第2話 ふんわりぺたぺた その1

にゃんこ帝国の朝は再び混乱に包まれていた。薄明かりが差し込む帝国の広場では、急ぎ足で歩く兵士たちの姿が目立つ。姫にゃんこの戦争宣言が引き金となって、慌ただしくなったのだ。


にゃんこ帝国ではなく、数々の惑星の一つ、学園都市エルフィン――


そのエルフィンでは、ヤンデレにゃんこが学生としてスパイ活動を行い、主に情報収集を担当していた。しかし、姫にゃんこの突然の行動により計画が大きく狂ってしまった。実際にはドン引きにゃんこの計画なのだが、姫にゃんこの名を利用してエルフィンで別荘を購入し、学園都市の名物や観光地で外交という名目を利用して遊び尽くすつもりだった。しかし、全てが水の泡となってしまった。


「もう、あのお人形ちゃんのせいで……。あんなに素敵な傘を持ったお兄さんを美味しくいただきたかったのに……」


ヤンデレにゃんこは拳を握りしめ、不満を漏らした。しかし、エルフィンからの一時撤退命令に従わざるを得なかった。


一方、にゃんこ帝国ではドン引きにゃんこも対応に追われていた。このままでは宰相の父親と同じ運命になるのではないかと焦りを感じつつ、部屋を整理していると、ドアをノックする音が聞こえた。


「誰かしら……?」


ドン引きにゃんこがドアを開けると、第一メイド騎士団のふんわりにゃんこが立っていた。


「第一メイド騎士団団長のふんわりにゃんこで~す。なにかご用ですかぁ~?」


ふんわりにゃんこは、絶望のどん底に陥ったドン引きにゃんこの空気を読まず、無邪気な笑顔で話しかけてきた。その瞬間、ドン引きにゃんこの頭に、ある出来事が鮮明に蘇った。そうだ、こいつだ、こいつのせいだ。自分に絶望の1%の未来を引き寄せた張本人が目の前にいたのだった。

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