第9話 彼女の支度時間を知りたい!

車を取りに行った俺たちは一度、自宅に帰り、ショッピングモール「ピオ」に行く準備をしている。


なんで行くか?と、聞かれるとスマホが壊れてしまったからだ。


あと、盗まれたのもあるが…。まぁそれはデータごと壊しておいたから、特に盗まれても減るものはない。


いやでも売るという選択肢が減るぐらいか。


俺は美優に行く時間を伝えようとしているが、女の子って、準備に何分かかるんだ?

俺の場合は3分あれば、いける。2倍して6分?いや短すぎる。


スマホー。この時になければ、何がスマホなんですか!?と俺は思った。


昨日、カッコつけて、不利益になるものなんてないよ、みたいなこと言ったけど…。不利益にしかなってないじゃないか!


一度ストップ。俺よ。まず美優ちゃんが化粧をしていたかを考えよう。

ん?俺の大学、化粧禁止だよな?わからねぇー。

まぁいい。次がある。髪は整っていたな。

ん?今、隣にいるんだから、確認すればいいんじゃないか?


俺は美優ちゃんの方をジロジロ見始めた。昨日と比べて、変わったことはあるか?そして、髪はどうだ?整っているのか?


私は視線を感じている。目を左に一瞬向けると、健斗が私をジロジロ見ていた。

私は恥ずかしさのあまりビクッとしてしまった。


ピンチになってしまいました。おそらく今ので、私が気づいたことに気づかれてしまいました。

ここははっきりと言うことにしましょう。


私はなんでジロジロ見ているのか、を尋ねた。


「健斗様。どうして私をジロジロ見ているのですか?」


やった!言えた!おっと、気持ちを切り替えてましょう。


健斗は悩んでいそうな様子を見せ、一度、目を逸らしていたが、私を見て言った。


「美優ちゃん。支度に何分かかる?」


私は一息ついた。そうことでジロジロ見ていたのですね。

私はてっきり香水の匂いがお気に召さなかったと心配したのですよ?

ですが、これではっきりしました。

おそらく、健斗は私の支度がどれぐらいできていたのかを確認していたのですね。

理由がわかったとしてもお恥ずかしいです。おっと。またミスをしてしまいました。

今は健斗の質問に対して答える時間でしたね。髪の手入れと化粧などはもう終わりましたので、あとはおトイレやお鞄の準備程度なので、早くて15分,遅くて30分なので、25分を目安にしましょう。


「健斗様。25分ほどいただけませんでしょうか?」


美優は微笑みながら答えた。質問を質問で返してきたが、そうなると予想していた俺はもう答えは決まっていた。


「了解。家に着いてから25分後に出発で。」


ふふ。どうだ。このパーフェクトのアンサーは。俺は少しドヤってしまったが、気のせいにしておこう。


俺はどんどん黒歴史を積んでいくのだった。


9:49


俺たちは自宅に着き、車から出た。車を出ると俺は羞恥心に襲われた。


確認とはいえ、ジロジロ見られると恥ずかしくなるよな?

よく美優ちゃん耐えていたよな?

俺だったら、絶対死んでる。

こういうときも謝った方がいいよな?


今、俺は謝る勇気を溜め込んでいる。いや待て、俺よ。ここはエレベーターの中でいうべきなのではないか?


これは朝の出来事である。

9:02


俺たちは昨日、置き去りのしていった車を取りに行くため、白蓮大学へ向かっている。


俺は序盤でありながらも詰みかけている。

なぜかって?

それはエレベーターに今いるからだ。

何を話せばいいだ!?

うーん。俺は考える。

あ!こういうのはどうだろう。

美優ちゃんの趣味を聞く。

よしこれにしよう。


俺は聞こうとしたとき。


「健斗様。1階です。降りましょう。」


エレベーターは既に1階に着いており、美優も降りていた。美優はなんで降りないんだろう?みたいな表情をしていた。

そして、俺はというとやらかした!みたいなことになっている。


「健斗様?」


俺があれこれしているうちに、美優ちゃんが声出した。


あ、まずい。これ以上いたら、なんか気まずい。


俺は走ってエレベーターを出た。


あれ?俺、いつの間にか車が目の前にいるんだよ状態になっていた。


9:51


俺たちはエレベーターに着く。

俺はエレベーターに乗ろうとしたが、なぜか美優は立ち止まった。俺はなぜ立ち止まったのか気になった。


「美優ちゃん?乗らないの?」


美優ちゃんは顔を赤くしていた。

これは恥ずかしくではなく、体調が悪くなったからではないか、と俺は考えた。

急に立ち止まって反応しない、ということは体調が悪いのでは!?


俺はエレベーターを即時に出て、美優を横抱きにした。すると美優は驚いた表情をしていた。


「え!?健斗様!?何を!?」


美優ちゃん。これが俺にできる最善策だ。


俺はエレベーターか階段かを考える。


エレベーターだと気持ち悪くなってしまうかもしれない。

階段は俺が頑張ればいける。

よし、階段にしよう。


俺は美優を横抱きしながら、階段をダッシュで登り始めた。


まだ熱が確定していないが、下手すれば俺みたいに病院送り。

いち早く部屋に入って熱を測らなければならない。

俺が4階と5階の間にいるところで何か声がした。なんか声がするような? 


「健斗!健斗!健斗!」


俺は呼ばれている。

だが、美優が危ないかもしれない。

すまないが、俺は無視させてもらう。


俺は7階の自分の部屋を目指して、走った。


まずい。まずいまずい。

健斗が反応しないよ。と、いうか。

どんどんスピードアップしていっているのですけど!?

私がこんな失態を晒したからこうなっている。でも、話しぐらいは聞いてよ。

私は諦めずに声を上げる。

最初は健斗様!健斗様!だったけど、いつの間にか


「健斗!健斗!」


となっていた。


そろそろ5階だよ!?

こんなところ誰かに見られたら、私、”許嫁”失格だよ…。


私は最後まで声を上げ続けたが、それは健斗に届くことなんてなかった。


俺は7階の自分の部屋まで到着し、美優をリビングのソファにの転ばせた。


ふぅ。とりあえず一安心着こうとしたが、まだ美優の体調がわからない以上、身体を止めてはならない。


俺は急いで体温計を取りに行き、美優のところへと向かった。


「美優ちゃん!」

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