第39話 遊佐木の過去③

ザンベジ戦争にて、アメリカ軍は支援国として、1番の戦歴を挙げていた。


僕の脳の一部が破壊されるまでは…



教会から24m吹き飛ばされたところで気を失いかけていた。


蒼士は…

どうなっている…?


瓦礫の下敷きになっている可能性が高い。

すぐに助け出さなければ…と僕は思っている。


だけど、無理矢理、蒼士を助け出そうとしたことで、爆風をもろにくらい、聴覚がやらかれ、意識もそんなに持たなくてなっていた。



立て………



身体が失われようとも…

動ける限りは動け。


立ち上がろうと、地面に両手をついた。


残っている力を全て使い、立とうとするが僕はすぐに地面に倒れてしまった。


蒼士………


僕は立てない自分を憎みながら、倒壊した教会を見上げた。



瓦礫の下から、1人の男が出てきた。


誰…だ…?



「ポーカーフェイス。なぜ君がここにいる?まぁいい。ここで始末できるなら、ラッキーだ。」


僕は誰かいたことだけはわかっていた。


だが、どんどん意識が遠のいていっていたため、そのときは顔や体型は確認できなかった。


パンッ!



次に僕が目覚めたのは、日本のとある総合病院だった。

-


俺はあの戦争で何者かに大脳あたりを撃たれた。


奇跡的に助かったが、SOGを退職。


サンベジ戦争 カロモ戦で俺は戦死と記録され、二度アメリカへは来てはいけないことになった。



撃たれた弾は貫通しなず、まだ脳にあり、取り出さない。


その影響で、俺は運動はしてはいけない、脳を連続で使い続けてはいけない、と言われているが、日常で運動しても脳を使ってもそんなに影響はなかった。


激しい運動や脳連続で使うと、すぐにリターンしてきた。


それは脳が少しずつ焼け無くなっていくことだ。


すでに今日、使える分は管理棟で使い切った。



SOGで貢献していたときは、おそらく撃たれた大脳部分がそこをカバーして、焼け無くなることはなかったのだろう。



だから、俺はSOGにいたときよりも、貢献はできない。



「おーい!遊佐木。そいつは罪を償うために自殺しようとしたんだぜ?」


須葉が俺に遠回りでその人を落とせ、といった。


「それはできない。」


左腕が震え始めた。


「自分ごと落ちる気か?」


すると、今まで野垂れ死んでいるように手足をぶら下げ、まったく動いていなかった病院のスタッフが急に混乱し始めた。


「え!?ここは!?え!?」


意識を取り戻したのか!?

いや、洗脳が解けただけだ。


その人は空中でぶら下がっていることに気づき、暴れ始めた。


「なんで!?私が!?」


「落ち着いてください!!俺はあなたを今、片手で掴んでいます。暴れてもらうと一緒に落ちることになるので、安静してください!!」


安静にできるわけないだろうが…


「遊佐木、おまえは優秀なやつだ。ここで死んでもらっては困る。おまえが離さないなら、俺が離さしてやるよ。」


数秒ある。脳を使え。


俺がこの状態でいるのが、限界。


足音が近づいていている。


どうする?


俺の頭の中は真っ白だった。


「じゃあな。」


須葉は首に超硬合金のブレスレット8つを使い、包丁を作り出した。


「え?」


須葉が包丁を俺の右肘を切ろうとした瞬間。


俺は手で掴んでいた病院のスタッフを一本釣りをするように引っ張り上げた。


「あ、ありがとうございます。」


病院のスタッフは俺に対して感謝した。


「あーあ。助けられるんだな。遊佐木。流石だ。ますます欲しくなってきた!!」


須葉は片手にこの世にないものを見たような目で超硬合金の包丁を持ち、向かってきた。


こいつは俺を完全に殺しはしない。

俺は大丈夫だ。


でも、俺が助けた人は必ず殺す。



俺の助けた病院のスタッフは須葉に怯えて後ろに両手を着いた。


その人はとても怯えており、動くことすらできなかった。


「あ…あ…」


「安心しろ。遊佐木、おまえは殺しはしない。だかな、こいつは殺させてもらうぜ。」


俺は立とうとしたが、立てなかった。


引っ張り上げたときに力を使い切ったのか?


それはどうでもいい!

頼むから!立ち上がってくれ!!


須葉は病院のスタッフの前から来た。


「や…やめて…」


「言い残すことはあるか?」


その人は恐怖のあまり声は出せなかった。


「じゃあ、死ね。」



俺は死ぬ直前の人の顔を何度も見てきた。

だから、わかる。


死んでいいのは、兵だけだ。



俺はすぐさま、立ち上がることに成功し、須葉が振り上げ、落とした包丁がその人に当たる寸前で須葉の腕を掴み、押し倒した。


「イッテェ。何するだよ!?遊佐木!!せっかく楽しいところだったのによ!!」


須葉は倒れた瞬間、俺と距離をとった。


「須葉 伯道。俺はおまえのことを良く知っている。だから、和解をしよう。戦うべきじゃない。」


俺は今の状態だど、須葉に勝てないことは確信していた。


そのため、和解しか手段はない。



「おまえが俺の何をしている!!!」


いきなり須葉が子供みたいに泣き喚いた。


は?


俺の言葉がトリガーとなったのか須葉は何らかの金属で作ったピストルを俺に向けてきた。


「俺を知っているのはこうちゃんだけだ!!!おまえに!!俺の何がわかるだよ!!」


こうちゃん?


ピロン


すると、誰かからメールが届く。


俺は即座にメールの内容を確認した。


ナイスタイミングだ。


「何勝手に!!スマホを見てるんだよ!!!」


須葉は引金を強く握り、今にでも撃ってきそうだ。


「俺たちはこうちゃんの友人だ。だから、おまえのことをよく聞いているし、争うことなんてしたくない。」


本当なら、殺したいが、今やりあっている時間などないし、まず殺すことができない。


須葉は好奇心旺盛な子供みたいにはしゃいだ。


「それ!本当か!?」


「ああ、本当だ。だから、ヘリを貸してくれ。」


「ああ!こうちゃんの友人なら!貸す!でも、2つ条件がある。」


どんな条件だ?それ次第で今後の命運は変わってくる。


「1つ目はこうちゃんとあわせてくれ。2つ目はこの病院を爆破しないといけない。」


1つ目はのることができる。 


しかし、2つ目は現状はできない。


「わかった。その条件にはのるが、2つ目は俺たちの仲間を集め終わってからでいいか?」


「ああ!!」


須葉の態度と雰囲気が一気に変わってしまったが、なんとかなりそうだ。


「須葉。頼みがある。」


俺は須葉にバレットMRADを返してくれないか?と尋ねるとすぐに返してもらい、無くなった窓から白田たちの援護をしに行った。

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