第17話 パレスティアさん対策会議です

「それで、本日はどのような御用なのですか?エンディミール様。」


エルル様とグラディオスさんが話し合った翌日の放課後、私はエンディミール様に呼び出されておりました。


「わざわざ来てくれてありがとうねルゥ。エルルは一緒じゃないのかい?」


「エルル様はクレアさんに魔術を教えるとのことで、現在は別行動しております。というか、私にわざわざ声をお掛けしたということはエルル様にはお聞かせしたくないお話なのではないのですか?」


「と言うよりも今はまだ噂の段階だからエルルには聞かせない方がいいかもしれないってところだよ。」


「噂ですか?」


「うん。どうも近頃王宮でエルルが『雷帝』かもしれないって噂が流れ始めてるみたいなんだよね。」


「そのまま放置しておけばいいのではないですか?噂もなにも事実ですし、裏さえとらせなければそこまで気にする必要はないとおもいますが。」


そこまで言って私は昨日のことを思い出しました。


「そういえば国王のパレスティアさんがエルル様の大ファンなのでしたか・・・。」


つい、ため息をついてしまいました。


「そう。だから下手にパレスティアの耳に入ったときのために対策を考えようと思ってね。」


「そんなに酷いお方なのですか?パレスティアさんは。」


「流石にやらないと思いたいけど、王宮に参上命令とかしそうな男だね・・・。でも実際、私欲で行動することは少なくないし、そのくらいのことは結構してきそうなんだよね・・・。」


「その程度で参上命令だなんて頭おかしいのではないですか?まだ噂の段階でしょう?」


「まだ噂も出始めの段階だし、裏を取らせるつもりもないんだけどね。エマスティが侍従の一人に産ませた一人っ子で、王妃との間には一人も産まれなかったから、引け目だとかで異常に甘やかしちゃったせいで、だいぶわがまま放題に育っちゃったんだよ。」


「子が子なら親も親ってことですか・・・。あのアストライオ様の血がどうなったらここまで汚れるのですか・・・。」


「エマスティの前の国王までは普通に善政していたから、あの二人がどこかおかしいだけなんだけどね。」


「だとしても二代連続でおかしい人が国王になるのはいかがなものかと思いますが・・・。」


私の指摘に対し、エンディミール様は苦笑いをするだけでした。


「まぁとりあえず対策をどうするかだよ。流石に僕がいるから学院に乗り込んでくることはないだろうけど、参上命令は拒否できないからね・・・。」


「私が影武者として王宮に向かえばよいのではないでしょうか?昔も似たようなことしたことありますし。」


「エルルがあまりいい顔しなさそうだけどね。あの子ルゥを身代わりにするようなことしたがらないいし。」


「私は従者なのでそういう仕事は積極的にさせていただきたいのですがね。エルル様が危険な目に会われるよりは全然いいです。」


「まぁルゥにとってのエルルは主人だけどエルルにとってのルゥは・・・ってやつだね。」


「どういうことですか?」


私の質問に対し、エンディミール様ははぐらかすばかりで私の頭に謎を残しました。

その後も、結局よい対策は浮かばず、私は内心もやもやとしたまま過ごしたのでした。

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