姫にゃんこはゆるさない!!

にゃんこノベル

1章 姫にゃんこはゆるさない!!

第1話 激おこ姫にゃんこ

「この惑星は、平和ね。まるで宝石のように美しいわ。煌めく星空に包まれて、まるで幻想の世界にいるみたい。本当に、素晴らしい所ね」


突然、彼女の瞳がキラリと光り、表情が一変する。


「さぁ、乗っ取り戦争じゃぁ~! ひゃっほい! 地球のものはすべてわしのものじゃ~、全軍突撃~!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にゃんこ帝国の朝は、いつもと変わらぬ静けさと美しさに包まれていた。庭には色とりどりの薔薇が咲き誇り、その芳香が風に乗って王宮の廊下まで漂ってくる。帝国は平和で繁栄し、何一つ変わらない日常が続いていた。しかし、ただ一人、姫にゃんこだけが大いなる悲劇に見舞われていた


しろにゃんこの突然の攻撃により、地球からの食料供給が断たれたことで、姫にゃんこの愛する「ゴールドフード」が手に入らなくなってしまったのだ。にゃんこ帝国にはこれっぽちも影響はないものの、姫にゃんこにとっては絶望的な出来事だった。彼女はいつも無表情でぼんやりとしているが、その心の中ではゴールドフードへの執念が燃え上がっていた。


彼女の部屋は静まり返り、ただ一人の侍女、ドン引きにゃんこだけがその様子を見守っていた。姫にゃんこはまるで石像のように、動くことなくじっとしていた。絶対に動かない、絶対にだ!!


「姫様、今日のおやつのケーキを置いておきますね」


ドン引きにゃんこは、無表情の姫にゃんこの前にケーキを置いて、「今日は豪華なスイーツにでもしようかな。仕事をサボって遊ぶの、まじ最高だわ」と考えながら、食堂へと足を向けた。


 数時間が経過し、戻ってきたドン引きにゃんこは驚愕した。姫にゃんこはケーキに手をつけないまま、同じポーズで1ミリも動いていなかったのだ。ま、まじかぁ!!


「うわ~、ドン引きなんですけど、姫様、生きてますかぁ~?」


ドン引きにゃんこが声をかけるが、姫にゃんこは無表情のまま微動だにしない。


 突然、姫にゃんこの瞳に炎が宿った。彼女は勢いよく小さな拳を握りしめ、怒りのオーラが全身から溢れ出ているのが見て取れた。


「ゴールドフードを奪うなんて、あいつ(しろにゃんこ)、絶対に許さない、絶対にだ!!」


 姫にゃんこは叫んだ。ドン引きにゃんこは驚きのあまり後ずさりした。


「全軍、突撃にゃぁ~! 地球のゴールドフードはぜーんぶわたしのものにするの~!!」


 姫にゃんこは叫び続けた。


「ゴールドフードは絶対に渡さない!!」


 その場で凍りついたドン引きにゃんこは、いつも無表情で首をコクリと頷くだけで、「うむ、わかった、にゃぁ」などしか言葉を発さない、扱いやすい、お馬鹿、いや、姫にゃんこが、これほどまでに感情を爆発させるとは夢にも思わなかったのだ。


「というか、普通に話せたんですか?」と、ドン引きにゃんこがぽつりと漏らす。


「もう、激おこだよぉ? 激おこぷんぷん丸だよ!!」


 姫にゃんこは怒りの眼差しでドン引きにゃんこを見つめた。


「え・・・ドン引きなんですけど、姫様、まじですか・・・?」ドン引きにゃんこが驚愕の声を上げると、姫にゃんこは頷いて答えた。


「まじなの!」


「え・・・めんどくさいので、鯛のお頭付きで許してくれませんか?」


「そんなのいらない!絶対に許さない、絶対にだ!!」


 姫にゃんこは振り返り、目に涙を浮かべながら言った。


「わたしの大好きなゴールドフードを取り戻すためなら、なんでもする!!」


 こうして、姫にゃんこは自らの手で戦争の火蓋を切った。


「うわ~、ドン引きなんですけど~」


ドン引きにゃんこはただただドン引きするばかりだった。

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