第10話 俺は彼女の気持ちを気付かない

すると、美優は泣いていた。


グスッ グスッ


俺は何に対して泣いているかを考え…。

いや、何が原因かは考えるのはやめよう。

素直に…。

俺にそんな勇気があるの!?

あるかもな…。

ここでチキンになるよりはマシだ。


俺は美優に謝る。


「ごめん。美優。本当にごめん。」


俺は一度、整理する。


さっきの声は美優ちゃんのものだとするとあれは体調が悪くて赤かったんじゃない。

俺が暴走しているのを止めようとしていたけど、話しを聞いてくれないから、怖くて泣いているだと思う。


「ごめん…。邪魔になると思うから一度、外に…」


俺は外に出ようと背中を向けると、いきなり、美優は抱きついてきた。


「馬鹿…」


少し経つと美優は両手を下ろした。

そして、下ろしてから数秒後にキッチンに置いてあった財布を手に取り、外に出た。

ふぅ。やっぱ俺。グス野郎だな、と思いながら、原因考えるのをやめようと言ったのに考えていると。

いやでもあれは冷静になって状況を整理しただけだから、原因にはならないと思う。たぶん。そして、俺が気になっているのはそれじゃない。

なんでエレベーターに入らなかったのか。

何か小細工でもしてあったことに気づいたのか?

うーん。朝は普通に一緒に乗っていた。

その点からすると…。

香水か!?朝、俺がエレベーターで何事も喋らず、棒立ちしていた。

俺が香水の匂いを気にしていたことに対して勘違いをしたのか?

まず、エレベーター降りた後の行き道だ。

自分に失望したいてほとんど覚えていないが、確か一度、人にぶつかった覚えがある。

そのとき一瞬、前を向いたら、美優ちゃんとは2,3m距離はあった。


次に帰りの車内を探る。


俺の席の後ろの窓と美優の隣の窓が少し空け換気をしていたことを思い出した。

そういうことだったのか…。

美優ちゃんはつけていた香水を気にして配慮してくれていたんだな

その後も俺は色々考え、「ピオ」に向かっていると、いつの間にか着いていた。


健斗 ピオ 到着時間 10:45


私が両手を下げると、健斗はすぐに行ってしまった。


健斗は何も悪くない…。

悪いのは全て私…。

私のせいでこうなってしまった…。

もう健斗と顔を合わせる資格もない…。

だから…もう帰ろう…。


私は帰る支度をし始めた。


「ピオ」到着した俺はすぐに家へと向かった。おい、待て。なんで置いていった?

一旦、冷静になろう。

歩きでは約50分かかるが、バスだと歩き合わせて約30分。

俺はまずバス停を見にいく行く。


10:59出発


バス停から家まで走ったとして、約4分。約23分。11:22。


約50分を走ると、約32分。11:17。


走った方が約5分早い。

そして、家を出たのは9:58。

約79分の差。間に合うか?

いや間に合わせてみせる。


俺は走っていると、バスが見えた。

その車内には美優らしき姿が見えた。


美優ちゃん?俺は立ち止まった。

俺の予想は美優ちゃんが帰ること。

もし帰ってなかったとしたら、外に出ていたとしても、夜には帰ってくる。

このまま家に帰るよりも見つけたなら、追いかけるしかない。


俺は周りを見渡し、タクシーを見つけた。

俺はそのタクシーを呼んだ。


バスの到着地点は名古屋駅。

たぶんの俺の家から1番近くの駅からだから、あれを追いかけていけば、どうにかなるが…。

仮に美優ちゃんに俺がいたことがバレていたら、その時点で名古屋駅で降りないことは確定しているなら…。


俺はタクシーに乗り、目的地を示した。タクシーの運転手は頷き、タクシーを走り始めた。


10:51


私は今、バスに乗っている。

そして、さっき、健斗が見えた。

だから、次の停留所で降りよう。

そこからは歩きで向かおう。

すると、バスは大きく揺れた。私は体勢を崩してしまい、後ろの人にもたれかかってしまった。


「すみません。」


私は小声で謝罪する。


そろそろ停留所だ。


少し経つとバスは停留所で停まった。

私は荷物を持ち、バスを出た。

私は古道に入る。


ここからなら、まずバレない…。


俺は美優の乗っているであろうバスの次の駅まで来た。

俺はタクシー代を払い、タクシーを出る。


ここから名古屋駅までに行く道かつ俺にバレないように行くための道…。

本茂古道!

おそらくそこから美優は行くはず。

仮にいなかったとしても、大通りから行くよりは時間短縮になるはず。


俺は本房古道を目指し、走り出そうとするとき。

本茂古道に入っていく男性7人中1人が光っているものを持っていた。


包丁!?犯罪に使うとしても、今は美優ちゃんを探す方が先だし、これは警察の仕事だ。

俺は問答無益だと判断したため、そいつらを無視し、本茂古道へと入っていった。


どこにいる!?

俺は美優を探しながら走る。

そろそろ本茂古道から抜ける。

そして、ここから真っ直ぐいったら、名古屋駅だ。

遠目で見ると美優ちゃんらしき姿が見えない。俺の予想はバスから降りる時点で違ったのか?いや追いかける根拠も俺にはないか。

会って2日目だぞ?他人が決めた判断に口を出す価値もないやつが口を出したとしても、意味もないだろう。

いやそれだとしても、俺はまだ美優ちゃんと一緒に暮らしてみたい。

俺のかんが言っているだよ。

彼女は俺を変えてくれるって、ね。


俺はもう一度冷静に考え直す。


おそらくバスから降り、本茂古道に入るところまでは合っている。

そして問題はそこから。

あの日、俺を抱えながら飛び降りた美優ちゃんなら、屋根から屋根まで飛び越えながら向かうことなら、できるだろう。

だけど、それは下手をすれば視線を集めるため、そんなことはしない。

だとすれば、どこでやり過ごしている可能性が…。

さっきの男性7人組って、確かあのとき、美優の後ろにいたはず…。

そして、その後、一度バスは大きく揺れた。

いやでも美優ちゃんが姿勢を崩すとは考えられないが…。

もしかすると…。

俺は来た道を走って戻り始めた。


私は古道に入ると、健斗が来ることと判断したため、人気の少なそうな道に入り、やり過ごすことにした。


ここを出てしまうと名古屋駅まで一直線なのと、私の足の速さでは確実に追いつかれてしまう。

なのと、私の立場の方が有利であり、ほとんどの人が先走ってしまう。


そして、健斗が目の前を通っていった。


私はもう少し経ってから出ようとした。すると、さっきバス内で体勢を崩し、ぶつかってしまった人たちが入ってきた。

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