第2話 ゾンビになってた話聞く?
「所でリン?
「
「なんかゲームみたいだな…。魔法?本当にあるのか?」
「?あるよ?」
リンの説明に俺は首を傾げた。魔法だの魔力だのと…小説やゲームなどでしか見た事ない。
「えと…そうだ。リンってどこの国の人なんだ?名前の感じからして日本人じゃなさそうだけど…」
「ニホン?聞いた事ない国…。私の出身国は此処から遥か西にある"ローゼングリム"」
「ろ…ローゼングリム?それこそ聞いた事ないぞ?」
俺たちは互いに首を傾げた。リンの顔を見るに嘘はついてなさそうである。(無表情だけど)
その時俺はある考えが浮かんだ。ある訳ない馬鹿馬鹿しいと思う考え。アニメとか漫画とかでしか見た事ない展開。
「リン…この世界はなんて名前だ?」
「この世界は"リベリオン"だよ?どうしたのソーマ?」
リベリオン…。待って?聞いた事ないんだけどま…まさかマジで俺
「異世界に転移してるぅぅ!?」
俺は叫んだ。それはもう思いっきり。だってあり得るのか?!現実で異世界に転移できるなんて事!
「リン!今は何月何日だ!?」
「?ナンガツ?ナンニチ?」
「日付!」
「今はアリエスの月。5の日」
「聞いた事ない日付!んじゃあ魔法見せて!」
「ん?良いよほら」
リンは指を立てた。指を立てるとそこに小さな炎がぼっと灯った。
「う…うおおお!すげぇ!すげぇよ!リン!」
「ひゃわ!」
つい歓喜回って俺はリンの手を握り褒め称えた。リンは顔を真っ赤にして小さく声を出した。
…側から見たらパンツ一丁の男がか弱い少女の手を握るというやべー図。
「…ごめんつい興奮して」
ん?何かこの言い方もやべーか?別の意味で…
しかしリンの方は
「ううん…私あまりスキンシップ慣れてなくて…特に男の子と接触なんかした事ないから」
と赤い顔をスン…と無表情に戻した。表情豊かなんだか、乏しいのか分かんねーなこの娘。
「寧ろ…私がソーマに謝らなきゃいけない」
「え?何で?」
「ねぇソーマ?ソーマは起きた後変に思った事ない?自分の体で」
「え?」
確かに思い当たる節がある。何故か目が見えにくく距離が掴めない。体にツギハギの様な縫い目があり、肌も変に青白い。
「もし違和感があるならそれ私のせい」
「…へ?どゆこと?」
「今のソーマはゾンビ。生きた人間じゃない」
………は?
俺は頭が一瞬宇宙に飛んだ気がした。
ゾンビになった?ゾンビって洋画とかに出てくるあの化け物?あの死体が動いて人を襲う奴?
「…ゾンビってあのゾンビ?」
「うん。怖い・汚い・臭いの3Kを持つと言われるあのゾンビ」
「お前ゾンビに何か恨みあんの?」
「ないよ?一般的な見解だよ」
えー…そうするとあれじゃん。俺=怖くて汚くて臭いって事になるじゃん…。て言うかゾンビ?あれ…でも
「そうだよ…俺は確か事故にあって…」
おじさんの軽トラに居眠り運転の車が突っ込んできて…それで
「何で俺生きてるの?」
「違うよ。ゾンビになったの」
「ま…待てよ…!俺は確かに死んだ…と思う。けどそんな…死んだ後にゾンビになるなんてそんなあり得ない…」
少なくとも俺のいた世界ならばあり得ない話である。するとリンが顔を俯かせた。
「…そのゾンビになったの…私のせいなんだ」
「どう言う事?俺をゾンビにしたのがリンってことか?」
「うん。ちょっと今非常事態なの…。だから戦力が欲しくて…偶々目についた死体がソーマだったんだ…。
私ね?一応職業は魔法使いなんだけど、得意なのがその…
ネクロマンサー…
「リンは死体をゾンビにするのが得意ってこと?」
「うん…」
「じゃあ体がツギハギなのって…」
「私が縫ったの」
「じゃあ俺の服脱がしたのって…」
俺がそう言いかけるとリンはダラダラと汗を流してそして
「ごめんなさい!」
と土下座した。
「私は決して痴漢じゃないから!その証拠にパンツに手は出してない!ただ服がボロボロなのと体を縫うのに邪魔だったから脱がしたの!」
と一所懸命弁明する。やめてくれよ…。
パンツ一丁の男が美少女を土下座させるとかどんなプレイだよ…俺は変態じゃないよぉ…普通の中学生だよぉ…。
「顔を上げてくれよ!なら代わりの服とかってないのか?」
「うう…用意はできてる…お納めください」
「…なんか俺が悪い事してるみたいだな…」
俺はリンが渡してきた服に着替える。しかし
「着替えにくい…」
距離感が掴めない。ズボンを履こうとすればすっ転ぶし袖を通そうとすれば違うとこに腕がいってしまう。
するとリンが
「あ!そっか…待って…じっとしてね?」
と俺の頬を掴みじっと目を合わせてきた。
こうしてみると中々可愛らしい顔をしている。目も大きくて色も綺麗だ。思わず俺は近距離の美少女の顔に惚けていた。
そんな俺をよそにリンは何やらぶつぶつ呟く。
すると
「ん?」
なんか視界がクリアになった気がする。
「これでいけると思う。着替えてみて?」
俺はリンの言われるがまま服を着てみる。すると今度はスムーズだ。
リンが渡してきたのは全体的に真っ黒のコートとインナーにズボン。そしてブーツだ。
インナーは無地の黒いTシャツである。コートの方は全体は黒いが所々にレザーの様な素材で赤いテカテカのラインが入っている。
ズボンはインナー同様シンプルに黒いズボンであり、ブーツはほぼリンとお揃いでリンのは紫の靴紐なのに対して俺のは赤である。
「サイズは合ってるかな?
「大丈夫だよ!ピッタリ!…てかリンの魔法すごいな…こんな事もできるなんて」
「…ムフフ…そう?」
俺が褒めるとリンは無表情を頑張って保とうとするが嬉しさが込み上げるのか頬を紅潮させて口角をプルプルさせている。…しかし髪の毛のぴょこぴょこはやはり反応するのでわかりやすい。
「それはそうと何で俺の目おかしくなったんだ?」
「…ソーマってグロ耐性ある?」
「え?まぁ…それなりに」
しかし目の話を出すとリンは途端にスンとまた無表情にして目元に影をつけながら何故かグロ耐性の確認をしてくる。
それなりに洋画でスプラッタな奴もたまに観るからまあまああると思う。
俺の答えを聞いたリンが
何事か…俺は取り敢えず渡された手鏡をを覗いてみた。すると
「ぎやぁぁぁぁああ!」
何故か俺の右目がなかった。
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