第38話 遊佐木の過去②

僕はネットや本からいろんなことを学んだ。



サンベジ戦争開始 79日目


僕は蒼士に感謝をしたいと思った。


どうやって感謝すればいいんだろう。


蒼士に買ってもらったスマホを開き、人に感謝を伝える方法を探した。


えーと、どういうのが、いいのかな。


画面をスクロールしていていった。


「あ、これにしよう!」


僕と蒼士が写った写真入りペンダントネックレスを作り、プレゼントすることに決めた。



1年7ヶ月後


僕はあれから、

アメリカ軍特殊作戦群

通称 SOG

の最高責任者に呼ばれ、SOGに入ることになった。



サンベジ戦争 パンズ戦

「ユサキ中佐。全員配置につきました。」


後輩のエドワードが準備が整ったことを伝えると、僕たちは作戦に取り掛かった。


今回の僕らの作戦は、夜間に相手を殺すいわゆる奇襲を行うことだ。


重要となってくるのは、負傷者と犠牲者を出さない。


僕とエドワードは気づかれないように、茂みを使って近づいた。


パンッ! パンッ!



サンベジ戦争 カロモ戦


アメリカ軍を指揮するのは、ルーク大佐。


この人は勝利のためなら、犠牲を厭わない戦略をする。


サンベジ戦争開始からアメリカ兵は4800人投入されたが、生き残っているのは、2496人。


ここから半分かそれ以下は死ぬだろう。


「おーい。瑛太!なぁに難しい顔をしているだ?もしかして、好きな女の子のことを考えているとかか!?」


「揶揄わないでくださいよ。登美さん。好きな人なんていませんから。」


僕はいつも目を合わせられていたはずなのに、合わせられなくなってしまった。


「あの日のことを気にしているのか?」


「よくご存知になられていますね………」


このことを話すか悩んだ。


少し間をあけ、蒼士に話した。


「パンズ戦のあの夜。

本当は僕たちが奇襲したのではなく、奇襲に奇襲を重ねられ、僕以外は全滅…

ですが、僕1人でザンビア兵を壊滅させられたので、今ここに残っています…

本当なら、この作戦に参加することもなく、僕は軍隊から離脱させられていました…」


僕は蒼士名前で重い空気を作ってしまった。



蒼士は気づいているだろう。


ルーク大佐が僕を軍から離脱させるわけがないと…


いろんな戦果を残してきた僕が使えることを…


「じゃあ、頑張ろう!

この戦いに勝利すれば、確実に北部側 ザンビアは降伏する。

家に帰ってうまい飯でも食いに行こうな。」


頑張ろう…か…


蒼士も気づいているのだろう。


この戦いで僕が使えることを照明しなければ、消されてしまうことに…


蒼士は何も言わずに、僕の元から離れていった。



カロモ殲滅作戦開始数分前


この作戦は至ってシンプルなものだった。


前衛のチームがザンビア兵を減らしながら、カロモの軍令本部へと、突撃。


後衛のチームが残党狩りしながら、前衛の援護に向かう。


蒼士は最前線に行かされ、僕は後衛だった。


おそらく前衛は捨て…


前衛を犠牲にしながら、ザンビア兵を減らし、後衛で叩き潰す。


これに従うしかない…

そうしなければ、僕が消される…


それと…kuti ndinofa…に気づいていて、何も言わずに前衛へと行った………



蒼士の気持ちに応えるべきなのか…

それとも、僕が………



カロモ全滅作戦が開始した。


僕は作戦通りに動き、残党17名の排除した。


無線からアメリカ軍本部ルーク大佐から連絡が来た。


「後衛は市民の殺戮を始めろ。」


あまりにものの命令に、僕は唖然とした。


なんでだ!?なんで!?市民を…


僕は作戦の前にカロモという都市を極秘で調べていた。


カロモは多くの兵の出身地。


ルーク大佐は市民の反感や恨みを買う前に殺すつもりなのか?


そうだとしても、戦争に関わりのない人を殺すのは…


「どうした?ユサキ元中佐。市民を殺戮するぞ。」


一緒にいた仲間の1人が僕を心配してくれたのか、利用したいのか、わからないが、声をかけてくれた。


「ルーク大佐…

なぜ関わりのない市民を殺戮をするのですか?」


僕は消されることを前提として、ルーク大佐に問いかける。


「関わりのない?何を言っている。こいつらはもう当事者。戦争国にいる時点で関わりのある人だ。」


狂ってやがる…


僕は周りを見渡すと、仲間全員が敵になったように僕に銃を向けていた。


「どうした?大佐からの命令か?」


「いや違う。これは国からの命令だ。」


大佐は元々、僕を最大限まで利用する。

でも、国はそれを許さないらしい。


ダダダダダダ


僕を取り囲んでいた仲間全員を撃ち殺した。


市民を殺しなんかしない。

僕が殺すのは兵と国のトップのみだ。


命令違反をし、前衛へと向かった。



僕が前衛に行く理由は

・仲間の救出

・前線の敵の壊滅

・敵の降伏

          の3つ。


主に降伏が重要視していこう。



前線 モナ・ビ


前衛が突撃している教会モナ・ビへと、到着した。


そこにはアメリカ兵とザンビア兵の遺体が転がっていた。


入ろうとしたが、焦げ臭い匂いがした。


僕は後ろを振り返ると、街は炎の海へと変わっていた。

   


クソ…殺戮が始まっている。

早く敵を降伏させなければ、関係のない市民が

死んでいく。


僕が教会内に入ろうとすると、中から前衛いた1人が腹部を撃たれた重傷の1人を担いで出てきた。


「おい!この中には入らない方がいい!後衛の数人が時限爆弾を仕掛けた。」


早く蒼士を助けに行かなければ!


僕に教会内に再び入ろうとしたら、次は蒼士が怪我人を連れて外は出てきた。


蒼士は僕に気づいたのか、驚愕した様子で僕に対して言ってきた。


「逃げろ!!」


逃げたの方がいいのか…?


「ヒージュ…?」


僕は蒼士と共に怪我人を運ぶため、走って向かった。



おそらく市民の殺戮と建物を燃やした意味は、敵の注意を惹きつける。


その間に時限爆弾を設置し、立て込んでいる敵兵と前衛諸共、全滅させる。



僕は火薬が着火する匂いに気づいた。


僕と蒼士の位置は爆発で死ぬことはないが、倒壊に巻き込まれる位置。


「怪我人を捨てろぉ!!」


ドカーン!!!


蒼士は2人とも助からないことを悟ったのか怪我人を僕に投げた。


教会が倒壊して行く。


怪我人を安全なところへすぐさま投げ捨てた。


「手を掴め!!」


僕は蒼士に手を伸ばしたが、蒼士は手を伸ばしてくれなかった…


「生きろ。」


蒼士は瓦礫に埋もれ、僕は爆風で飛ばされた。






※ kuti ndinofa→自分が死ぬこと

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