第22話 俺は過去の後悔を背負い続ける
リーダーの遊佐木は寝てしまった。
流石にそうか。
あの爆発が起こる前に俺は車内で中井について、話してもらった。
あれから色々と続いていったから、それは疲れるに決まっている。
俺は疲れていないか美優に聞く。
「美優、疲れていたら、どこで休まないか。」
俺がそういっても美優は見向きもしない。
この子、本当にすごいよな。
美優が転校してきて言った「”許婚”」という言葉。
これが現代では珍し過ぎるのか少な過ぎるのかはほかっておいて、瞬く間に大学内に広がっていた。
白蓮大学にはもうこの人を知らない人はいないレベルのマスコット的な存在になっていたから、大学紹介のときに司会をやったら、絶対バズる。かっこ大学の中でかっこ閉じる。
ワンチャン、生徒会長にもなれたのでは?という意見も聞いたしな…。
中井から美優の情報を聞いてみたかったが、もう中井からは情報をくれないと消すぞー、みたいに扱われていたから、聞けなかった。
いや聞こうと思えば、あーなる前に聞けたが、今みたいに丸まってくれた後の方が安全だ。
なお、合理的ではあるが…。
いやでも、こっちは情報提供していたし、そっちも情報提供してくれますよね?オーラを出していれば、行けたかもしれない。
うーん。それは流石になさそうだし、やりたくはない。
結局のところを言うと中井には逆らいたくはないし、反発を買いたくもない。
感情的にさえならなければ、判断は正しい方だし、なんせ、幼い頃の俺を救ってくれたからな。
あの日、俺を殴ってくれなければ、ずっとこの子をイジメ続けていたかもしれない…。
でもあの日殴られたせいで、中井の幼馴染の紗耶香の左腕を俺の元友達だったやつらが切ってしまい、中井は狂ってしまった。
難しい話しだよな。
俺と美優から見れば、救世主。
中井と紗耶香きら見れば、人生を狂わせる最悪の分岐点…
あの日の殴られていなかった…か…
11年前
-
俺は小さい頃から何をしても大人は怒ってこなかった。
家の花瓶を割っても、エアコンをつけっぱなしにしても、門限を破っても、次から気をつければいいと何度も言われてきた。
ある日、俺は同じ学年で気の弱い女の子を見つけた。
あの子をイジメれば、誰か怒ってくれるのだろうか。
俺はそう思ってしまい、教室内でその女の子の悪口を目の前で言うイジメをしたが、周りにいる人は何も言わなかった。
気づいてくれていないのかな?
俺は誰に怒って欲しくてイジメを続けていってしまった。
女の子をイジメて数ヵ月経つと、4人の男の子グループが俺のところへと話しかけてきた。
話しを聞くと俺たちも混ぜてくれ、と言ってきたので俺は構ってもらえたことが嬉しくて混ぜてしまった。
今でもこれが良かったのか良くなかったかは俺にはわからない。
その男の子4人を入れて、女の子をイジメていくと、日に日にエスカレートしていった。
俺はこれに対して、流石にやり過ぎだ、と言ったが、今頃、そう言っても遅いだろ、と反論され、俺は俺自身を止められなくなってしまった。
そして、迎えたあの日の出来事。
俺はいつも通り4人の男の子を連れて、公園にいた女の子に石を投げてイジメていた。
俺はもう本当はこんなことは支度ない…。
だけど、こうしてないと俺を”構ってくれる人”がいなくなってしまう…
怒ってもらえる理由がなくなってしまう…
そんな恐怖から続けなければ、俺がこの世からいなくなってしまうと思っていたから。
俺たちがそれを続けていると、俺は誰かに殴り飛ばされていた。
痛い。痛いよ。
痛みとはこんなにも痛いのか?
これをあの女の子は毎日、受けていたのか?
俺の心の中は後悔でいっぱいだった。
「うわっ!山田がやられた!逃げろ!」
俺が殴られると男の子4人は逃げていくと、俺の中でもう“構ってくれる人”はいなくなってしまったと確信した。
俺は今までしてきたこと全て後悔し、数分経ったところで家へと泣きながら帰った。
そう中井の全てを狂わせた出来事はこれからだった。
俺は泣きながら帰っていると、一緒に女の子をイジメていた4人の男の子グループを見つけた。
俺はあの女の子に謝りに行こうとすると、4人の男の子は他の女の子をイジメていた。
俺はもうこんな思いを俺たちのせいで他の人にさせたくないという思いで止めにそこへと走った。
俺は絶対に辞めさせるんだ!
「あれ?おい!山田が来たぞ!」
「山田に新しいおもちゃができたことを伝えるぞ!」
4人の男の子たちが気づいたのか、俺に向かって手を振ってきた。
俺はなんで手を振っているのかが、わからなかった。
4人の男の子たちのところに着くと、俺はやめるように言った。
「もう、やめよ。こんなことしても何にもならない…。」
4人の男の子は何を言っているだ?という顔をした。
すると、1人の男の子がいった。
「こいつ、殴り飛ばされて、おかしくなったんじゃね?」
他の男の子たちもきっとそうだ、ということをいい。
4人の男の子たちは帰っていた。
俺はイジメられていた女の子に手を伸ばし、声を掛ける。
「大丈夫?」
女の子は俺の手を振り払い、泣きそうな目でどっかに行ってしまった。
それからその女の子がターゲットなっていることをあの日の数日後に知り、4人の男の子を止めに行き、ボコさせれての日々が始まった。
あの日、俺を殴り飛ばした男の子と出会うまでは…
-
あの後の3ヵ月に事件が起き、紗耶香の左腕が…
いや。もう、思い出すのはやめよう。
俺は気分が悪くなってきたので、”後悔”を思い返すのをやめた。
3:27
車を運転していた美優はコンビニで車を止めた。
「すみません。少し休憩を取ります。」
美優は休むと言った。
「いいよ。美優。私も寝たかったところだから、1回寝てこ。」
紗耶香は眠たそうだが、元気に美優に賛成した。
俺も休むに賛成だが、誰かが見張っていた方が良いと思いつつも、まだ日本にはゾンビ感染が広がっていないため、全員で休んだ方が良いと判断した。
「ああ、俺も賛成だ。」
美優は俺たちの意見を聞くと、車のエンジンを切り、紗耶香と共に眠った。
2人共寝るのが早いな。
それだけ疲れたということだろう。
その後、俺は少し車内を整理し、過去の後悔を背負いながら、眠りに着くのであった。
ゾンビ感染流行まで残り0日
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