第26話

なんの打開策も思いつかなかった。

地獄の風景は確かに恐ろしかった。

燃えているように赤い砂漠のようだった。

砂塵が吹き荒れている。

美しい見た目だけど無表情な人?悪魔か…。がたくさん私たちを取り囲んでいる。


ヒソヒソと話しているような声が聞こえる。


その声がどこから聞こえて来ているのかはわからない。


ただ恐怖心を煽るには十分すぎる景色だ。


でも私の脳内はそんなこともかき消すぐらいに忙しかった。


助けて神様。


彼を助けてあげて。


彼は優しいんです。


愛を持っているんです。


お願いします。


でもなんの願いも届かないようだった。

ただただ時間が空しく流れてゆく。

もう大きな門が見えてきた、きっとあれが地獄の門だ。


「ここから出たらもう現世の時間だからね。

僕もちゃんと現場まで着いていくけど君たちの感覚はもう車の中に戻るから。

大丈夫。苦しんだり痛かったりしないからね」


彼は振り返らずに私に話しかけて足をとめた。


「坊や起きて?目覚める時間よ?さぁ」


彼が女性のような口調でジョシュに声をかける。

目を覚ました弟はまだ眠たそうにぼんやりしながらも地面に降ろされて彼の手を取りながら自分の脚でたった。


「待って。もし私が地獄に落ちるような悪人だったら、また会える?!」


私は必死だった。

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