第32話 マスターの修行プログラムの話聞く?
とそんな感じで俺はアシュリカに弟子入りしたのはいいけど…。
「ほら!もっと腰を落とせ!」
「そうだそうだ!小僧しっかりせんか!」
何でこんなことになってるの?
◇
それ遡ること数時間前
「アシュリカさん…有難うございます」
「礼は勝ってからにしろ。それよりもその試合はいつ頃行うのですか?」
アシュリカはマスターに試合の行われる日を確認した。
するとマスターは汗をダラダラ流して頭を抑えている。
「明後日」
ん?俺の耳がおかしいのかな?いま明後日って聞こえた様な気がするんだけど…。
「…マスター今何と…」
「だから…アリエスの月9の日。つまり明後日よ…」
…は?
「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」」
俺とアシュリカは絶叫した。まさかの明後日…。いやえ…?
困惑する俺をよそにアシュリカがマスターに問い詰めた。
「どう言うことですか!?明後日!?幾ら何でも早すぎませんか!?」
「うう…私も頑張ったのよ!だけどだけどあのクソ野郎とクソ協会の馬鹿どもがそこまでが限界って言って譲らないのよ!
本当なら今日の夜だったのよ!?」
「うおえ!?嘘だろ!?」
く…腐ってやがる。やっぱりあいつは納豆みてぇな声出すだけあるぜ…。
俺はその瞬間に納豆が嫌いになりそうだった。そんな時
『ふわぁ…よく寝た。ん?どうした?小僧』
スピカが起きてきた。何て呑気な…。
するとマスターがピクリと眉を動かして此方をみてくる。
「…ソーマ君?ごめんなさいその剣抜いてみて」
マスターがそう指示を出してきた。この人のソーマ君呼びはかなり真面目な話である。
俺はマスターの言う通りに剣を抜いた。
「…やっぱり」
マスターがじっと観る剣。観ると
「あれ?こんなに星光ってたっけ?」
「何だ!?これは!」
「光ってる…」
アシュリカとリンもゴクリと喉を鳴らしている。
するとマスターが
「剣に宿ってる子がいるなら教えて欲しい。私の声聞こえるかしら?」
『?んー?聞こえとるぞ?』
マスターの呼びかけにスピカが答える。しかしスピカの声は届いてない様だ。
「聞こえるそうです」
俺はその間に入り会話を試みた。
「そう…貴方のいる空間はどんな空間?時間の流れはどうなっているの?」
『んー?ソーマの目を通して見る限りではそっちの世界に比べて時間の流れは遅いぞ。そっちの一日がこっちの二日だ』
そういえばこいつが夢に出てきた時…明日の夜にまた会おうと言っていた。しかし夢から覚めればすでに朝。ならば何故その日の夜ではなく明日の夜と呼んでいたのか…。
てっきり言い間違いだと思っていたのだが…。
俺は時間の流れについての回答をマスターに教える。
「だとそのままそっちの空間にいても四日間いや今日を含めると五日と半日は確保できるわね…。けど身体能力とかは此方の世界に持って来れるかしら?それと貴方の世界に入るにはどうすればいけるの?」
『身体能力は分からん。あくまでも引っ張り込めるのは精神や魂。経験や動きは習得できてもそれに体が追いつくかは別問題じゃな。
それにそもそもこの世界に入れるのは人の魂じゃ。
生身の人間が来るには…そうじゃなぁ…仮死状態にでもなれば入れるのではないか?』
マスターはその回答を聞き少し悩み出した。そして今度はリンに、
「一つ確認よ。リン?貴方の
「はい。出来るのは私自身が作り出した
「OK。それにプラス
「は…はい!」
「これもし勝つ事ができたら♡私とデートしましょ♡」
へ?で…
「で…デート!?」
「うん♡だってそれぐらいすんばらしいアイデア思いついたんだもん♡うふふ♡」
「マスター?一体どんなアイデアが…」
そうアシュリカが問う。するとマスターはアシュリカの方を向いて
「ねぇアシュリカ?」
「はい」
「貴方は…仲間の為に命を賭けることはできる?」
マスターの問い。それに対してアシュリカは少し沈黙するがその瞳を更に強く光らせそして
「はい」
と一言だけ強く言った。
◇
マスターの作戦はこうである。まず最初に俺とアシュリカが
その際にアシュリカは軍人達が自身を一時的に仮死状態にするという毒薬と同じくらいの効果を持つ毒薬を飲み込み仮死状態にわざとなるのだ。
そして
んで
そしてそれが終わったら学んだ動きを使えるまでに身体能力をリンの作る
そしてこれらの過程においてマスターはある魔法をかけるというのだ。聞くとマスターはある範囲に限り時間の流れを支配する魔法を使えるらしくそれを使い、普通よりもっと時間を遅く進めるというのである。
もう時間操作とか強すぎない?俺は少し興奮していた。
早速俺とアシュリカは魂の終着点へと向かうことになったのである。
◇
そして無事
「ど…何処だここは!」
アシュリカは軽くパニックになっていた。わかるよ。俺も未だ訳わかんないもん。
すると
「よくきたな!此処は
と突然現れたスピカにアシュリカは警戒心をMAXにしてスピカに剣を向けた。
「貴様何者だ!?」
「ひぃ!ワシは何もしとらんのじゃあ!誤解なのじゃあ!」
スピカは涙目で両手を挙げての降参ポーズを取る。
「待って下さい!こいつは悪い奴じゃないんです!こいつがさっきマスターが話してた相手ですよ!」
「そ…そうじゃそうじゃ!ソーマこのおなごにもっと言ってやるのじゃ!」
「え?」
スピカはすぐに走って俺の背中に隠れた。プンプンとギャン泣きしながらアシュリカに抗議する。
呆気に取られてるアシュリカに俺はこれまでの事を説明した。
「ふむ…そう言う訳か…先程もすまんかったな」
「わかれば良いのじゃ!ふっふっふ!」
「すーぐ調子に乗る…」
アシュリカに謝罪されたスピカはすぐに偉そうな態度を取る。泣き虫め…。
「取り敢えずソーマよ。まず剣の基本的な動きを学んでいくぞ。…いや待てよ?そもそもこの世界に剣は存在するのか?」
「んなもんないわ。見て分かるじゃろ?なーんにもないのじゃ」
確かに見て分かるぐらいの星々には剣なんて物騒なもんはない。俺の腰にかけていた
するとアシュリカは少し沈黙して自分の剣を取り俺に渡してきた。
「仕方あるまい。ソーマ私の剣を使うのだ」
「いいんですか?」
「剣の練習なのに剣がなければ意味がないであろう?」
「あ…有難うございます!」
「お礼はいい。此処からみっちりと指導していく。覚悟しておけ!」
「はい!」
「ふっふっふ!ワシも手伝ってやろう!」
とまぁコーチが二人(約一名のちに唯の野次馬になるが)がつき俺は早速アシュリカに教えを乞うことにした。
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