第20話 どこかに行くときはハプニングというものが付きものです
俺の家から別荘まで歩いて、約2日と3時間30分。距離でいうと、愛知県名古屋市から静岡県の富士山ぐらいまで。
流石にこの荷物でそこまで行くのはどう考えてもキツイため、俺たちは香江の車を使って行こうとしたため、香江の家へと向かっている。
3:49
俺たちはもし車が使えなくなったように、別荘まで行くルートを出し合っていたら、いつの間にか香江の家に着いていた。
香江は車の鍵を取りに行くと、薮野が喋りかけてきた。
「薮野、おまえも香江が車持っていたこと、知ったの那斗の家に来た時からだよな?」
俺は香江が車を持っていることを知っていたら、生活物質だけ持って先に行ってもらう方が早いため、そうしようとしていたが、なんで香江は教えてくれなかったのか。
俺はそれが気になってしまい、薮野に尋ねた。
「いや、俺たちもそんなこと知らなかったぞ。それに車って、どこにあるだ?」
確かにそうだ。香江は自分の物は自分のテリトリーに入れたがる性格だ。
そのため、車が家の敷地内にないのはおかしすぎる…。
!?
「薮野!!塀に隠れろ!!」
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
クソ。やらかした。なんでこんなことに気づかなかったんだ!?
よく考えれば、そんなことわかったはずだろ!?
待て、俺よ。
今は香江の安否とどこにいるのかを考えよう。
高い可能性としたら、家内に人質として抵抗できない状態で捕らえられているかそれとも殺されているかのどちらか…。
だが、俺は…
「薮野。香江の様子はいつから違和感を感じていた?」
香江は赤の他人や信頼していない人は感情を表さないため、俺ら一緒にいるときはよくコミュニケーションを取ってくれる。
でもさっき一緒にここまで来たときは違和感など感じなかった。
そのため、こういうことに手慣れているやつの可能性の方が高い。
だが、これはあくまでも推測。
そうなると…やっぱり…
「いや。そんな違和感など感じてなどいない。」
薮野がそう言うと俺は確信した。
「薮野。さっきまでいた香江は本人。おそらく香江は何者かに脅されて、演技をしている。おまえは香江を救いたいか?」
敵は何人かはわからない。
香江が自分自身で選んだ選択。
無暗に救い出しに行くのはかなりの危険を呼ぶ。
俺だけだったら、例え香江であろうと裏切り者になってしまったら、見捨ていた。
でも、俺は一度、道を踏み間違いだクズとまだ一緒にいてくれた。
俺は薮野の意志を聞きたい。
「もちろん。助けに行くに決まってるだろ。」
おまえはそうに決まってるよな。
じゃあ、行くか。
俺はどうやって突破するかを考え…
おい、待て。
地面に刺さっている銃弾の数は7発。
さっきの銃声は10回響いていた。
となると、銃声の数と球の数があっていない…。
「薮野!警戒しろ!」
俺は薮野方を見ると、薮野の背後には知らない男が3人いた。
俺は咄嗟に声を出す。
「背後!」
背中にはアサルトライフみたいなものを背負っていた。
ト
その直後、俺の背後から足音がした。
俺は紙一重で攻撃を避け、人数を確認する。
俺の方には4人。
俺らをこの時間帯に狙うってことは相当喧嘩を買った相手が仕掛けてきたということ。
となると、これは鴨島 弦の可能性が高い。
おそらく本人は家の中にいる。
俺は避けた後、1番遠くいたやつを撃ち殺す。
パンッ!
俺はそいつの頭を撃ち抜き、そいつは倒れた。
キャリコ M100の視界になるように俺は動く。
仲間の1人が殺されたことを認識すると、他のやつらは激怒したように俺を捕らえにきた。
「ゴミが死ねっ!」
1人は奇襲返しみたいに楽に撃ち殺せたが、ここからは少し辛い作業だ。
まずは1人の脇腹に入って確実に仕留める。
3人は2・1の形で襲いかかってきた。
俺は2人の拳を避け、もう1人の脇腹に潜り込み、顎にワルサーP99を突き立て、引金を引く。
パンッ!
顎から頭に向けて撃ち、そいつは倒れた。
残り2人。
この位置から1人を撃ち殺し、もう1人は1vs1まで持っていく。
その後に薮野の援護に向かう。
「待て。それ以上、俺の仲間を殺すと、こいつも殺すぞ?」
薮野の方から知らないやつの声が聞こえた。
誰の声だ?
言葉的に薮野がやれたということになる。
クソ。
薮野を見捨てれば、この状況を打開できるが、こうしてしまうと香江を救出するために動いた意味がなくなる。
俺は仕方なくワルサーP99と腰にかけておいたナイフをやつらに渡す。
こっちは残り2人。
薮野の方は2人。
薮野は1人やれたようだが、この盤面じゃ、2人とも軽傷とかでは済みそうにない。
俺は難無く諦め、武器を渡すと、後ろにいた1人から背中の心臓辺りに銃を突きつけられる。
銃口的に多くのヤクザなどが使用しているAK74か。
さっき背中に背負っていたものはアサルトライフルとはまでは確認できていたが、種類まではまだわかっていなかった。
「よし。いい子だ。俺の仲間が武器を取るまで動くんじゃないぞ?」
薮野の方にいた敵の1人は俺の持っていた武器を回収する。
すると、俺は後ろかAK74を突きつけられていた男に失神させられ、何かを飲まされた。
2:29
俺たちは今、中井の別荘に向かっている。
俺たちの車はトンネルに入った。
日本はまだゾンビ感染が流行していないため、高速などが使える。
先に俺たちが別荘に着くことになるため、俺らで銃の厳選をしておくのと、那斗,白田,山田に銃について、教えておかなければならない。
俺たちはあと2時間ぐらいで着く予定で、あいつらも香江の車を使ってくるため、その少し後に着く予定となる。
ん?今、話すことややることがないのなら、銃について、大体のことを教えておけば、時間短縮になるよな?
俺は今、それに気づいていたため、撃ち方とか反動とかの話しをしておこうと思った。
「みんな。銃について、大体のことを教えるから、聞いておいてくれ。」
俺はそう言うと、車はトンネルを抜けた。そして、山田と美優が気づいた。
「美優!前!」
すると、車を運転していた白田が急ブレーキを踏んだ。
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