第24話

「何?どうしちゃったの?安心して?嘘ついてないよ。僕の処分は減給か、悪くて暫く同僚にいびられる程度だから」


彼の表情は言葉に嘘があるようには見えない。

でもそうではない。

強がっている。


「私、ここに居たい。いいえ別にここじゃなくても。貴方といた。ねぇ!天国に行ったら貴方を天使に戻してもら…」


私が言い切らない前に彼が私の唇に指を当てて制止した。


「それはできないんだよ。天国ではなんでも叶うとは言ったけど、それだけはできないんだよ。

一度翼を奪われた天使が上に戻る方法だけはないって事…。ねっ」


彼の望みは叶わない…なのに私は天国に行ける。

16歳で人生が終わってしまうことは悲劇かもしれないでも、今ならわかる、私はそれでも幸せだと。


「神様ってもっと…慈悲深いお方かと思っていた」


私は落胆の声を漏らしてしまった。


「とても慈悲深いお方だよ。

故に神は愛されているんだよ。全ての天使がそうであるようにね。

天使と悪魔どちらが多いと思う?

天使だよ。

だからね、信じる気持ちを忘れちゃいけない、僕は悪魔だから君を惑わしてしまったみたいだね」


きっとそうじゃない。

彼は全然悪魔じゃない。まるで人間だ。


「他の悪魔も貴方みたいなの?」


その疑問に彼はどう答えるべきか少し考え込んでいた。


「そうだなぁ。なんていうか。

ザ・地獄生まれ見たいなやつが多いかな。

現世でいうところのギャングみたいな?感じかなハハハ。

逆にわかりにくいかな?

それより、離してくれる?もう行くよ」


はぐらかすように最後の言葉を付け加えた彼は困った顔で私を見つめている。


「そ、そう。怖いね。そんなところにいる貴方はどうしてこんなに優しいの?」


私はごくありきたりな質問を繰り返してまだ彼を離さない理由を作った。

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