第8話 初めての学院生活は楽しかった(?)

クレアとルゥによる暴走談義が終わった後、私たちにとって初めての授業が始まった。

「それでは、本日からはいよいよ初級魔術について始めていきます。」

到達者に至るために習得する必要があると言われている汎用魔術と言われる魔術は、その威力や難易度によってランク付けがされており、下から初級魔術、低級魔術、中級魔術、上級魔術、超級魔術となっている。その特徴としてすでに名前と呪文が定められており、決闘の際に、アカディア先生が使用した低級魔術の『ファイアランス』の他、ルゥが使った『タイダルウェーブ』は上級魔術となっている。

ちなみに、無事、汎用魔術をすべてマスターし、到達者となった人間が自身の戦い方や、やりたいことに合わせて作成した魔術を独創魔術という。

それはそれとして、学院だと才能の有無に関係なく、同じ進行度で魔術を習得していくことになるから、だいぶ遅いのね。

私の場合は、始めて2、3か月で低級魔術まで習得したし、ルゥも半年で初級魔術は全部習得してたはず。

ただこのタイミングで初級魔術を教え始めるのなら卒業するころには上級魔術に手を出し始めていてもおかしくないと思うんだけど、この間の決闘の時は低級魔術で歓声が上がっていたような・・・。

以前エンディが漏らしていた、平和ボケしたせいで最近到達者になったものはいないという発言も気になるし、果たしてどんな教え方をしているのやら・・・。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


結局、今日の授業では各属性の初等魔術の種類と特徴を覚えただけだった。

しかも授業後にクレアに聞いたらまだ生活魔術(アイテムボックスやライトなどの各属性に分布しない生活向けの誰でも使える魔術)すらまだ教えてもらっていないようだった。今までどうやって生活してきたのだろう・・・。

そんなことを考えていた放課後だった、

「放課後一緒にお茶会しない?」

そうクレアに遊びに誘われた。

「エルル様は初めての学院生活でお疲れですので、本日はご遠慮ください。」

「そっか・・・。」

ルゥに断られてクレアがわかりやすく落ち込んでいる。

「いや、むしろちょうどよかったし行こう。」

「よろしいのですか?」

「うん。目覚めてからまだちゃんと王都まわったことなかったし、ちょっと調べたいこともあるからね。」

すると、クレアが

「エルルちゃんありがとう!大好き!」

と抱き着いてきた。

またルゥが反応しそうになったがそれを手で制する。

「私もクレアと仲良くなりたいし、実は最近王都に来たばっかだから、おすすめのお店があるのならぜひ教えてほしいかな。」

「まかせて!いろんなお店があるから全部まわろっ!」

「ぜ、全部!?」

流石に少し笑顔が引きつった。

最近の子はこんなにもアクティブなんだね・・・。

こうして、クレアに連れられて、王都をまわることになったのだった。

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