第29話 決闘当日
決闘当日。俺は立花と一緒に、彼女所有の機体ドックで準備を行っていた。
「
立花が空中コンソールを操作して、俺のビームガトリングやヒートサーベルを整備している。
俺たちのように
他には
あ、ちなみにだが生身で決闘をすることは想定されていない。なのでスサノオが俺を
ちなみにこの法律は明日には変更されて、生身での決闘は禁止になると決まっている。
生身相手に決闘を申し込んで、相手に断らせる選択肢を奪えば合法殺人になってしまうからだ。
氷室さんが俺が決闘を申し込んだのを理由にして、即座にダンジョン法の改定を行ったらしい。というか立花はそれ前提で俺に決闘させたみたいだ。
だが殺しが禁止だとしても事故は起きる可能性はある。決闘自体が物騒極まりないし、以前の日本ならあり得なかっただろう。
というかこの決闘はダンジョン法で規定されているのだが、日本の法律ではなくて海外が決めた条約に近いらしい。銃社会の国が大きく関わっているのもあって、こういった物騒な法律が生まれていると。
ダンジョンが出現したことで色々と変わってしまってるなあ。
「あくまでスポーツに近い試合ってことだよな」
「そうね。殺し合いなんて日本は認めるわけないじゃない」
「……もしかして他国では認めてるところもあるのか?」
「ええ。自国の
そんな恐ろしい国もあるとは世も末だ。絶対に関わりたくない。
「各国は優秀な
「随分と物騒な話だな……」
「ダンジョンの開拓次第でその国の経済が大きく動く。なら当然だけどそういった話も出てくるのよ。それこそ世界一の
なんとも凄まじい話だ。そんなレベルならそりゃ引き抜きや暗殺がされるわけだ。
するとマクスウェルの声が響いてくる。
『ご安心ください。マスターなら暗殺を仕掛けられても返り討ちにできますから。暗殺者が生身で襲ってきても負ける要素がありません』
「そりゃそうだけどさ」
流石に怪獣を蹴り殺せる俺が、生身の人間に負けるとは思えない。
というか下手に暗殺者を攻撃したら危ない。相手が即死する恐れまである。
そんなことを考えていると立花が軽く手を振るって、出していた空中コンソールを消した。
「これで武器の整備は終わりよ。あのマスオとかいう相手なら、このビームガトリングやヒートサーベルで十分勝てる。ただコクピットは狙ったらダメよ」
「もちろん」
手加減用のヒートサーベルを受け取って軽く振ってみる。うん、今日も悪くない感触な気がする。
「さっきも言ったけどなるべく武器を使って戦いなさい。貴方が下手に
「いやマスオじゃなくてマスノオだろ」
『マスター。あの男はスサノオです』
いかん混ざった。スサノオ、スサノオ……よし。
俺は現状では武器を使わない方が強いのだが、そうすると対戦相手のスサオノに危険が及んでしまう。そのため蹴りなどは使わないつもりだ。
「わかってるよ。相手を殺したいわけじゃないしな」
「その通りよ。スサノオは殺すよりも、生き恥をかかせた方がより苦しませられるわ」
「苦しませるために殺さないわけじゃないからな?」
まったく俺は平和主義者なのに立花が過激派過ぎる。
とは言えどもスサノオが周囲に迷惑をかける人間なのは違いないし、少しお灸を据えてやる必要はあるが。
「念のために言っておくけど、なるべくマスオが無様になるように負けさせるのよ。二度と人前に立てないくらいに恥を刻んで、数日に一度は狂うほどに心を完膚なきまでに砕くの。バカは死なないと治らないから」
「そこまで無残に心を砕く方法を教えて欲しいんだが」
そんなの洗脳でも無理だと思うし、むしろ出来たら危険な気がする。
『大丈夫です、マスター。すでにスサノオの心をへし折る舞台は整っています。決闘で彼の機体を生身でボコボコにすれば、もう恥ずかしくて発狂するでしょう』
「そこまでか?」
『はい。
「文字通りの公開処刑よ。言ったわよね?」
思ったよりもスサノオ君が絶望的な盤面について。
とは言えどもあいつのやったことを考えると、これくらいは仕方ない気もする。人を間接的に殺そうとするやつだからな。
すると立花は何故か俺の手を掴んで引っ張ってきた。
「そろそろ行きましょうか」
「お、おお……」
……なんで手を掴まれたんだ? まあいいけどさ。
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