第11話 残念な美人の話聞く?

 俺はアシュリカに担がれながらとある部屋の前にいる。因みにアシュリカの隣をリンが歩いていて、目をキラキラさせている。口は相変わらずへの形だけど。


 目の前には金の縁取りがされた真っ白な扉がある。というかこの部屋まで続く廊下…なんか周辺真っ白でレッドカーペット敷かれてるし…さっきのギルドと雰囲気が違う。


 「この先に我がギルドのマスター"ウルシエラ様"がいらっしゃる。君の事を紹介したい。

 …恐らく一発合格だが…」

 「いや一発って!俺のこと買い被りすぎですよ!俺バトル初心者ですし」

 「…そういう意味ではないんだが…」


 と何故か俺の正論にアシュリカは片手で額を抑えて呆れ顔だ。俺変なこと言ってなくね?何かリンもうんうんと頷いてるし…


 「まあいい。入るぞ」

 そう言ってアシュリカは俺を担いだまま片手でドアを開けた。


 

 ◇



 「失礼します。マスター」

 「あら?どうしたのアシュリカ?」

 「実はどうしてもギルドに入れたい者がおりまして」


 何だろう何か女の人の声が聞こえる。因みに今俺後ろ向きに担がれてるから状況が見えない。そんな困惑する俺をアシュリカはゆっくりと床に下ろした。


 そして目の前の光景を眺めると、その部屋の中は廊下同様全体的に白い。そして床も赤い絨毯が敷かれている。

 そして正面にはすげぇ美人なお姉様がいた。


 まず上から…髪の毛は長いストレートの銀髪でキラキラ輝いている。そして頭には黒いベールをかぶっていた。

 顔の輪郭はシャープな形をしていて、目は切れ長で瞳の色は髪の毛同様銀色に輝いている。そしてぷくりとした唇や通った鼻筋がまた美しい。


 そして体型…ボンギュボン…。正直フレイアよりもすごい…ダイナマイトボディである。

 …仕方ないだろ男の子だもん!

 そして服装は白い部屋とは対照的に真っ黒のドレスを着ていた。しかも胸の谷間や肩がガッツリ出ていて、裾は深いスリットが入ってるので太ももが見える。そしてその足も細く美しい。足には黒いヒールを履いている。


 そんな美女が白い玉座の様な椅子に座っているのだ。…つい目が泳ぐ…。でもチラチラ見ちゃうぅ…。


 「マスター。彼は"ソーマ・シラヌイ"。リンが新たに使役したゾンビです。それも自我を持っていて生きてる人間と遜色がありません。しかも困ってる者を見過ごせない優しさと勇気を持っている。正に我がギルドに相応しい人材です」

 「マスター…私からもお願いします…」


 とアシュリカとリンが俺を紹介する。それはそうと俺は状況がよく分かってない。そしてこの世界における女性の顔面偏差値のヤバさに驚きを隠せない。


 すると目の前にいるマスターが立ち上がった。そして惚けている俺の前にツカツカとモデルウォークの様なかっこいい歩き方で近づく。そして立ち止まった。…いやそれはいいんだけど…


 「貴方…歳は?」

 「え…えと14歳ですけど…あのち…近いですよ?」


 何故かめっちゃ距離が近い。後マスター自身が背が高いのかヒールのせいなのか俺より高い位置に顔があるので威圧感がある。でもすげぇいい香りする…。

 …決して俺の背は低くない!平均だ!


 しかも何故いきなり年齢を聞いてきたんだ?と色々考えているとマスターは何か顔を紅潮させ始めてハァハァと息が荒くなり始めた。…な…何だろ背筋が冷たくなってきた。


 「…じゅ…14歳…ハァハァ♡た…食べ頃じゃないの♡ハァハァ♡」

 と…何か涎が少し出てる。え…食べ頃って何?


 するとマスターはカッと目を開きリンに顔を向けたそして…

 「リン!ゾンビは歳を?」

 「取りません。だって死んでるから…もう成長しないです」


 そのリンの言葉に絶望した。てことは俺の身長はもう伸びないのか?嘘だろ…。いや別に気にしてないし…うん…気にしてないもん…。


 と俺が落ち込んでるとマスターは更に顔を近づけた。あれ?何か鼻血が出てね?

 「つ…つまり永遠の14歳!?」

 「ええ…そうなります」

 

 そうリンが淡々と答えると今度はマスターは自身の体を抱きしめて俯いた。何だ?どうした?なんかさっきからこのお姉様すげぇ怖い。


 するとマスターは思いっきり顔を上げて叫んだ。

 「サイッコォォォオじゃないのぉぉぉ♡」

 と鼻血を噴水の如く噴き出した。あたりは血の海。しかし

 

 「濡れるぞ?」

 と何故かアシュリカが傘を刺して俺を引き寄せたので鼻血は浴びなかった。

 ていうかよく見るとリンもどこから出したのかカエルが描かれた傘を刺している。え?何でそんなの持ってるの?ていうか真っ白の部屋が滅茶苦茶な事になっている。


 そして一通り吹き終わるとマスターは体を震わせた。あんなに出血すればそりゃあやばいよね。しかし

 「そ…」

 「そ?」

 「ソーマきゅううううん♡お願いお姉ちゃんって呼んでぇぇん♡」

 と飛びついてこようとする。


 しかし

 「ソーマ危ないぞ」

 「へ?うわ!」

 アシュリカが俺を姫抱きしてくれたので難を逃れた。やだ…かっこいい…♡

 「あん♡」

 するとマスターはべしゃあと音を立てて地面に顔面を打ちつけた。なになになになに!?怖いヨォ!?


 するとアシュリカが来い来いとリンに手招きした。リンは慣れた足取りでアシュリカに近づきそして

 「マスター我々はここが綺麗になりましたらまた入室致しますので…」

 「待って!せめて…せめてソーマきゅんだけでも置いていって!」

 「ソーマが危険なので嫌です」

 「そんな…ソーマきゅううううん!」


 と手を伸ばし泣き喚くマスターを置いて三人で部屋を出た。ていうか俺いつまで姫抱きされてんだろ?何か目覚めそう…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る