第10話
「方法がない訳じゃない。考えても見なよ、ここまでどうやって来たと思う?
…そう僕が連れてきた」
悪魔は何故か自慢げだ。
「そうよ、悪魔さんどうやってここまで私達を連れて来たの?
というかどの段階で私たちが生きてるって気づいたの?」
シンプルな質問を投げかける。
「地獄の門を通る瞬間生きてるって気がついた、でも周りに悪魔がたくさんいたからそのまま突っ切って僕の部屋に来た。
だからそうだなぁ。もう一回賭けで突っ切る。
それしかないだろうね」
「それってもし捕まったらどうなるの?」
「それはさっきも言ったが…」
悪魔がため息まじりに声を漏らす。
「そうじゃなくて、私たちがどうなるかじゃなくて悪魔さんはどうなるの?
私たちは地獄の囚人に。で、悪魔さんは?」
「そー言うこと…。
優しいね君。この後に及んで僕の心配だなんて」
眉を片方あげて意地悪な笑みを浮かべた少し意地悪い声で悪魔が答えた。
「そうじゃなくて。何となく気になったっていうか…」
私は急に恥ずかしい思いになって口ごもった。
「そうだな。とんでもない罰を受けて粉々に引き裂かれて焼かれるんじゃないかな?
僕ら悪魔はね消耗品なんだよ。
元は天使だった、それが翼を奪われて地に落とされたのが悪魔。
そうなった後は地獄でずっとずっと長い長い時間地獄で働くだけ、魂の回収、囚人への拷問。
どう?つまらないでしょ?
いっそ引き裂かれてしまう方が刺激的だね」
内容とは裏腹にたんたんと話す悪魔。
「悪魔さんは死にたいの?」
私は遠慮がちに聞いた。
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