第12話 彼女の必殺技は即死技


分かれ道まで着いた。

俺は美優を下ろし、先に行くように指示した。


「美優ちゃん。先にいって。俺が巻くから。」


俺は銃を構えながら、分かれ道の近くの草むらで待機した。


私はなんて愚かなのだろう。

私から帰ろうとし、私のミスが原因でこんなことに健斗を巻き込んでしまった挙句、抵抗がすることもできず、健斗に助けてもらった…。


私はみぞおちを抑えながら、荷物が割れないように走る


。ここを抜けたら、大通りに入る。

そこまで行ったら、警察を呼べば、どうにかなる…。

と、私は考えていると…。


パンッ!


私の後方から銃声らしき音が聞こえた。


え!?

健斗の行動から見て、あれはエアガンとかじゃないの!?


私は首を振る。


いやあれはあの男たちが持っていたのに、違いない…。

そう、信じたい…。

そして、無事でいて欲しい…。


私は大通りに出た。

そして、すぐにスマホを取り出し、警察に電話しようとする。

1-1-まで入力したところで誰かの掌が私の肩に乗った。


「え!?誰?」


私は後ろを振り返ると、私の知らない人だった。


「俺は中井の友の遊佐木 瑛太 (ゆさき えいた)。すまないが、警察に電話しないでくれ。」


私はそれを信じて良いのかを考える。これが本当なら、電話しない方がいい。

でも本当じゃなくて、あの男たちの仲間だったら、まずい…。


「俺は今から中井の援護に行く。ここで待っていてくれ。」


私は…。

この人を信じよう。

ここでどっちにすぐに賭けをしなければならないと判断した。

おそらくではあるけど、あの人が嘘をついているようには見えなかった。

私はスマホを握りしめながら、彼らの帰還を待ち望みながら、後悔していた。


俺はあいつがきた瞬間、引金を引いた。

それから少し経つと俺の救援信号を受け取った遊佐木が来た。

茂みから顔を出す。


「遊佐木。後始末を任せられるか?」


俺は遊佐木に頼んだ。

もちろん、俺も手伝った方が早く終わる。

だが、今はすぐに彼女のもとに行かなければならない。


「りょーかい。彼女にところに行ってやってくれ。」


ああ、頼んだぞ。遊佐木。


俺は美優を目指し、走り始めた。


遊佐木はおそらく美優と話してきてる。

美優を逃した時間、美優を逃してからの遊佐木が来た時間を照らし合わせると、おそらく美優はこの道と大通りの境目ら辺。


俺は大通りに抜けた。


すると、左に美優ちゃんがいた。


「美優!?」


俺は声をかけようとすると、美優は泣きながら抱きついてきた。


俺はそれだけ殴られたりした箇所が痛かったのだろう、と感じた。


「すみません?健斗様。私のせいでこんな危険な目に遭わせてしまいました。」


うんうん。痛かった…ん!??

痛かったじゃなくて、俺を巻き込んだことに対しての謝罪だったの!?

マジか。


俺は美優に言う言葉を選び始める。


一旦、落ち着かせるための…


「美優ちゃん。」


ここで少しの間を入れる。


「はい…。」


さぁ。いくぞ。絶対、ここで言う言葉ではないことを。


「おっぱいあたたかいね。」


そうした瞬間、彼女の涙は止まり、いや時が数秒止まってしまった。


あ…。私はあまりにもの恥ずかしさにより、助けてくれたお…健斗様にアルティメットウルトラユニバースを食らわせてしまった…。


※アルティメットウルトラユニバースとは、美優の得意技にて、自衛用の最終奥義である。


いや。でも、Dカップの私でも健斗に興味を持っていただけたなら…。


ストップ、ストップ。


とりあえずは…私たちは周りの人たちの視線を集めすぎている。

このままでは、私が警察を呼ぶのではなく、他の人が呼んでしまうことになる。

ここはどうにかして誤魔化さないと…。


すると、健斗は立ち上がった。


「ふぅ。公衆の場ですみません。みなさん。動画に使用する一部をとっていました。」


健斗がそういうと、周りの人たちは何事もなかったかのように歩いて行った。

え?私のアルティメットウルトラユニバースをやられてすぐに立ってられるの?

美優は恥ずかしさが吹っ飛ぶぐらい驚いた。


危なすぎやろぉ!

自然に受け身を取ってなかったら、死んでいたぞ!?

これはおそらく遊佐木でもタダじゃ済まないだろう。


俺は美優が何かに驚いている隙に受け身を取って犠牲となってくれた右腕さんを確認する


え?アザ、やばいんですけど!?

あと、めっちゃ痛いんですけど!?

ゲームで例えるとしたら、強運のキャラが魔王の最終奥義を避ける並みなんですけど!?

まぁそれは一旦置いておいて。

て、言っとるレベルかぁ!!?

ワンチャン骨にヒビ入っとるじゃないか? 

ちょっと待て、俺よ。

ここは美優にまだ用事があると言って、美優より先に自宅に帰宅、保険証取って、病院に行こう。

利き腕なしで銃撃つとか…。

小物系統はいけるか。

でも大物は無理だな。

とりあえずはそうしよう。俺は美優を説得させようと試みる。


「美優ちゃん。俺、ちょっ…」


俺が説得させて、帰ろうとすると、美優にまた抱きしめられた。

ほとんどの人がご褒美みたいな感じで嬉しんだろうけど、今の俺にとっては地獄そのものだった。右腕のアザの部分が痛すぎる!!

死ぬ!

美優ちゃんは周りに聞こえないぐらいの声で言った。 


「馬鹿…。でも…ありがとう…。」


だが、俺には全然聞こえていない。

なぜだって?それは痛すぎるからだ。

あー。何時間抱きしめる気だ?

このままでは美優ちゃんに殺されるだけの動画になってしまうぞ?

そして、さっきみたいに言うと次は左腕か右腕がもげるかだよな?

本当に銃使えんくなるぞ?じゃあ。言う言葉は単純です。 


「美優ちゃん。少し痛い…。」


そうです。

こうやって、少し躊躇い気味でいうことで俺は救われる。

でも美優ちゃんの気持ちは落ち込む。

俺しか救われない判断だったが、この痛みを早く終わらせるかつ美優ちゃんがそんなに傷付かない方法とすれば、良いのでは?と俺は思ってしまった。

すまない。美優ちゃん。

今回は許してくれ。美優は落ち込み気味で謝罪した。


「健斗様…すみません…。」


すまない…。


俺はなぜか本来の目的を忘れて家に帰っただった。


ゾンビ感染流行まで残り5日。

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