第12話

「そうだね。僕は人間が羨ましいよ。

もし僕が人間に生まれていたら、きっと自由に愛する人を自分で見つけて幸せになれたのかなって、そして死んだら神の元で暮らせたのにって」


酷いとさえ感じてしまった。

神が絶対だからってあんまりだ。


「ねぇでも、でも…地獄でも恋人は作ってもいいんでしょ?」


私の言葉に悪魔は唐突に笑った。


「ハハハ。まぁ探せばそんな好きものも居るかもしれないけど、まぁ十中八九ないね。

地獄は快楽に溺れるやつは多いけど純愛だの何だのは無縁なんだよね、だってほらここ地獄だから、幸せになる権利が無いって言うかほら、わかるでしょ?」


この人本当はやっぱり人間なんじゃ。


「でも!もし見つかったら幸せになれるんでしょ?」


「ハハハ無理無理。それこそ消滅しちゃうだろうね。

幸せだったら悪魔な意味がないんだってば。

きついでしょ?

君にとって僕は魅力的なルックスだから余計に。

こんなに話せば愛着も湧く、16歳の女の子にとって優しくしてくれる男が悪魔だろうが恋愛感情が湧いたりもするだろうね。

少なからず情は湧くよね?

でもねそれが悪魔の罠なんだよ」


悪魔の罠。

悪魔の罠だなんて。

そんなもの人間へじゃなく、悪魔に対しての縛りみたいじゃない…。


ひょっとして悪魔が言ってた咎って…幸せになる事?

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