第35話 修行(魔空間にて)の話聞く?
「此処からは剣の修行も勿論行なうが、基本的な身のこなしを学んでもらう。なのでリン。
お前も手伝ってくれ」
「了解。ムフフ…私も先生になったみたい」
「でも何をするんですか?」
リンにも協力?でもリンは見た所剣を扱ってる感じがしない。
「チッチッチ…。ソーマきゅん?何で私がリンに
「へ?足りないのって…」
「ふふふ…よし!リン打ち合わせしておいたフィールドを用意して」
「はい…ヨイショ」
マスターの指示に従いリンが杖を掲げた。すると今まで霧かがっていた部分が晴れていき、その場所に地面が湧き上がる。
しかし普通の地面ではなくアスレチック風なところや沢山の木が生えている森の様な場所となっている。
「地面ができた!?」
「此処はリンの支配空間だもの。リンが見たことある景色を題材に作られている。
そして自由にそれらを組み合わせて召喚できるのよ♡
リンの手にかかれば理想の修行場ができるの♡アシュリカ?もし足りないところがあったらリンに言ってね♡私は此処で時間操作しておくから」
「承知いたしました」
やはりリンの魔法すげぇ…。そしてサラッと時間操作しておくと発言するマスターもやばい。
「ではソーマ。最初はリンの作ったフィールドで身のこなしと走り方の矯正を行なうぞ。
そしてその後はふふ…私と剣の打ち合いをしよう」
「はい!宜しくお願いします」
「…なんかアシュリカ楽しそう」
「そうね…なるほどね。ソーマきゅん結構剣が上達したのかも」
俺とアシュリカはそんな二人の会話を他所に早速リンの作り出した修行場へと赴いた。
◇
そして
「ハァハァ…」
「ふむ…先ほどよりタイムが縮んでいる」
今現在、俺はアシュリカと共に走りの訓練をしている。
元々俺はそれなりに運動はできる方ではあった。しかしそれは一般的な中学生の中ではである。
冒険者としてこれから飛び立つとなると当然大人やとんでもなく足の速い魔物が存在する。
今回戦うグラセルがどう戦うかは分からんが役立つ時は来るだろう。
そして俺は筋肉がつかなくなっているらしく、その分俺自身で体の使い方や動かし方を学びより早く、そして格上の奴らにも対抗できる様にというのがアシュリカが俺に出した課題である。
「時間はたっぷりある。限界まで体の動きをマスターしていくぞ」
「ハァハァはい」
「それではお待ちかねの剣の打ち合いだ!よし行くぞ!」
「え…ちょ!待ってくださいよ!」
俺の言葉を無視してアシュリカは走り去っていく。何か少し楽しそうにすら見えるが気のせいだろうか。
◇
今現在。リンに出してもらった木刀を使い打ち合いをしている。流石に真剣だとまだ危険なのではという判断である。
いくらゾンビでも体は切れる。しかも死ねないのでタチが悪い。
「はは!そうだソーマ!もっと積極的に来い!」
「は…はい!」
何かアシュリカはテンションが高いけど…。
そんな俺とアシュリカの様子を他の二人がポカーンとして眺めていた。
「ソーマすごい…アシュリカとちゃんと打ち合えてる…」
「半年缶詰だったからかしら?アシュリカのことだからすんごい詰め込んでそうだもの…。
それに多分ソーマ君に期待してるんじゃない?
自分のライバルになる存在か…それか自分を超えてくれる存在になるって…」
マスターとリンがそんな会話をしてるとは気づかないまま。俺は修行に明け暮れていた。
◇
そして現在リンやマスターの体力も考慮して休みながらだがそれでも長い時間を修行に充てていた。
現実世界に戻ってもアシュリカは俺に稽古をしてくれていた。…というかあっちからも早くやるぞ!って声をかけてきてくれるのでありがたいが…
「疲れた…」
正直ずっと長時間の修行は疲れる。しかし今はぼやいてる暇がない。なぜなら…
「見つけたぞ!隙あり!」
「うわ!」
俺はすかさず剣でアシュリカの放った剣を防ぐ。あれから更に発展させて打ち合いではなく、アシュリカと模擬試合をする様になった。
戦績は…全敗だけど…。
今はリンの作ったフィールド内を自由に使ってバトル中。しかも…真剣でである。
スピカにはそれはそれは丁寧にお願いして俺一人の力で戦っている。
「どうした!それでは私は倒せんぞ!」
「く…」
何とか応戦していくが、やはり相手の方がリードしている。
というか…アシュリカの目が完全にガンギマリしている。めっちゃ怖い。
だが途中でピピピピ!とアラームの様な音が聞こえた瞬間にその攻撃はぴたりと止んだ。するとアシュリカが我に帰る。
「は!もう時間か…済まない。つい熱くなりすぎた…」
と少し申し訳なさそうである。
「大丈夫ですよ。それより…どうでしょうか…もうグラセルとのバトルですけど…俺勝てそうですか?」
その質問にアシュリカは少し考えたがすぐにニッと口角を上げた。
「…大丈夫だ。君ならきっと勝つことができる。私が保証するよ」
とそう言いながら俺の頭をポンポンと撫でた。優しいその手を享受しているとマスターとリンも駆け寄ってきた。
…マスターの方が早くきてリンはドテドテとかなり差を開いて遅れている。そして少しの距離だがハァハァと息を荒くしている。
「ハァハァゲホ…もう…はぁ時間…はぁはぁ」
「リン?無理して喋らなくていいんだぞ?」
リンはいつもの無表情を崩して今にも死にそうな顔で話すが途中で咳き込むので何言ってるかよく分からない。
「お疲れ様二人とも!
「はい。ソーマよく頑張ったな」
「いえ…先生が良かったからですよ」
「ふふ…可愛いやつめ」
アシュリカは優しい笑みを浮かべている。それと同時にこの人の期待を裏切りたくないとも考えていた。
「…アシュリカさん。俺絶対勝って見せます!」
「嗚呼…私は師として最後まで君を見守ろう。応援しているぞ」
そんな言葉を掛け合っているとリンが早速
因みにに戻った後、余韻に浸る間もなくアシュリカがトイレに駆け込んだのは言うまでもない。
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