第44話 呪縛の人形

20:11


俺たちは連絡で伝えられた食堂にたどり着いた。


ここに来るまでにゾンビとの接触をしていない。


青灯のやつらがゾンビを管理することができるのか?


それなら、ここに全員集まれば、作戦時に全滅される。


俺は不安を抱きながら、中井の到着を待った。


20:12


食堂に到着して、すぐに中井からの合図が来た。


20:32


俺とサイトは中井に連れられ、他の人はバレないよう体育館に潜り込んだ。


中井から渡されたリスト者は10名


仙道 琮一

羽柴 夜光→大予言者の孫

神崎 法政→生徒会長

天堂 道哉↗︎副会長

久道 宮孤→書記

甲斐 乃咲→風紀委員

杉本 付保斗↘︎広報

名波 優希↗︎会計

鴨島 弦←ラグビー部エース

櫂須磨 響鬼↖︎剣道部エース


前になんとなく決めておいた暗号が今、役立つとはな。


矢印の意味は

→ 味方

↗︎ 敵

↘︎ スパイ

← リーダ

↖︎ 利用


やはり敵は青灯。

でも、青灯はなぜ俺たちに執着するんだ?


仲間の鴨島を負かしたからか?

それとも、他の理由があるのか?


「遊佐木、藍川。おまえらには羽柴と会ってもらう。心の準備をしておけ」


非常階段を登り、2階の1年生の教室を通っている。


図書室かカフェへと向かっていそうだ。


カフェに入るのか?


サイトはわかりきった顔でカフェへと入り、続いて俺も入ると…


「ゾ!?」


中井は平然とどうした?と見てきた。


「Wonderful thing!!ゾンビの拷問ですか。で、何が目的なんですか?」


ま、まさか!?


俺の神経が嫌な予感がすると叫んでいる。


「敵の全滅。で、これは友人を殺せることの照明だ。ふ、これをやつらに見せたら、悍ましい顔をして出ていった」


羽柴がゾンビに変えられる光景を想像してしまう。 


一応、部員…仲間だぞ…


普通の人なら、顔が青ざめていくはず。


でも、俺にはもうそんなことはできなかった。


「じゃあ、藍川は俺についてこい。遊佐木は戻れ」


俺は胸に掌を当て、目を瞑りながら深呼吸をする。

一度、気持ちを落ち着かせる。


それから、俺は体育館に向かった。


5月20日8:12


「順に並んで膝まつげ!!」


朝の食料配給が来た。

その中には中井とサイトもいた。


先頭にいるのが、天堂 道哉。

俺は大学に全校集会など(式を除く0 )がほぼないため、一々生徒会役員など覚えていなかった。


10:24


指定された場所で中井に作戦の全貌を聞き、薮野たちにそれを伝えた。


5月21日11時43分 作戦実行44分前


体育館の壁にもたれかかった。


香瀬はあれから一体どんな気持ちで………


「遊佐木様、そろそろお準備をしましょう」


「ああ」


俺は立ち上がった。

気持ちを切り替えるために脳内でおさらいしておくか。


作戦内容は

鴨島の無力化をするα班 

→俺,薮野,白田,サイト,九井

真正面突破をするβ班

→中井,神崎,杉本,運動部

体育館を防衛するγ班

→那斗,仙道,須葉,久道,甲斐,その他生徒

に別れ、昼の食料配布の際に作戦実行。


そして、各班の役目を果たす。


全て中井が決めた作戦と会長から聞いている。


1つを除き、妥当な配置だと思う。

ただ1つを除き………


5月20日9:27


作戦実行に当たっての重要な人々が体育倉庫へと集められた。


真ん中を開けるように集められている。


左からサイト,俺,薮野,白田,那斗,九井,仙道,須葉,神崎,久道,甲斐と輪になっていた。


昨日、あれから羽柴のことについて、生徒会の人に聞いたが、みんなも中井に連れられていかれた後は知らないと答えた。


俺は疑問を1つ浮かべる。


本当に羽柴だけで証明することができているのだろうか。


証明させるために1番有効的なのは薮野のはず…


でも、薮野に対しては、青灯側につくときに証明したから、意味がないということなのか?


頭を悩ませていると、中井が外と繋がる少し狭い窓から入ってきた。


「全員揃っているな。じゃあ、作戦事項について明かす」


中井がいつも通り前置きなく、真剣な表情で話そうとした。


「ちょ、ちょっと待て」


慌てて仙道は中井の話しを止める。


「時間がないのはわかっているけど…この作戦はみんなに伝えなくていいの?」


みんな(一部を除き)の雰囲気が一気に静まりかえる。


「仙道。これは秘密裏の作戦だ。それでおまえを入れたわけはおまえが1番、みんなを落ち着かせられるためである。だから、伝えたいなら説得するわけを言え」


そう。これは秘密裏の作戦。

やつらにバレたら、元のこうもない。


でも、仙道の言ったことにも一理ある。

作戦について、みんなに伝えなければ、作戦開始の時点でパニック状態に陥る。


そんなことが起きれば、みんなでまとまることなんてまずできない。


ここにいる全員が仙道の言葉を待つ。


「俺は…俺はみんなと団結して、やつらを倒したい!理由は思いつかないけど…それでも、団結しないと、やつらを倒せない気がするんだ!」


「おまえのかんだけで作戦変更はできない。だけど、ここにいる他の人が賛成するなら、変更する。仙道に賛成する人は手を挙げて」


ここにいる半分以上が恐る恐る手を挙げる。


最後に残されたのは、俺と九井,神崎だった。


よく考えた結果、俺は仙道の意見に賛成と出たため、手を挙げた。


「他2人は反対ということでいいんだな?」


中井の言葉を聞いた2人は頷き、作戦事項は19:30にまた集合し、知らされることになった。


19:56


「行くぞ。遊佐木」


他の人たちが退室後、俺と中井は反対をした九井,神崎に話しを聞きに行くことにした。


体育倉庫を出ると、那斗が手を振って走ってきた。


「健斗くん!奈畝啞ちゃんは体育館裏にいるよ。神崎会長はあそこの隅にいるよ」


神崎のいるところに指を指した那斗はにこっりと微笑みながら、返事を待っいる。


「ああ、ありがとう」


那斗はえへへと言って、俺たちは体育館裏に向かうため、後にした。


舞台に上がり、探し始めると、すぐに見つかり、九井は赤いカーテンの後ろに座っていた。


悲しい暗い表情している。

まるでそれは孤独のお姫様のように…


「九井、話しがある」


中井が話しかけると、九井は感情が爆発したかのように立ち上がり、何も言ってない俺たちに対して、反論してきた。


「どうせ!私なんて!いらない人間なのよ!!」


「何を言っている?」


涙目で拳を握りしめている。


俺も何を言っているのかがわからない。


「惚けないで!もうわかっているんでしょ!」


俺は今までの言動・行動から推測した。


九井、てまさかの完璧主義者だったのか!?


そんなことよりも、これは過去に何かあったやつだな。


そして、中井は全くわかっていなそうだった。


「だから!もう…ほかっておいて…」


孤独…

それが彼女が歩んできた道…

俺が歩みかけようとしていた道…


俺は孤独の悲しさを知っている。

だから!


「俺は!」


「行くぞ、遊佐木」


わかっていないためか、中井がゴミを見る目で九井を見ていたことに今、気づいた。


俺は中井には逆らえない………


視線は下にいく。

拳を強く握り締める。

何もできない悔しさと怒りが心の中で争う。


「だけど!………」


視線を上げた先には中井がいた。


彼は冷淡な目で俺に問いかけてきていた。

おまえなら、こっちに来るよな?と…


あ………


遊佐木は中井に従い、体育館 体育倉庫に歩いていった。


俺はいつの日から、中井の手駒になったのだろ………か………


遊佐木は放心状態になってしまった。

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