第15話 達成・安心からへの絶望と失望

み、美優ちゃん!?

なんでエアガン部に入部希望しに行きたの!?


俺はもっと他に美優に合う部活があると思っていたので、バレー部とかバスケ部辺りに入ると予想していたのになぁ。


俺は他にも似合う部活もあるんじゃないか?とも思ったが、あれらを見せられたら、こっちの方が活躍できるだろう。

特にバレーなんかはやばそうだな…。


俺より先に遊佐木が喋った。


「ところで白田くん。銃の経験はあるのかな?」


おいおい。それを女の子に聞いちゃダメでしょ。

いやある意味いいのか?

俺は男女で決めつけるのは良くないと思っているため、さっきの発言は差別やな。


「はい。少しの間、習っていました。」


え?俺たち全員は驚愕した。

すると、香江と薮野は小声で喋りかけてきた。


「なぁ、健斗。おまえの許嫁、大丈夫か?」


2人はピッタリ同時に同じことを言ってきた。


俺だって知らないよぉ!?それに今、知ったし…。


で、たぶん。教えたの親よ!?私の親はどうなってるの?

どっかの秘密機関の幹部に命令されたのかな!?


俺は半分混乱している。


俺よ。一度、冷静になろうじゃないか。

俺は香江と薮野に返事をする。


「2人とも…。俺も知らない情報だ。そして、俺は断じて黙秘などしていない。」


香江と薮野はさらに押し込んでくる。


「本当に?」


一言だけでもお強い言葉だ。


俺は次で終わらせるためにこう言った。


「あぁ。本当だ。違ったら、銃をプレゼントしよう。」


2人は言ったな?と言い、本題に戻る。

そして、遊佐木は美優の入部を許可し、後は俺だけの許可で入ることは可能となるが…。


俺は…


ガチでどうしよ!?美優ちゃんを入れていいのか!?


俺は美優ちゃんの顔を見ると、美優の顔は健斗なら、きっと入部させてくれる、と言う期待の顔だった。


俺は気まずくなり、目を逸らすため、香江たちの方を見ると、次はおまえは入れてあげないとまずいだろ…と言う当然の顔をしていた。


「エアガン部に美優ちゃんの入部を認めます。」


あぁ。まぁこれだけの顔させたら、仕方がない。俺は美優の入部認めた。


その直後。


「中井先輩!!来ました!!」


昼放課に教室に突撃してきたときと同じぐらいの声の大きさで紗耶香ちゃんが来た。

そして、この部屋にいた俺を含めない男3人は白い目で何浮気しとるじゃ、と言うゴミクズを見る顔をしていた。


あ、詰んだ詰んだ。というか、俺にだって言い分はあるんだよ!?と言っても聞く耳も持たないだろう。


紗耶香ちゃんは情けもなく、俺に2枚の入部届けを出してきた。


「中井先輩!!2人分の入部届けを出しに来ました!どうぞ!」


2人分?入部届けは自分で出しに行かないといけないんだぞ?と思いながら、俺は紗耶香ちゃんに事情を聞くことにした。


「入部を認めるには2つの条件があります。まず1つ目は紗耶香ちゃんはなんで2人分の入部届けを?」


もう片方は誰かが休んでいたか用事があったからかそれともふ…。


暗いことは1回やめておこう。


俺は紗耶香の返事を待つ。


「同じクラスの羽柴 夜光 (はしば やこう)がこの1週間休みらしいので、持ってきてあげました!」


視線,仕草などから見てもこれは本当のこと。

次に2つ目のあのとき、抱いた違和感。


それはなんだったのだろうか…


「紗耶香ちゃん。あとで2人っきりで話しがしたい。」


俺は紗耶香ちゃんの方へ近づいていき、耳元でこう言った。

17時10分に校舎裏に来て欲しい、と。


「みんな。これで入部希望はお終いにしよう。どうせ、これ以上来ることはないしな。で、ここからはエアガンについてを遊佐木から聞いてくれ。と言っても美優ちゃんだけだけど…。」


1人を除いてみんなはこれに同意していたが、美優は怒っていそうな雰囲気を出していた。


17:09


俺は紗耶香に話しをするために校舎裏に来た。


俺が抱いた違和感は紗耶香ちゃんと一緒に食堂に向かっているときに、向けられていた視線だ。あのとき、冷たい視線を感じた。それは俺に対して、許嫁がいるのになんで他の女といるんだ!?と思っていたが、あれは俺ではなく、紗耶香ちゃんに向けられていた場合…


世界を広げていると、紗耶香が校舎裏に来た。


「中井先輩!来ました!」


紗耶香ちゃんが来た。じゃあ、本題に入ろう。


「紗耶香ちゃん。まず1回目の大学1年生じゃないね?」


俺は紗耶香の反応を確認する。


紗耶香の目線,身体全体の仕草。さぁどう動く?


「はい…。」


いきなり認めてきたのは意外だったが、ビンゴのようだ。


俺はこれを言ってしまうと彼女を追い詰めることになると予想しているが、そのときの対処方法はもう考えてある。

だから、俺は無慈悲な言葉を投げかける。


「紗耶香ちゃん。君は1回目の1年生のときにイジメられて、留年。2回目の1年生のときにもイジメられて、留年。今は3回目の1年生。やっとイジメられないクラス,学年になったと思っているね?」


俺は紗耶香を脅しにかかると、紗耶香は泣きそうな顔をしていた。


達成と安心からへの絶望,失望の変化。

それはやっと手に入れたものが一気に崩れていく恐怖。


「紗耶香ちゃん。残念ながら、君はもう3回目もイジメられるんだよ?誰って?この俺に、だ。あ、でも今から退部とか許さないからね。あと、このこと言ったら、君の家族ごと殺しに行くよ?」


俺は追い討ちをかける。例えこれが彼女を自殺に追い込んだとしても、全ては俺の目標に向かうために…


紗耶香の全てが怯え、泣きかけながら、こう言った。


「…中井くん…。冗談だよね?」


ああ、本当だよ。紗耶香ちゃん。俺が嫌われようとも、君を救い出すよ。


「嘘だよ。紗耶香ちゃん。本当にごめんね。辛かったよね。寂しかったよね。冗談言ってごめんね。でももう気にしなくていいから。」


これでわかった。紗耶香ちゃんをイジメていた奴らを…

そして、どんなイジメをしていたのかを…


「俺は紗耶香のこと大好きだから、エアガン部に戻っていいよ。」


俺は2つ目の秘密の自宅へと向い始めた。








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