第7話 危険な、何か

 追いかけてくる盗賊さん達。

 かわいそうだから……


 いや、この人達。人間としてどこかが欠落をしていて、駄目だったよな。



 そう、まだ向こうの国に居たとき。

 公爵さんの部下が、あらかじめ街道沿いの盗賊を駆除していた。


 その時は、急な事なので、まだ作業が終わっていなかった。


 丸太も、数人がかりでよせ、その間に並んだ馬車の列。

 気になった俺は、山側へ見にはいった。


 その時、横に付いたパトリオット=エクスペクト君が、血の涙を流しながら、「お嬢様をよろしくお願いします」と、俺の手を潰そうとしてくる少し前。


 山の少し奥にある集落。

 そう此処は盗賊の集落で、俺は醜悪なオブジェと、ゴミ捨て場を見たんだった。

 被害者…… 連れてこられたとき、奥さんはすでに妊婦だったのか、旦那らしき男が木に結ばれたまま死んでいて、少し離れた側で彼女は分解をされていた。


 そう、辛いから少し記憶の奥に沈めたが、見たよなぁ。

 あのエグい現場。


 兵隊に聞いて、浄化後。すべて燃やしたんだった……


 その後俺の元にやって来た、パトリオットミサイル?君。

 いきなり俺の手を握って来た。


 なんだこいつと思ったが、その後の様子で、なんとなく事情は理解をした。

「こんな奴に…… お嬢様を…… くそう」

 そんな事を言いながら、一所懸命俺の手を…… きっと潰そうとか砕こうとしたんだろ。

 ぷるぷるするほど、彼は力が入っていた。

 だが俺は、召喚された戦闘兵器、このくらいじゃだ。


 涙を流しながら、よろしく頼まれた。

「わかった」

 そう言って握り返したら、妙な感触がしたが…… その前から泣いていたしなあ……



 あー、そうだそうだ思い出したよ。

 盗賊には、等しく苦しみと死を与えよう。

 歩けなくして、すぐに死なない怪我。

 だが、運が無いと助からない程度に。


 そんなことを思って、風魔法で少し切り刻むつもりだった。

 だが、なぜか収束せずに、風の塊がちゅどーんと。


 彼らは、一瞬で粉砕した。

 きっと後悔をする暇無く、一瞬で亡くなっただろう……

 ちっ。


 街道は、その日真っ赤に染まり、噂が流れ始める。

『ソドムート王国との国境付近で、凶悪なモンスターが出没の可能性。旅をするなら注意されたし』


 なんか、ギルドみたいなのもあって、俺達が宿泊をした街でも、翌日大騒ぎをしていた。

 いや、町から出させて、もらえなかったんだよ。

 事情聴取を受けて、「俺達は盗賊に襲われて必死に逃げた」と答えた。


「では出没は、夕刻に掛けてだな」

「いや夕方には、すでに道は真っ赤だった」

 そんな目撃情報が流れ、よく分からないモンスターが書かれた布告の看板が立った。


 疾走する真っ赤なタコさんウインナー??

 そんな奴。

 目撃者がいて、そんな奴が空を飛んでいたようだ。


 後で、あやに睨まれた。

「ナニをしたの? 言わないならしてあげない」

 そう言って、俺のタコさんウインナーをぐにる。


「盗賊に魔法を撃っただけだ」

 そう言うと、考え出す。


「地球は丸い。この星も…… 強力な魔法だから、数キロも離れれば空を飛ぶわね」

 呆れたように、そう言われた。

「もう。正和は短気なんだから」

 そう言われて、つい言い返しそうになる。

「お前は盗賊の……」

「盗賊のなに?」

 そう言ってぎゅっと握られる。


「俺は向こう側の国で、奴らの集落を見たんだ」

 すると思い当たったのだろう、なるほどという感じ。


「ひりょかっちゃの?」

 タコさんが食われてしまった。


「ああ」

「その割には、元気ね」

「いやずっと、向こう地球で生活をしていたときは封印をしていたんだけど、この前封印を解除しただろう。するとまあ、目の前にお前もいるし、定期的に元気になるんだよ」

「そうね、男の人、弾丸製造は三日だったっけ? テストに出るぞぉって先輩に遊ばれた」

「でるぞぉ? 男か」

「んー。いわない」

 そんな事を言っている二人。


 宿に泊まり、防犯上部屋は分けるわけにはいかず、雑魚寝。

 危険だから、お嬢様は酔わせて潰した。

 俺じゃ無い。

 あやの作戦。


 そんで、俺はそっち方面のエネルギーを抜かれるが、バースコントロールで本番は無し。六九な事をしている。


 ただ…… 寝ているはずのお嬢さん。

 俺と、嬉しそうな目が合っているのは、気のせいだろうか……


 ただ俺も動きを止めると、あやの動きが止まるので一生懸命奉仕中……

「あっ」

「んんー。んー」

 終わると、姫さんの目が閉じた。


 お互いに浄化。


 俺は姫様が起きていたことを言えなかった。

 その後、あやと抱き合って眠る。


 そして姫さん。彼女が、あんな行動に出るなんて……



 そう翌日、睡眠薬? を飲まされた。

 スープを作って、ちょっと目を離しただけなのに……


 問題は、意識が戻っても体が痺れていたこと。

 普通の薬じゃ無い。

 あやも横で転がっていて、動こうとして動けないようだ。


 問題は、周りにいる五人。

 くそうお膳立てをしたのはお前達かぁ。


 そうして俺は襲われました。

 あやの目の前で。


 ところがその薬、他は痺れているのに、一部だけ寝てくれないんだ。

 王家に伝わる秘薬だったらしい。

 なんか、なんとかの草や根。

 トカゲとか??

 聞いてはいけない物が、いっぱい入っていた。


 水銀が入って無くってよかったねと言われたけれど、安心できねえよ。


 俺は体内を含めて、浄化しまくった。

 お嬢さんは、逆に気持ちよくなるお薬で、飛んでいたらしい。

「王族ってぇ…… もう……」

 あやは諦めたようだ。

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