第27話 俺たちを待っていたのは、大学で待っていたのは生徒会と剣道部のエースだった。

「よく耐えた。」


俺がパニック状態に陥っていると、マンホールから中井が出てきた。


パンッ! パンッ! パンッ!


中井は持っていたSFP9 で近くにいたゾンビ3体を仕留めた。


「薮野、仙道、大学に入るぞ。」


中井がそういうと俺たちは走り出した。


俺は下水道で20分ぐらい迷ってしまったが、なんとか大学のマンホールに辿り着くことができた。


問題はそこから始まる。

マン鍵を開けるため、SFP9 を使わなければならない。


発砲すると、ゾンビが銃声で気づき、集まってくる。


薮野がマンホールを持ち上げられるのか、仙道は銃が使えるのかが挙げられてくるが、薮野がマンホールを持ち上げることができたなら、ゾンビの数次第であるが、おそらく下水道に入る前に発砲した。


大体はそこへ向かったはずだと思うが、数体は残っていてもおかしくはない。


俺は薮野なら、マンホールを1人で持ち上げることを前提に考えていた。


俺はマンホールに2回ノックした。


すぐに2階ノックが返ってきた。


俺は薮野がマンホールのマン鍵に発砲するために一度、下がると、銃声が聞こえ、すぐに出れるように待機した。


これが俺の事情であった。


俺たちは大学内へと入るために1番近い昇降口に向かう。


全然窓ガラスを割って入ってもいいが、怪我をする、音を立てるところから見ると、昇降口から入った方が良い。


俺たちはゾンビたちの距離を確認しながら、撃ち殺すかどうかを考える。


この距離なら、撃つ必要は特にないが、昇降口が開いていなかったら、時間を稼ぐ必要がある。


俺は薮野に先に行ってくれ、と手で伝えた。 


薮野はそれを見ると仙道を連れて、先に昇降口に行った。


俺はここで少し時間稼ぎをする。


仮に空いていなかった場合、パニック状態に陥ったら、終わりになる。


俺がこんなレベルでなるわけがないが、右腕を痛めているため、できる限り左腕のみを現状使用している。


左腕も使いものにならなくなった場合はマズイことになるため、時間稼ぎは必要だと判断した。


俺は来たゾンビを次々と始末していく。


16秒経ったぐらいに薮野からの合図が来たため、俺は昇降口に向かう。


合図に落ちていた靴を投げてくるのは薮野の性格が現れていそうだが、まぁいいだろう。


俺は昇降口に着くと、仙道がいた。


大学内に入ると仙道は昇降口の扉を閉め、鍵をした。


俺は前を見ると、白蓮大学の制服を来た生徒が7人いた。


今日は一応、金曜日だからほとんどの人は大学に行っている。


生徒会長に、副会長、風紀委員長、書記、会計、広報、剣道部のエースといったところかな。


俺は1人だけ浮いていないか?と思ったが、気のせいにしていた。


おそらく俺たちが対抗するようなら、剣道部のエースに取り押さえてもらうつまりだろう。


竹刀と白蓮大学に置いてある新刀を持っているし。


剣道部のエースの実力は全国並で右腕が生きていれば、ギリ今の薮野と2人でやっと互角ぐらい。


俺と薮野の両腕が生きている状態なら、少し有利なぐらいか。


だとしても、これは勝ち目などない。


俺は持っているSFP9を地面に置き、滑らせて、生徒会の7人の方に渡した。


続いて薮野も渡し、仙道はなんで渡したのかがわかっていなさそうだったが、仙道もSFP9を渡した。


「話しが早いじゃないか。」


生徒会長が喋った。


俺は身体を盾にして、薮野に喋るな、と伝える。


その瞬間…


「何しようとした?」


剣道部エース 櫂須磨 響鬼 (かいすま ひびき)が俺の首に新刀を突きつけた。


流石の観察力だ。

普通の人なら、気づかないレベルの手の動かしで、伝えたはずなのだがね…


「これはサインだよ。意味は喋るな。」


そういうと、櫂須磨は新刀を離し、尺に入れ元の位置に戻った。


下手したら、首が跳ねていた。

危ない危ない。


「俺たちの目的は弓道部の弓を貰いに来た。」


「残念ながら、弓道部の弓矢は我々の武器だ。渡すことはできない。」


生徒会長がそういうと、全員頷いた。


考えていることは同じか。

それより、引きつけたゾンビを先に排除しなければいけない。


下水道で時間がかかった理由はある。

それは鴨島 弦が所属する暴力団 青灯の下っ端4人と攻戦していたからだ。


約25分前


-

俺はマンホールから下水道に入り、大学内にあるマンホールへと向かっていた。


早く向かわなければならない。


俺はスマホを取り出し、メールを開き、遊佐木からの来ていたメールを読み、こちらの情報を送っておいた。


あれがもし、自衛隊だったら、野田に向かって、あんなことはしない。


ていうか、どっちが敵か市民かわからない状態で、武器を向けることはしない。


いや、明らかに誰が見てもわかるがな…


仮にあいつらと野田が暴力団グループの仲間だったとしたら、俺たちに油断させて、俺たちを一気に殺すつもりだったとしたら、野田に殺された理由はただ1つ。


戦いの邪魔をしたからに違いはない。


俺はそう考えていると、下水道に4人の男が座っていた。


脇に銃口が見えた。


銃を構えている。


俺はSFP9をすぐに撃てるように左手で持つ。


「大丈夫ですか?」


俺が声をかけると…


パンッ!


俺は銃弾を避け、反撃をした。


パンッ! パンッ!


2人を仕留めたが、2人は曲がり角に曲がり、逃げていった。


おそらく、さっき俺たちがやり過ごしたときの隊員だろうか。


89式5.56mm小銃は持っていなかったが、持っていた銃はSFP9だった。


となると、こいつらは排除しておいた方がいい。


俺曲がり角を曲がるフリをすると…


パンッ!! パンッ!


やっぱり、待っていたよな。


俺はリロード時間に仕掛けた。

速攻で曲がり角を曲がると、発砲する。


パンッ!    パンッ!


1人にヒットしたが、もう1人には避けられて逃げていった。


クソ。リロード時間を利用させられたか。


右腕が痛んでいるのが、欠点だな。


俺は警戒しながら、追いかける。

  

あいつらがさっきのやつらなら、あと逃げたやつも含めてあと3人はいるはず。


問題は2人がどこにいるかなんだが…


俺はそう考えながら、10分かけて逃げた1人を仕留め、暴力団の名前を確認し、大学内のマンホールを目指し、ジョギングで向かったのであった。

-


そういえば、ヘッドショットで殺しておいて、良かったな。


あいつら1人1個、グレネードを持っていたからな。


生徒会長がSFP9を取ったとき。


俺は1人から取っておいたグレネードを外のゾンビたちに向かって、投げた。










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