第9話 村長の末路-1
空から飛んできたミトスに驚く一同。
「バ、バルガスは!? バルガスを追って行ったのではないのですか!?」
「彼なら死んだよ。大して強くもないし、俺の筋肉の為にもならない詰まらない男だ」
「き、筋肉!? うそをつけ!! 奴はB級傭兵だ。貴様なんかにやられる訳がない!!」
「現実を見なよ。俺がここに来ているのが何よりの証拠じゃないか。さて覚悟は良いかい? 次は君達の番だ」
ゆっくりと歩いて近づくミトス。
その度に後退りし、石に躓き尻餅をつく奴隷商人。
「や、やめてくれ。わかった!! この村にはもう手を出さない!!」
奴隷商人の首を掴み持ち上げる。
ギリギリと力を込めると、苦悶の表情をする。
「ぐっくっ」
「苦しいかい? でも君達に攫われ、奴隷に落とされた者たちはもっと辛い目に遭っているだろうね。君達の私利私欲の為に犠牲となってね」
「は、離したまえ。でなければエルフの村全員がお前の敵だぞ!!」
村長アスカテがビビりながらも私欲の為に勇気を振り絞りミトスを脅す。
「こけおどしだね。では村で問おうか。君達の悪行を知ってもらった上でね」
「良いだろう。私はこの村の村長だ。私が一番偉いのだ。例え天空樹の一族だろうと関係ない」
「そうだぜ親父。こんなエルフはみんなで戦えば怖くねぇ。今なら許してやらんこともない。土下座すれば考えてやる」
「この村で夫に敵う者などいないわ。悪事は全て貴方のせいにさせてもらうわ。いい気味だわ」
「ぷっくくっ。馬鹿だね。さぁ行こうか村へ」
奴隷商人を引きずりながら村へと戻る。
隣にはアシュルが心配そうな顔でミトスを見る。
「大丈夫さ。君達を普段から皆が見ていればね」
村へと戻ってきた。
途端に村長は村のみんなを集め出す。
広場に集まったエルフ。
50人程集まった所で村長は声高々に話をする。
「みんな集まってくれてありがとう。いきなりだが、最近この村でエルフの行方不明者が続出している事は皆が承知している通りだ」
突然の話で皆が困惑する。
「分かっている。それ程に危機的であり、皆が心配していることも。そして悲しんでいることも。だが心配は要らない。この男が村の者を誘拐し、この奴隷商人と手を組み、ヒューマンの貴族に売り捌いている事を突き止めた」
「あぁ!? なんだと!?」「ふざけんな!!」「俺たちの仲間を売り捌いただと!?」「俺の娘もいるんだぞ!!」「私の恋人も売られたの? 返せ!! 私の愛する人を返して!!」
次々と非難の声を上げる村人。
うんうんと頷く村長。
「さすが親父だぜ。もう村の奴らを味方にした。これでアイツも終わりだぜ」
「因果応報だ。我らでこの者を討ち、攫われた仲間の応報をせよ」
「恨みとは怖いわねぇ。でも今は頼もしい限りだわぁ」
「だな。私にかかればこんなもんだ。エルフだろうとヒューマンだろうと言葉で操れば好きに動いてくれる。バカな連中だ」
未だに鳴り止まない罵声と非難の声。
「応報せよ」
「応報せよ」
「応報せよ」
「応報せよ」
「応報せよ」
「応報せよ」
応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。応報せよ。
「ふっははは!! やはりこの結果になったか!! もはやこの流れは止められまい!! 報いを受けよ小僧!!」
「アスカテに応報せよ。村長一家に応報せよ。奴隷商人に応報せよ。」
「あひょっ?」
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