第34話 俺は弓道の凄腕と出会ってしまった

俺がやられたゾンビ。


あのゾンビは須葉に操られていたのか?

それとも知能持ちゾンビもいるということなのか?


仮に知能持ちなら、何かを待ち構えていたようにしか見えなかった。


後は山田なら、コンピュータ室にいるだろう。


俺はACRが壊れていないことを今、確認する。


忘れていたが、ACR壊れていないよな?


強い衝撃を受けても基本的には大丈夫であるが…


俺は1つ1つ、部品を確認していった。


弾詰まりもしていない。

よし、破損しているところは特にない。


俺はACRが壊れていないことを確認し終わり、一安心していると、L字の左上の曲がり角の手前にいた。


またここも旋回しながら行く。


俺はさっきと同じく旋回しACRを構え、撃てる体勢で曲がった。


幸いのことに今回はゾンビはいなかった。


俺は拳を握り、コンピュータ室のドアを叩く。


「山田!遊佐木だ。開けてくれ。」


何回かドアを叩くとドアは開き、俺は右腕を何者かに掴まれ、コンピュータ室に入れられた。


俺が入ると、何者かがドアを閉め、鍵を急いでした。


ドンドンドン


俺はこいつらが味方か敵かは一度、ほかり、コンピュータ室内に山田がいるかどうかを確認した。


山田はたくさんのパソコンがある中、手前の右端で何かを調べていた。


「遊佐木、こいつらは味方だ。」


山田はパソコンで何かを調べながら、俺を見ないで言った。


とりあえずは無事だったということである。


ドンドンドン


山田の生存が確認できたので、俺は次に右腕を引いた者、ドアを閉め、鍵をした者、山田の隣にいる者、計3人について調べる。


「俺は遊佐木 瑛太。国立白蓮大学3年生 エアガン部。趣味は銃を撃つこと。やれることは対人と狙撃。」


俺は彼らに自己紹介をし、こうやって自己紹介をしてほしい、とお手本を見せた。


「僕は香瀬 那糸 (こうせ ないと)。静岡県立堂波学院大学2年生 弓道部。趣味は弓道とランニング。やれることは人一倍走れることと、弓矢を使えること。」


香瀬 那糸、第41,42回全国大学弓道選抜大会で連続優勝。オリンピックにも出場確定だったが、これじゃ、もうそれは実現しないだろう。


彼は使えるが、弓矢がないと戦力にはならない。


今のところは伝達要員として、使うことにしよう。


ドントンドン


「私は亜須原 橙子 (あすはら とうこ)です。静岡県立堂波学院大学2年生で弓道部の那糸のマネージャーをしています。趣味は弓道鑑賞で、やれることは研究することとサポートです。」


なんか見たことがある顔と思ったら、新聞やテレビに写っているときにたまに香瀬の隣に女性か。


「私は九井 奈畝啞 (ここのい なせあ)。国立京天学院大学3年生 演劇…部。趣味は演劇とその鑑賞。やれることは人を騙すことでしょうか。」


全員の自己紹介が終わり、俺は奇襲に備え、力を入れていたが、その必要がなくなったため、力を抜いた。


とりあえず、使えないやつはいなそうだな。


「3人ともよろしく。で、そこに倒れているやつはどうやって死んだ?」


俺はコンピュータ室の山田がいる反対側に壁にもたれかかって死んでいる人の死因について、質問する。


ドンドンドン


「彼も僕たちと同じ堂波学院大学4年生の松田 圭 (まつだ けい)先輩。死因はここに入る寸前に九井を庇い、ゾンビに噛まれ、ゾンビになる前に山田 賢治に首を折って殺してもらった。」


松田 圭、彼も弓道で第40回全国大学弓道選抜大会準優勝、第39,41回ベスト8、第42回ベスト4の記録を持つ実力者。


俺は一度、3人をほかり、山田に状況を聞きにいった。


「山田、状況を。」


「今、暴力団グループ 青灯の情報あさりをしているのだが、ハッキングしても対策が施されていて、入り込みづらい。」


ここで青灯の情報を集めるまで待つとすると、さっきからドアを叩き壊そうとしているゾンビ14体に突破される方が先だろう。


「今は青灯を諦めろ。ここから脱出する方が先だ。山田、MP40はどこにある?」


俺は山田が持っていないこと、コンピュータ室にないことを確認してから、山田にMP40がどこにあるか、尋ねた。


「香瀬たちの他に堂波学院の人は2人いた。俺は紗耶香と分かれた後、コンピュータ室から出てきた香瀬たちと出会い、香瀬たちを先に逃すため、その2人を落ちてきた穴から2人を1階に上げたのだが、2人目が上がった後、いきなりゾンビが来たと言い、一度、MP40を渡し、倒し終わったら、返してと言ったのだが、それは嘘でそのまま持っていかれた。」


だから、途中でMP40の銃声が消えたのか。


でも、あのゾンビの中、MP40を失った後、どうやってここまで来れたんだ?


「MP40を失った後はどうやってここまで、来れたんだ?」


「落ちてきた穴の近くに落ちていたモップを武器にして、松田 圭がゾンビ共をぶっ飛ばしながら、コンピュータ室まで再び帰ってきた。」


状況確認は終わり。


それで脱出口なのだが、俺はコンピュータ室全体を見渡す。


人がギリ倒れそうな換気口を発見した。


問題はその換気口が開くかだが…


「遊佐木。あの換気口は松田先輩が死ぬ前に外してくれた。その後、僕が通って見てきたら、1階の床の換気口に繋がっていた。あそこからなら、ドアを開けなくとも、逃げられる。」


俺はなんで逃げなかった理由はすぐに出てきたが、香瀬に聞いた。


「なんで逃げなかったんだ?」


「換気口は本当にギリギリ過ぎて、音を出さずに逃げることはほぼ不可能。1階の状況がわからないまま、脱出することはリスクが高いと思ったから、やめておいたんだ。後は山田が仲間が3人いて銃を持ってるっていうから、少し待ってたんだ。」


山田が一度、俺を見ると、那斗の持っていたACRということに気づいた。


「遊佐木…、持っていた銃は?」


「俺と白田が持っていた新刀、バレットMRAD、SPAS12をこの病院を本塔5階で制している須葉 伯道に渡した。」


山田は須葉の名前を出すと、マジか、という顔をした。


「やっぱりか。須葉 伯道は青灯だ。」

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