とりあえず、ご飯にしよう

 さて、家族友人に連絡し終わった私でしたが、次の不安に襲われました。


「お父さん帰ってくるって言ってたな……。車巻き込まれないかな。不安だ」


 正直、思います。そんなこと考えたってどうにもなんない!

 だってそうなんですよ、私じゃあどうにもできないんです。どうにもできないことをあれこれ考えたってどうしようもないんです。私はただ待ってることしかできないんです。

 不安に負けて、一度だけ父に電話をかけました。家に戻れるルートを探している最中で、通行止めの表示に驚いていました。私も驚きました。


 結論から言います。早くお昼を食べましょう。お腹がいっぱいの人は、避難をしながらでもいいから少しずつ日常のことをしましょう。自分にできることをしたら、あとは時間が過ぎるのを待つだけです。

 避難所にいるなら、職員さんを手伝ってもいい。家にいるなら家事をしたっていい。不安でたまらないなら、できることをしましょう。それもできたのなら、あなたは充分立派です。よく動くことができました。勇敢です。


 父は一時間ほどして帰ってきました。ずぶぬれになり、庭の様子に落胆し、近所の人に顔を見せた後、家で昼食をとりました。そのころには、私も少し落ち着きを取り戻しました。これはネットで話していた友人の功績も大きいです。


 お腹が空いていると、ろくなこと考えません。災害警報にビビりまくり、毛布にくるまって縮こまり、さらに不安の渦に巻き込まれてしまう。そんなことをしてしまえば、本当に大事な時に動けないかもしれないのに!


 お腹は空いていませんか? 何か食べましょう。話はそれからです。


【その二 空腹を避けること】

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