
学園の敷地にある魔法訓練場へ連れて行かれた俺。
ゲームのシナリオでは、ヴァイスとクラウスが戦うはずなのに……。なんでこうなるんだよ!!
「キミを私の炎属性魔法で焼き尽くそう。裏切り者が……っ!!」
なんかどんどんブチキレてきているし……。マジでめんどくさいことになってきた。
クラウスのステータスは見たことないな。ちょっと鑑定でも使ってみるか!
「鑑定――アクティブ!」
そう。いちいち「アクティブ」と詠唱しないとスキルが発動しない世界。
しかもけっこうデカめの声で言わないとダメらしい。
はじめてスキルを使うがいざ詠唱するとなると恥ずかしい……
クラウス・フォン・アルトリア
職業:王族
レベル:15
攻撃:50
防御:23
体力:31
魔力:101
俊敏:42
幸運:22
『特級鑑定』
適性
炎属性魔法:C
氷属性魔法:S
剣術:A
レベル15で魔力が三桁か。やはり王族だから基礎ステータスは高い。
……うん? ステータスの下に『適性』が出ている?
これはゲームでは見たことないな。
プレイヤーが操作できるキャラでも『鑑定』を使えるやつがいたが、『適性』なんて画面はなかったぞ……?
ていうか『特級鑑定』ってなんだ? マジで全然わからんのだが。
……たぶんこういう意味だ。クラウスは炎属性魔法より氷属性魔法の適性がある、ということだ。使える魔法属性が二つもあるのはさすが王族。普通の人間は使える属性は一つだけだからな。
要するに、クラウスは氷属性魔法を使ったほうが強いのだが――
「私の炎魔法……キミに防げるかな?」
うーん、そうかあ……。クラウスは自分が炎属性に適性がないから氷属性の魔法を使ったほうが明らかに強いんだけど、本人はそのことに気づいていないらしい。
俺には適性が見えちゃったからガチで教えてあげたいんだけど――
「なあ……クラウス殿下。氷属性魔法は覚えているのか?」
「氷属性魔法だと?! 私には炎属性魔法がふさわしい。代々王族は炎属性魔法を使ってきたからな!!」
「……もしかたら、氷属性魔法のほうが向いているかもしれない、とか思わない?」
「バカなことを言うな! あ、わかったぞ! 本当は逃げたいのだろう? はははっ! 土下座して私の靴を舐めたら許してやってもいいぞ? ブライラント!」
マジで話が通じない……。この調子だと何を言っても無駄っぽい。
ステータス的に、普通にクラウスはオウガに勝てない。
Sランク適性の氷属性魔法を使えば俺の魔法と対等になれるのだが……。このままだと、王族に圧勝してしまう。
そうなればかなり目立ってしまうな。
「あのバカ王子。最強のオウガ様相手にイキってゴミクズ同然です。早くわからせてあげましょう」
「……っ!! メイドのくせに!!」
おいおいおい! アンジェリカさん、クラウスを挑発してどうする?!
これでクラウスが全力を出してきて、俺がそれを潰しちゃったら……?
「ふん。では行くぞ……っ! ヘルファイアあああああああ!!」
右手から激しい炎が放たれる。
でかい炎の塊が俺に迫って来るが。
しかし――
「魔力無効――」
「な……っ!」
一瞬で炎が消えてしまった。
まるで何もなかったみたいに……
「いったいなんだ? なにが起こったんだ?!」
「……ここまでとは、な」
クラウスは焦りまくって、冷や汗をかいている。
無理もない。上級魔法のヘルファイアが無効化されたからだ。
自分でもここまで強力な無効化ができるとは思わなかった。マジでヤベえな、これ。
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