第2章 日本中への蔓延 (大学・病院編)

第19話 前前夜の下拵え

1:23


俺たちは紗耶香の家に揃った。


「生活物質を持ってきたぞ。」


香江と薮野は背中にバック、手にバックと重そうに生活物質を持ってきてくれた。


ナイフ7つ,ラジカセ3セット,予備単三電池10個,ヘルメット7人分,LEDライト7つとランタン4つ,タオル7枚,防寒用アルミシート,軍手7人分,マッチ3箱,ビニール袋箱2箱,工具1セット,簡易トイレ10日分を7人分,登山用のバック7つ などを調達してきてくれた。


俺は伝えた通り、災害時に備えておくものを持ってきてくれた2人に感謝をし、みんなで車に詰め込む。


感謝感謝。


「ああ。まずは車に荷物を詰め込んでくれ。」


俺はそう指示する。


「ああ、その前にこいつは誰?」


薮野がそういうと美優以外は同じ反応をしていた。


まぁ仕方がない。こいつは大学でも有名でも影でもないため、知っている人と知らない人がいてもおかしくはない。


それでも全員知らないけどな…。


俺は紹介しようとするが、先に美優が紹介した。


「この方は昔、私をイジメていたリーダーの山田 賢治さんです。」


その通りだ。美優ちゃん。

とは、言っても美優ちゃんとはまだ今日を合わせると6日目だが、美優ちゃんをイジメていたやつと、長く関わっていたなんて、ちょっと気まずい…。


みんなは予想通り、そんなやついるのか?という顔をした。


ああ、こいつは俺の長い付き合いの協力者だ。

こいつの情報はいつも正しく、無理難題な情報が欲しいと言っても、いつも何かしらは持ってきてくれる。


そのため、この変わろうとしている世界で情報屋は必要だ。


俺は山田の重要性について、伝える。


「山田は使える。これからの世界に情報屋は必要だ。」


みんなは中井がそこまで言うならいるか、という表情をした。


俺たちは出発するために車にいるものを4人が座れて、すぐに動けるような位置で固定して、詰め込んだ。


1:42


「じゃあ、計画通り。物資を車で運ぶ遊佐木率いる山田,紗耶香ちゃん,美優ちゃんは先に別荘へ行っておいてくれ。俺たちは歩いて向かう。」


俺はそういうと、みんなは頷いた。

出発しようとすると、山田は1つ質問してきた。


「あのイジメ集団はどうしたんだ?」


あぁ、あいつらのことか。

あいつらのことはもうこれ以上のことをしなければ、忘れるとしたため、あいつらの後なんてでも良かった。


俺は最終的にどうしたのかを伝える。


「あいつらなら、邪魔だったし、家に帰した。」


山田はふぅーん、みたいな表情で了、と言った。


山田も実のところを言うとそんなに気にしてはいなさそうだったが、俺が調べろ、と殺意に満ちた表情で言ったため、あいつらの後始末について、少し興味があったのだろうか。


こうして、俺たちは物資を3対4にして、出発した。


俺たちは一度、俺の自宅へと寄って、別荘へと向かう。


俺の家に寄る目的は3つ。


1つ目は武器調達。俺の別荘よりはかなり少ないが、別荘に歩いて行くためには護身用の武器がないと厳しいだろし、さっきまで持っていたS&W M500, M870マリンマグナムは物質を運ぶ遊佐木たちを渡したため、武器ない。


だから、俺の家に置いてある。ワルサーP99, キャリコ M100がある。それを取りに行く。キャリコの方が2丁あり、替えのヘリカルマガジンは4個ある。ワルサーの方の替えは3個。


「香江,薮野。おまえたちにキャリコ M100を渡す。替えは2個ずつだ。欠点はわかってるよな?」


俺はそう2人に尋ねる。


本当はキャリコ M100の2丁はエアガン部で本物だとバレないように極秘で扱おうとしていたが、今となっては大事な武器となっている。


そして、今週中に持っていこうとしていたため、撃ち方や欠点などについては事前に伝えておいてある。


問題はそれを覚えているかだが、この2人なら、忘れるわけもないと思いながら返事を待つ。


「ああ、少なくなってきたら、重心が変わっていくこと!」


ああ、そうだ。俺はワルサーP99の方を貰う。


俺は俺に対して、こういう時に役立つからよくやった、と言い聞かせている。

本当はこういうことは全く想定などしていなかったが、まぁ結果オーライだろうだし、ワルサーP99だけだと、心細いからな。


それに俺は父さんがFBI 特別捜査班なだけあって、銃コレクターでもあるため、いろんな銃を持っている。


2つ目は俺の家に緊急用の持ち出しバックがあるため。


これはそんな関係なそうに見えるが、実際に車に乗れるのは物質含めて4人まで。歩いて行くにはあった方が便利だし、俺自身もその中には自信があるからだ。


だが、実際なところを言うと、災害用だし、まだ使用したことがないため、使えるかどうかは別だ。


3つ目が1番重要だ。それは俺たちの保険証だ。


実物があるのは俺と美優ちゃんだけだが、エアガン部の遊佐木,羽柴のコピーがあるために取りに行かなければならない。


ついでに他のやつらの保険証は香江,薮野,山田はこっちに来る際に家から持参。

紗耶香ちゃんは言うまでもなく、紗耶香ちゃんの家集合だったため、持っていた。


美優ちゃんと遊佐木,羽柴の保険証を入手しだい、LINEで送る。


紗耶香の家から歩いて54分間経った。


2:36


俺たちは俺の家に着き、予め場所を伝えておいた武器,持ち出しバック,保険証を手分けして取りに行く。


俺は武器を、香江は持ち出しバックを、薮野は保険証を取りに行った。


俺は持ってきた登山用のバックにキャリコ M99と銃弾をしまい、ワルサーP99を腰にかけ、いつでも撃てる準備をしておく。


机の上に通帳がある…。


俺は武器を調達したので、集合場所の玄関に向かった。


1,2分経つと全員集合したため、キャリコ M99と銃弾を渡し、俺は薮野から保険証を貰い、3人の保険証送る。


自宅でやることを終えた俺たちは別荘へと向かった。


さっきも感じたことなんだが、あのニュースから6時間しか経っていないのか。外はあまり騒がしくはなかった。


これが普通なのだろうか。

俺の推測だと政府がコントロールして、まだこの状態だろうが、数日すれば、日本にも感染が広がり、大パニックが起こり、世界人口の10分の1以下になるだろう。


多くの人はこんな日常が続いて欲しくないと思っている。逆にこんな日常が続いて欲しい人は数少ない。


俺はこの世界がなんて無様なんだろうと思った。

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