第25話 俺たちは結局、手の内で踊らされていた

すると、俺たちはいつの間にか蹴り飛ばされていた。


俺はすぐに立ちあがろうとするが、能力使いの能力によって、四肢を逆方向に引っ張られ、身動きが取れなくなってしまった。


ここからの案はもうない。

拘束されてしまった以上、ほぼ詰み。


仮に彼らが追加で来たとしても、さっきにみたいになるから、来ても意味がない。


「俺を舐めるじゃねぇぞ。」


能力使いは仙道を俺と同じ状態にしたままこっちに向かってくる。


「俺は全国大会で空手の優勝者だぞ?まず勝てるわけもないだろwww」


能力使いは笑い狂いながら、俺に言った。


「安心しろwすぐには殺さない。まずは脳震盪をしてもらって、四肢を引き裂き、2人のお友達の死を見せてから殺してやるからよwww」


能力使いは右腕を後ろに引いた。


「やめろ!」


薮野はそういうがもう遅い。


脳震盪になったら、まともな判断はできるなる。

なら、最後に言いたいことを心の中で言っておこう。


俺は能力使いの心臓辺りの胸を見ながら、こう言った。


もし逆の立場だったら、一瞬で心臓貫いてとっとと、大学に向かってるんだけどな。


俺がそう心の中で呟くと能力使いの胸が貫かれていた。


「え?」


能力使いは驚きながら、動く心臓と共に地面へとついた。


バタッ


なぜ心臓が一定の速さで動いている?と疑問に思ったら、すぐに思考を切り替える。


俺と仙道の拘束は解かれたため、能力使いは死んだということになる。


俺は拘束が解かれるとすぐに隊員の死体から武器を取った。


SFP9と89式5.56mm小銃の30連式。

替えがSFP9の方が2(30発)。

89式5.56mm小銃が4(276発)。

自衛隊が主に使っている銃だな。


俺はその2つを持ち、薮野のところへ向かう。


「待ってろ。」


俺は持って来ておいたワイヤーで切れ口を締め固定し、ライターで焼き、止血をして行く。


薮野は痛そうな顔をしながら、手を差し出し続けた。


止血が終わると、座り込んでいる仙道のところへ向かう。


「仙道。おまえに選択肢を渡す。選べ。」


仙道はなんの選択肢!?俺、何されるの!?という顔をしていた。


「1つ目は俺たちと一緒に行動する。その場合は薮野のコマになれ。

2つ目は俺たちと一緒に行動しない。」


俺は2つの簡単な選択を言った。


俺の中ではもう答えは決まっている。

こいつは1人で行動できない。

だから…


「ひ、1つ目の方で…」


仙道が選択すると俺は薮野のコマになれ、と言った。


薮野のコマになれ、と言った理由は左手がないため、リロードが素早くできなくなる。


だから、誰かは必要なる。

別にこいつじゃなくてもいいが、大学に着くまではこういうやつが1番良い。


「薮野、行くぞ。」


俺たちは隊員の痛いから3人分の銃と遺体分の替えの弾を大学へ向かう。


銃を手に入れた今、弓は必要なくなる。

大きいため、機動力がなさすぎる。


だが、羽柴 夜光が来ている可能性がある。


俺は4年前、占い会では有名な大予言者羽柴 帝國 (はしば ていこく)という男性の老人が今日、この日に予言を出していた。


日本は崩壊する。


羽柴 夜光はおそらく羽柴 帝國の子孫か親戚。


仮に来ていなかったとしても、誰かから情報を聞ければいい。


俺の推測が正しければ、羽柴 夜光は何かしらの対策を4年間ぐらいしてきたはず、それにのれれば、しばらくは安全地帯となる。


そこに薮野と仙道を置いていき、俺は遊佐木たちを迎えに行く。

そうすれば、序盤は制せる。


あ…


俺は仙道に言い忘れていたことを小声で伝える。


「仙道、なるべく音を立てるな。」


仙道はわかりました、と頷いた。


俺は向かっていると、1つの疑問について、考えた。


なぜ、能力使いの死んだのか、だ。

まず自爆したとは考えにくい。


俺が包丁を刺したとき、確実に貫通していたとなると、包丁の刃の部分を違う空間に飛ばす。


貫通した後、刺さってるように見せかけるため、先っぽを戻す。


おそらくこれは高度な技術が必要なはず…


だから、自爆はまずない。


他に考えうることはスナイパーライフル等の遠距離射撃。


だが、これもほぼない。


心臓の部分が見事に跡形もなく、亡くなっていた。


そうできるスナイパーライフルがあるなら、ぜひ見てみたい。


やっぱり、他の能力使いが俺たちを助けたか、俺たちの中に能力使いがいたかのどちらかの可能性が高い。


仮に俺か仙道が能力使いだったら、自覚はしていない。

薮野だった場合はあのとき、使っているはずぁし、すぐに俺に言うはず。


だとすると、この中にいた場合は俺か仙道のどちらか…


と、言うかよく、あの最強能力の1つのやつに立ち向かったな。


俺たちは大通りに出ようとしたとき、さっき能力使いに殺された仲間らしき隊員6名がこっちに向かって歩いてきていた。


俺は腕で止まれ、という合図を出す。


ゾンビが周りにいても、撃っていない。

やはりゾンビは視力が悪いのか?


あと嗅覚もかな?


俺はあいつらを殺すメリットとデメリットを考える。


戦うメリットは特にない。

あるとしたら、武器の数が増えるぐらいだが、負傷すると武器が減る,壊れる、ゾンビを引き寄せる可能性が高すぎるため、ここはやり過ごそう。


俺は薮野と気づくかわからないが千堂にやり過ごす、ということを伝える。


サバイバルゲームをしようとしていた俺たちはエアガン部独自で考えておいた手話らしき合図で伝え合うっている。


そのため、他の人から見たら、わかりづらいかもしれない。


右手を水平にして、左手の人差し指で右手の甲を差す。


俺は仙道の方を見ると、ちゃんとやり過ごすことをわかっていそうだった。


なら、大丈夫そうだ。


やり過ごす時間の間、俺はあの能力使いについて、また考える。


あいつは確か空手の全国大会で優勝と言っていた。


見た感じは10代後半か20代前半。


俺はスポーツに興味がないため、そんなに情報は知らないし、顔が最後までぐちゃぐちゃだったから、特定しづらい。


おそらくこれも能力で身元がバレないように顔を状況が見やすいところに…


そういうことか。

わざと俺たちを懐に潜らせて、蹴りで飛ばしたのか。


ああ、ちゃんと、スポーツのニュースも見ておくべきだったな。


俺は薮野の表情を確認する。


まだ大丈夫そうだな。

念のため、仙道も確認しておくか。


俺は仙道を見ると、仙道は小声で口を開けた。

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