第14話

「やめて!言ったじゃない!貴方は助けてくれるって!」


その言葉に悪魔の手が私の頬を離れた。


「仕方ないな。僕は悪魔の中でも唯一優しい悪魔だからね…。そんなに嫌がられちゃ我慢するしかないなぁ」


彼はそういったけど、その言葉の内容とは裏腹に関心すらなさそうだった。


「本当の貴方が分からない…」

私は少し困惑した。


「別に良いんだよそれで。それが悪魔の宿命ってとこかなぁ?

どう?色々話したけどさ、僕の事はともかく状況は分かってくれたの?」


別にいい?

良いのかな…。


「ねぇ。貴方は本当にそれでいいの?」


「それで良いとは?」

彼はまた椅子に収まりながらっ自分の爪を見ながら答えた。


「だから。貴方は人間になりたいとか…。

自由に誰かを愛してみたいとか…言ってたじゃない」


私がそういうと彼は眉を吊り上げて私を見つめた。


「そうだなぁ。確かに。そんなふうに言われれば答えは…」

そこまで答えると一瞬の間があった。


「確かに。誰かを愛してみたかったな…。例えば君とか…」


感情の読めない声だった。

私をからかってる?


「嘘。貴方はまたそうやって嘘で誤魔化そうとする。やっぱり本当に悪魔なのね。実際半信半疑だったけど、貴方はやっぱり悪魔」


からかわれていることに少し苛立ってつい強く言ってしまった。

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