嘘つきは、嫌い。

鈴乱

第1話

思った。


『あぁ、嘘ついてるな』って。


大人特有の嘘。


本音をひん曲げて、誤魔化す時の嘘。


よく知ってる。よく知ってるよ。


本当はそんなこと言いたいんじゃないくせに。


本当は「こうしたい」があるくせに。


家族や守る者を言い訳にして遠ざかる。


自分の夢から遠ざかる。


やりたいことより、やるべきこと。


自分がここからいなくなるわけにはいかない、って。


責任感。


いやぁ、素敵じゃない?


輝いて眩しくて、目が焼けちゃう。


いやー、眩しい。眩しいわ。


だから……僕はさっさと逃げる。


君の眩しさは、僕にとっては毒だから。


君に毒されるのも悪くはないけどさ、僕はそれを選ばない。


だって、僕は、君みたいになりたいわけじゃないんだよ。


僕の理想は、君とは違うところにある。


僕は、自分のやりたいことを歪めて、諦めて「ハハハ」なんて笑うの、嫌だから。


そんな人間、好きになれないもの。


そんな僕、好きでいられないもの。


これからも僕とずっと付き合っていくのは「僕」だから。


だったら、できるだけ僕を好いていたい。

そう思うのは自然でしよ?


僕の好みは、まっすぐな人、だしね。

まっすぐに、自分の好きを追っかけてる人。


だから、ごめんね。

君は僕の好みじゃない。


君のそんな嘘つきの笑顔なんて、見たくない。


ねぇ、分かってくれるかな?


僕は嘘つきが、大嫌い。

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嘘つきは、嫌い。 鈴乱 @sorazome

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