第21話 俺たちは車を走行していないと危ない

全員、前に倒れ込みそうになったが、幸いシートベルトをしていたため、なんとか全員無事だ。


俺はみんなに無事かどうか確認する。


「みんな、無事か?怪我とかもないか?」


命に別状のない怪我だったとしても、酷い怪我だった場合、動きつらくなる。


みんなは大丈夫と言った。


そうなると、次は深夜のこの時間帯で平日にも関わらず一般車両で渋滞しているとなると、これにやばいと感じた人たちが逃げようとして、事故が起こり、現状こうなっているというわけか?


「遊佐木様、どうなさいますか?」


少し不安そうに判断を俺に聞いていた。



「こればかりはしょうがない。到着時刻が遅れたとしても、事故の処理が終わるまで待っ…」


顎に指を当てる。


ここでの渋滞…

車のナビでも情報は入ってきてなどいない…

そして、何よりも止まりかたがガタガタ…


不自然な渋滞に違和感を持った俺は辺りを見渡す。

前の車にもその前の車にも誰1人、人が乗っていない?


俺が急に話しをやめたことに対して、美優はどうかしたのか?という顔をしていた。


「どうしたの?遊佐木くん?」


那斗と白田は気づいてなさそうだが、山田と俺はもう気づいていた。


まずいぞ。思っていた以上に早かった…。


この渋滞がゾンビによるものだとしたら、車に乗車していた人たちは逃げたか死んだかそれとも………


必要最低限の物資だけ持って逃げなければならない。


俺は焦らず冷静に指示を出す。


「山田と那斗は必要最低限の物質を持っていく準備を。白田、おまえに中井から預かったM870マリンマグナムSalvo12を渡す。俺と白田は物資を運ぶまでの護衛及び時間稼ぎをする。」


俺がそういうとみんなはすぐに動いた。

白田にM870 マリンマグナム Salvo12を渡した。


「白田に後衛を任せまる。俺は前衛に向かう。」


俺が前衛に向かう理由2つは生存者確認とまだ感染がここにしか広がっていなかった場合、止めておかないと早く感染が広がってしまうのが1つ。

ここまで来るときに高速道路上に人らしきものが見つからなかったため、後衛の方がまだ安全な可能性が高いのが1つ。

だから、俺はどれくらいいるかを確認するため、前衛に向かう。


人数に寄ってはこのまま、歩きで前進するかを決める。

前進できると判断できた場合はおそらく車の鍵が空いているのと、エンジンがかかっているため、前方の車に乗り移ればいいだけだ。


白田は返事を返した。


「はい。わかりました。」


俺はLEDランタンを1つ持ち出し、車の物陰に隠れながら、前進して行く。


明かりがなくても、電灯や車のライトがあるため、明るくないことはないが、念のためのことを考えて持っていく。


人やゾンビの位置は立っていれば、明かりもあるため、簡単に見え…。


車を1つ超えたところに人の死体があった。


人の死体!?


でもなんでこんなところにある?

落ち着け。死因は…射殺。

ゾンビと間違えられて撃たれたのかそれとも、殺す目的で撃たれたのか。


俺は車の前方を見る。


死体と共に結構撃たれている。

俺はこのことを白田達に伝えに行く。


おそらく、奥の方に人がいるのか、それとも…


俺は最悪の場合を考える。

これがもし仮に人を殺す目的のため、何者かぎやっていた場合、証拠隠滅のために最も手取り早い方法は、エンジンをかけた状態の車は連動させて爆発させていくこと。


俺は白田の車のところまで来た。


「分けてくれたところすまないが、車で引き返すぞ。」


全員はなんで?という顔をしていたが、いち早く山田が気づいたようだ。


「2人共、早く乗って。美優はすぐに出発できる準備を。」


2人には訳もわからないまま、乗ってもらうのは失礼だが、後でちゃんと説明すると決めているため、我慢してもらおう。


数秒後、山田と俺で荷物を乗せ終わり、車に急いで乗る。


「Uターンします。」


美優がそういうと車は走り出した。


今、爆発したら、トンネルの中で生き埋めにされるという恐怖を味わいながら、俺と山田はい内心ドキドキしながら、乗っていた。


高速がここまでとなると、結構の痛手にはなってしまうが、全員無事なことは良いことだ。


車がトンネルを抜けると一安心し、さっきの事情を2人に話そうとしたとき。


ドッカーンッ!


後ろで爆発音が聞こえた。


俺と山田は内心で危ねぇ、と思いながら2人共、少し理解したのであった。


あのとき2人で山田と那斗を護衛していたら、今頃、消し飛んでいたんだろうな、と思うと前進して良かった。


その後、俺たちは近くのIC(インターチェンジ)で降りることとさっきの詳しい事情について話し合った。


3:04


俺たちは無事に高速から出られたが、予定の時刻が十分に遅れることが確定している。


約2時間から2倍の約4時間。


このことを中井たちにメールで送っておこう。 


俺はメールを開くと、山田が肩に手を置いてきた。

俺はどうしたんだ?と聞こうと思ったが、山田はやめておいた方がいいと顔で伝えてきた。


俺はさっきのことについて、考える。


なぜ高速で何者かがあれを起こしたのか…。


俺が考えるに確かに言えることは1つ。

日本でゾンビ感染が起こったときにこの名古屋と東京を繋げる高速がないと避難が大分遅れること。


そうなると、もう1つの高速もやられている可能性もあるな。


テロかイカれたやつか。

今、考える必要は特にないが、中井がここにいたら、おそらく考える。


することも特にないし、考えられるだけ考えてみるか。


状況から考えると、テロかイカれたやつが挙げられてくる。

その2つから考えるテロの方が可能性としては高いだろう。


なぜなら、まだイカれるには早い。

日本にはまだ感染は広がっていないため、殺せば捕まる。

その状態で大量人殺しするやつなんて相当イカれているだろう。


知り合いの中に1人、イカれているやつを知ってはいるが…。


となると、テロしかありえない。


テロとなると、名古屋と大阪を結ぶ高速も壊されているのかな…。


俺は長いあくびをし、重いため息を吐いた。


それにしても、眠たすぎる。


那斗の護衛といい、中井の救出といい、続けてこんな事態に巻き込まれるなんて、思ってもいなかったからなぁ。


まぁ、自業自得か。


俺は山田がしない方がいいと伝えてきた理由を投げ出した。


「そろそろ大通りに出ます。」


白田がそういうと俺は目を瞑ってしまった。



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