第20話
凍えてしまいそうだった。
彼の冷たい体温に包まれながら私はじっとしたままだった。
「どうして跳ね除けないの?このままじゃ僕は君をどうしちゃうか分からないよ?」
言葉とは裏腹に優しい声だった。
「貴方は私が嫌がることはしないわよ」
私は彼の背中に手を回して、抱き締め返した。
さらに強い力が彼の腕にこもった。
でも彼は何かに怯えたようにビクッとなって私を離した。
「だ、大丈夫?ごめんなさい私何か悪いことした?」
彼が私の顔から目を逸らし自分の体をさすりながら少し怯えた表情を見せた。
その顔に私も恐怖を感じた。
「今…。体が…落ちる感じが…」
息が上がっている。
「どうしちゃったの?ねぇ大丈夫?悪魔って病気になたりするの?」
心配のあまり少し馬鹿なことを口にしてしまった。
「そうじゃない。ごめん」
彼が汗を拭いながら我を取り戻すように声を上げた。
冷静さがだんだん戻ってきているように見えた。
「愛って呪いだな。やっぱり人間は不憫だ」
私は言っている意味がよく分からなかった。
「どういう意味?」
「少し遊んでやろうと思ってただけのつもりだったんだけどねぇ…。ハハハ。
あぁ僕ダサっ。なんでこんなことになっちゃったのかな。」
独り言のようにも取れる言葉を並べるばかりでよく分からなかった。
「消えそうになるなんて、僕が本当に…」
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