第9話

私自身ですら何を言ってるか訳がわからなかった。


「まぁ分かりやすくまとめるとそうかな。

大丈夫ここに来るまでに感じたと思うけど痛みも苦しみもないよ、ただ行き先が天国なだけだよ。

一回地獄に来た思い出付きのね。

でも天国に着いたらその記憶を消して貰えばいい。

天国ではどんな願いも叶うから。

でも残念ながら地獄ではそんな芸当はできないから一回持っていってもらうけどね」


「うぅ。ママ…」

ジョシュが寝言のような、うなされるような声をあげて我に帰った。


「ジョシュ…助けてあげられないんだよね…。

ッ。ねぇそういえばここってどこ?」


「あ?ここ?ここ俺の部屋。快適でしょ?

一応安全だよ、縛りがあるからね、悪魔にはプライバシーが結構あるんだよ?意外でしょ。

それから、君の願いだけど、無理だね1秒で何かできれば別だけど…まぁ弟も君も助からない」


「部屋?何それ意味わかんない。悪魔さん個人の部屋にいてどうやって来たの?

現世に帰るのは?ワープとかできたりするわけ?」


「ワープできるならもうとっくにやってると思わない?

君とこんなお話をするなんて、どう考えても僕が今頭打ちだからに決まってんじゃん」


「あっそ…」

何だ悪魔だなんて言って結局何もできないんじゃん。

やっぱり全部嘘なんじゃ…。


「ずいぶん冷たいねぇ。僕落ち込んじゃうじゃん?

これでも一生懸命考えてんだよ?

君たちが無実の咎で地獄で罰を受け続けるのを助けてあげようってのに」


「罪って。貴方が勝手に…」


「勝手って…。僕のミスとは言え、来ちゃったもんは来ちゃったわけ。

でもってまだ生きてるから地獄で見つかっちゃえばここからはもう出られない。

そうなれば自然と地獄の囚人だ」


至極簡単な仕組みだけど。

この人しか頼る人がいないの?。

私も弟も。

本当に?

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