第16話 忘れ去った幼い頃の記憶

俺は紗耶香と話しているときに思い出した。


彼女は8歳のあの日まで一緒によく遊んでいた子と言うことに…


12年前

-

俺はいつも待ち合わせていた公園に行くと、女の子が男の5人の集団に石を投げられて、イジメられていた。


あぁ、可哀想に。

でも俺が助ける義理などない。

だから、ごめんね。

あ、でもあのブランコは待ち合わせ場所だ。

じゃあ、話しは変わる。


俺は邪魔な男のリーダー格を一瞬で見抜き、ブン殴ると他の男共4人は逃げて行った。


意気地なしのクソがブランコを占領するんじゃなねぇよ。


俺はそう思いながら、紗耶香から貰った大切な焼き粘土でできた人形を持ち、空いているもう片方のブランコに座った。


俺は紗耶香がいつ来るのだろう、と思いながら待っていたが、待ち合わせの時間から2時間過ぎても来なかった。


何かあったのだろうか?

俺は少し心配するが、もう少し待てば来るだろうと思い、待ち続けた。


明日も明後日も1年間も俺は待ち続けたが、一向に来なかった。


紗耶香はどこに行ったのだろう。


俺は心配しているが、家も学校も知らないため、どうやって会えばいいのか、わからなかった。


11歳のとき、俺は毎日のように行っている紗耶香と待ち合わせとしていた公園に放課後に行くと、公園のブランコに紗耶香がいた。


俺はとにかく嬉しくて嬉しくて紗耶香に会いに行こうとしたが…


あれ?左腕がない…?


俺は紗耶香の左腕がないことに気づいた。


俺は…


俺の頭の中は複雑な感情でいっぱいだった。俺が好きだった紗耶香は全てを引っ括めてだった。左腕がない紗耶香は俺は好きなのか?


俺は…俺は!


すると、紗耶香の周りには俺があの日、リーダー格をブン殴ったときに逃げていった奴らが群がっていた。


俺はあの日、複雑な感情に囚われながらも遠目で確認できた。そのゴミ共が紗耶香をイジメる姿を…


俺は今からでも殺しに行こうと思ったが、少しの間、倒れてしまった。


「おい、大丈夫か?」


俺は次に目覚めたのは誰かから声をかけられたときだった。


こいつは確か、俺がブン殴ったやつだ。

また、こいつが紗耶香をイジメるように命じたのか!!!という殺気が表れていたが、こいつの様子を見るに、それは違った。


「あのときは俺が間違っていた。本当にごめん。そして、彼女を救えなくて、ごめんなさい。」


おそらく、こいつの様子を見るにあの日、俺がブン殴った日以来、態度を改めたようだ。

そうなると、こいつは利用できる。


「おまえ、名前は?」


俺は好意を持たせるため、演じ始めた。


「え?あぁ。俺の名前は山田 賢治 (やまだ けんじ)。」


俺はそれ以降、ゴミ共を殺すための情報をこいつから集め続けた。


中学の入学式の日


このゴミ共は楽しそうに中学へ入学する。

だから、俺はゴミ共の楽しみを恐怖に変えてやる。


あいつから得た情報。


それはこの入学式の日。記念として、お気に入りの山に行く。

俺はそこで待ち伏せる。


そして、時は来た。


ゴミ共4人が崖付近に来たとき、俺はゴミ共を突き落とした。


俺は崖の下に行き、死んでいるか確認しに行く。


全員、死んでいたが、それだけでは気が済まなかった俺は紗耶香にやったように、持っていた包丁でゴミ共の左腕を切った。

-


次のゴミ共をどうやって殺すか俺は考える。


紗耶香を痛め続けたように、痛めつけて殺す方がいい。


俺はあのとき以来の複雑な感情を持ち続けたまま、美優を置いて自宅に帰り、計画を立てた。


後日…


まず、俺は大学で美優を連れて2年のゴミ共を探り出す。


「美優ちゃん。演劇部の部員が足りないらしいから、補欠として助けてあげてくれないかな?」


俺の中では演劇部2年で白蓮の女王と呼ばれる高杉 真優美 (たかすぎ まゆみ)が候補となっていた。


彼女の女王という異名は単に美しいだけどではない。

裏では過去に壮絶なイジメの起こした発端者とも噂されている。


彼女を探るためには情報が必要。

だから、俺は人助けが好きな美優にこう言った。


「はい!わかりました。」


美優は嬉しそうと言った。


俺は隙を見計らい、小型の発信機をつける。

美優ちゃんの行動は予測はできるが、念のためだ。


俺は演劇部まで美優を送った。


「美優ちゃん。エアガン部の終わったら、迎えに来るよ。」


俺は偽の笑顔で言った。


「はい。わかりました。」


俺は美術室まで向かう。


次は美優ちゃんから自然な流れで高杉 真優美の情報を探り出す。

だが、これには時間がかかる。


だから、美術部2年の前田 翡翠歌 (まえだ ひすか)の情報を集めつつ、病院にいる紗耶香の母親から話しを聞く。


俺は昨日、いつも美術部のやつに頼んでおいたエアガンのモデルの絵を取りに行っている。


今更、エアガンの絵なんか興味などない。

だが、これは前田 翡翠歌をチャンスだ。


俺は美術部に着き、細心の注意を払って前田 翡翠歌を観察する。


あれが前田 翡翠歌か。見た目からは陽キャには見えないが、裏では相当な陽キャらしい。

俺はしばらく観察を続け、新聞部へと向かった。


新聞部には俺の協力者がいる。そこに行き、新しい情報をもらいに行く。


俺は新聞部に着いた。


「いつも通り、エアガンの情報をもらいに来ました。」


俺は新聞部の部員にそう言い、協力者を呼んでもらう。


「はい。わかりました。先輩!エアガン部の方が来ました!」


そう部員のやつがいうと、協力者が出てきた。


「中井。今日、ゲットした”記事”はこのノートに中にまとめておいた。」


協力者は学校の情報を提供してくれる。


「ああ。サンキュー。また、来るよ。」


俺は次の目的地へと向おうとすると…


「中井…。本当にやるつもりなのか?」


今更、そんなことを言われても、もう戻れない…。


「山田。俺は突き進むよ。」


俺はそう言うとエアガン部の部室に絵を置きに行き、美優を迎えに行った。


美優ちゃんを迎えに行った後は病院に行くため、美優ちゃんは先に帰ってもらう。


俺は演劇部の練習場に着くと、美優を呼ぶ。


「美優ちゃん。迎えに来たよ。」


そういうと、美優はすぐに来た。


「わかりました。健斗様。」


俺は美優を連れて、病院へと向かう。


あれが高杉 真優美か。


18:24


途中で用事があると言い、美優と別れ面会の時間がすでに終わっている病院へと向かった。


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