始まりの終わり

樫野

全ての始まり

「次はいつ会う?」


そんなやりとりをしながら扉を潜り外へ出た。熱った体には少し冷たい空気が二人の重なった手のひらを通り抜ける。とっくに夜は明けていた。


「駅まで送るよ」

そう言うと可笑しそうに笑う彼女が千里の笑顔になる。心から滲み出る恐怖を押し切った。


「たっくん?」


聞き覚えのある声に全身の血が引いた。

そこにはカバン一つを手に呆然と立ち止まる千里がいた。その瞬間背後から遡る恐怖に全身が凍りついた。

「その女…だれ?」



その視線にしっかりと見据えられた僕は、自らのミスに後悔をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

始まりの終わり 樫野 @teirenka

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ