第25話

「僕は優しくないよ…。わかってると思うけど君は…。

君たちは特別だから。

だってほら僕のミスで連れて来ちゃった生者だから」


君は…何?

何を言おうとしたの?

何かを誑かしたのはわかる。


「そ、そう。わかった…」


私は思った言葉を飲み込むことしかできなかった。


「わかったら大人しく僕を離してくれる?いい子だから」


これ以上私は彼を引き止める言葉が出てこなかった。

私はすっと引き留めていた手から力を抜いた。


「いい子だ…。

じゃあジョシュくんには地獄の景色は少し刺激的だからこのまま眠ってて貰おうか僕が抱えて行こう。

君は自分で歩けるね?」


君…か。

さっきは1度名前で呼んでくれたのに…。


「…うん。自分で歩けるよ」


彼の名前そう言えば知らない。

彼との思い出…。

どうすれば良いんだろう。

知りたいけどきっと教えてくれない。


彼とはこれでお別れ?


彼が弟を抱えて部屋の扉に向かう姿を目で追っていた。


私は必死で色々考えていた。


どうか彼が幸せになる方法。


彼と一緒にいられる方法。


私も消えちゃってもいい、彼と一緒なら。


彼と一緒なら、とても嬉しいのに。

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